2025年7月の記事一覧
児童書のおすすめ(7月29日)
書名 : 6days遭難者たち
著者 : 安田 夏菜/著
出版社 : 講談社
「冒険とは、死を覚悟して、そして生きて帰ることである」。
元登山部の美玖、近所に住む亜里沙、そのクラスメイトの由真。薄いつながりの同級生3人は一緒に低山登山にでかけることに。ロープウェイを利用したお手軽日帰り登山のはずでしたが、山頂到着後ほんの少しの油断から誤った道に入り込み、山をさまようことになります。3人が登山に挑戦した理由は様々。その背景をからめながら美玖、亜里沙、由真それぞれの視点でその時の状況が描写されます。
判断ミスが命の危険に直結する登山。ひとつひとつは小さなことなのに、山での遭難はこうして起こるのかとぐっと引き込まれ思わず一気読みしてしまう作品です。冒頭の一文は冒険家植村直己氏が残した言葉で中表紙をめくった1ページ目に書かれています。この言葉の重みを感じ、そしてこの言葉が物語にどんな関わり方をするのかに注目しながら、ぜひ読み進めてください。
巻末の「遭難防止五か条」も必読です。
児童書のおすすめ(7月22日)
書名 : ラッキーボトル号の冒険
著者 : クリス・ウォーメル/作、柳井 薫/訳
出版社 : 徳間書店
両親に叱られて家を飛び出したジャックが家出先に選んだのは船。ところが運悪く嵐が船を襲い、ジャックは絶海の孤島に打ち上げられてしまいます。
無人島に見えたその島には、長い間ひとりぼっちで本を読んで過ごしていた男ロビンソンと、巨大なカメが住んでいました。
家へ帰りたいと願うジャックに、ロビンソンは手紙を書くことを提案します。ジャックは文字を習っては、手紙をビンに入れて海に流し、助けを待ちわびます。
そんなある日、島に埋められた骸骨の手に握られていた謎の紙きれが、海賊の宝のありかを示していることに気がつきます。
嵐に始まるジャックの海の大冒険。果たしてジャックは宝を探し出し、無事に家へ帰りつくことができるでしょうか。海賊、魔女、しゃれこうべ、宝の地図に謎の呪文まで。奇想天外な物語の展開に、ページをめくる手が止まらない一冊です。
児童書のおすすめ(7月15日)
書名 : ぼくはいったいどこにいるんだ
著者 : ヨシタケ シンスケ/作
出版社 : ブロンズ新社
おつかいを頼まれた「ぼく」は、おかあさんが描いた地図がさっぱりわからなくて迷ってしまいました。しかし、みーちゃんのママは目的地をわかるようにと地図にいろいろと描き足してくれて、無事におつかいをすることができました。「ちずがあれば、いまじぶんがどこにいるのかがわかる」「なにかを絵にしてわかりやすくしたものがちずだとしたら…」「じぶんのためだけのちずを、じぶんでつくってもいいよね」と「ぼく」は言います。
自分の部屋の地図やクラスの中での人間関係の地図、今の自分の気持ちの地図。また、未来の地図など発想を膨らませてみると、いろいろな面白い地図を作って観察し、楽しむことができます。物事の仕組みや関係性と問題点、あるいは自分の好奇心など、目に見えない事がらを見えるように(可視化)することで、今や未来が見えてくるし、理解や解決しやすくなったりもします。もうすぐ夏休み、みなさんもオリジナル地図を作ってみませんか。
児童書のおすすめ(7月8日)
書名 : 草のふえをならしたら
著者 : 林原 玉枝/作 竹上 妙/画
出版社 : 福音館書店
物語に登場するのは一風変わった植物の笛です。はじめに出てくるのはねぎの笛。まこちゃんがねぎの青いところをちぎって、ストロー状にして息を吹き込むと、“ブイッブイブイッブブブウ”と音が鳴りました。その不思議な音色に誘われてやってきたのはうすいピンク色のぶた。ぶたはまこちゃんの料理のお手伝いをしたいというのですが…。
その他にもさくらの花びらやささの葉・どんぐりなど、ユニークな笛が登場します。笛が奏でる音色が結ぶ、こどもたちと動物たちとの楽しい交流を描いたおはなしです。
物語の中にはたくさんの植物が出てきます。笛の吹き方も書かれているので、本を読みながら実際に音を鳴らして楽しむこともできます。みなさんの周りにもたくさんの植物がありますね。その植物を笛にして音を鳴らしてみましょう。何か不思議な出来事が起こるかもしれませんよ。
児童書のおすすめ(7月1日)
書名 : 西遊記
著者 : [呉 承恩/作] 武田 雅哉/訳 トミイ マサコ/絵
出版社 : 小学館
世界中でさまざまな作品にリメークされている『西遊記』。三蔵法師とともに孫悟空・猪八戒・沙悟浄が仏教の経典を求めて天竺へ向かい、そして帰ってくるという“行きて帰りし物語”です。
『西遊記』は、中国の宋(10~13世紀)の時代に、もとになった旅行記『大唐西域記(だいとうさいいきき)』を「講談」「お芝居」などの形に発展させ、親しまれていました。
観客の前で語るわけですから、とにかく盛り上がり重視!どんどん話を大げさに、面白おかしく脚色していきます。『西遊記』に登場するのが自分勝手でハチャメチャな人ばかりなのも、面白さを追求した結果なのかもしれませんね。
『西遊記』の中で私が好きなのは、不思議な霊力を持つ「人参果」を盗み食いしたお話。師匠の三蔵にバレそうになって、悟空は八戒と仲間割れ、挙句の果てには人参果の木を根こそぎ倒してしまいます。さてこの先、いかなることにあいなりますやら…。続きはぜひ、本を読んでお楽しみください。