児童書のおすすめ(12月16日)

書名 しょめい : みまもりねこ

著者 ちょしゃ : 村山 早紀/作 坂口 友佳子/絵

出版社 しゅっぱんしゃ : ポプラ社


 この物語は、一匹のおばあさん猫と女の子の絆のお話です。
 命の終わりが近づいてきたおばあさん猫の唯一の気がかりは、いつも寂しそうに泣いている女の子のこと。自分の命が終わる直前に、あの子のそばに居たいと星に願いました。願いが叶った猫は、死後、透明な見えない猫になります。
 女の子は猫の死を知って悲しみますが、その夜、女の子の夢の中で猫が語りかけます。『ずっとそばにいますからね。みえないけれど、いっしょなの。だから、なかないで』と。
 それから女の子は泣かなくなりました。いつも傍には見えない猫がいると信じていたからです。そして、女の子は成長し、大人になった彼女のもとに現れたのは…。
 いつも寂しそうにしている女の子に母のように寄り添う猫。柔らかなタッチで描かれる風景の中で、ページいっぱいに描かれる夜空の星はずっと眺めていたいほど印象的です。
 種族と時を超えた、大きな愛に心が温かくなる一冊です。