8月16日のおすすめ
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ある日、届いた不吉な手紙。そこには離れて暮らす兄が碁の会で口論となり殺害されたという内容でした。弟の判右衛門(はんえもん)は息子の判八(はんぱち)を連れ仇討ちに行くことに。ところが失敗したあげく思わぬ悲劇が彼らを襲います。
この本には表題作を含め7つの物語が収録されています。江戸時代の小説家井原西鶴の作品を軸に現代の人々に分かりやすい言葉にし、短い物語に肉付けされています。井原西鶴は庶民の姿をありのまま、冷静に観察することができました。この物語にはほぼハッピーエンドがありません。人間の欲望やこっけいさ、ずる賢さなど人間のネガティブな側面が書かれています。
人が持っている悪い面を否定することなく淡々と表現したこの作品は人間の奥深さを感じさせます。江戸時代の古典で手に取り難いけれど、読み始めるとすぐに物語に引き込まれます。
最近、わくわくする楽しい物語に飽きてきたな、人間の裏側を少しだけ覗いてみたいなという方におすすめです。