2024年5月の記事一覧
児童書おすすめ(5月28日)
書名 :『目で見ることばで話をさせて』
著者 :アン・クレア・レゾット/作
岩波書店
--------------------------------------------------------------------
19世紀初頭、マーサズ・ヴィンヤード島では、耳が聞こえる人も聞こえない人も手話で会話していました。家事よりも物語をつくるのが好きなメアリーも、手で多くのことを語ります。ところが、その語りをよろこんでくれた兄が馬車の事故で亡くなってからは、なぜ不公平なことがあたりまえなのか、どうしようもないことが起こるのか、疑問に思うようになりました。
そんなとき、島に科学者がやってきます。島に耳が聞こえない人が多い原因を調べに来たというのです。この科学者の言動にメアリーは度々苦しめられました。そんなメアリーに違う視点を示してくれたのが、奴隷から自由黒人となり、父の牧場で働いているトーマスです。科学者に誘拐され、差別を受けながらも、あきらめなかったメアリー。悩みながらも自分で考え、会話する努力をします。メアリーの疑問への答えは、会話の中にあるかもしれません。ぜひ手話での会話表現にも注目して読んでください。
児童書おすすめ(5月21日)
書名 :『ウィリアムの子ねこ』
著者 :マージョリー・フラック/作・絵 まさき るりこ/訳
徳間書店
--------------------------------------------------------------------
五月のある月曜日の朝、迷子の子ねこが町の通りを歩いていました。しかし、忙しい大人たちは誰一人子ねこに気がつきません。そんな中、子ねこに気がついたのはウィリアムだけでした。なぜなら、彼はまだ4才なのでちっとも忙しくなんかなかったからです。
『かわいい子ねこちゃん、きみ、どこからきたの?』とウィリアムが尋ねますが、子ねこは『ミュー、ミュー、ミュー』と鳴くばかり。そこで、ウィリアムは迷子の子ねこを警察に届け出ることにしました。ところが、飼い主だと名乗る人物が三人も現れて…。
果たして、子ねこは無事に飼い主の元へ帰ることができるのでしょうか?
少年の親切がまわりの人々を幸せにし、その親切がめぐりめぐって少年に返ってきて、最後には少年も含めすべての人が幸せになるおはなしです。みなさんも少しでも困っている人がいたら、勇気を出して手をさしのべてみませんか?
児童書おすすめ(5月14日)
書名 :『かぼちゃ人類学入門』
著者 : 川原田 徹/さく
福音館書店
--------------------------------------------------------------------
佐賀のおとなり、福岡の門司港から連絡船に乗って夢時間。海に浮かぶ大きなかぼちゃが見えてきたら、それは「かぼちゃ島」です。この島に住む人たちは、かぼちゃを食べ、かぼちゃの恵みに感謝しながらのんびり楽しく暮らしています。
島には、宿に温泉、市場や学校など、暮らしに必要なものは何でもありますが、皆さんの町にあるものとは少し違っています。例えば、この島の銀行ではお金だけではなく、健康や幸せも預けられます。そして、健康に恵まれなければ健康を、悲しい時には幸せを引き出すことができます。健康と幸せとお金は、1:2:10の割合で取引され、お互いにないものを補いあっています。
「世の中で一番広いものはなあに?」かぼちゃ人は、心の中だと語ります。かぼちゃ島は狭いけれど、空想をめぐらせば世界が無限に広がると知っているのです。
この本を開いてみてください。皆さんもかぼちゃ人として夢のような時間を過ごせるかもしれません。
児童書おすすめ(5月7日)
書名 :『日本の昔話 全5巻』
著者 : おざわ としお/再話、赤羽 末吉/画
福音館書店
--------------------------------------------------------------------
「むかし あるところに」で始まる昔話。「はなさかじい」や「ももたろう」、みなさんはどんな昔話を知っていますか?
昔話は日本各地で何百年にもわたり親から子へ、子から孫へと口伝えで語り継がれてきたおとぎ話です。昔話には、人が生きていくための知恵や教えがたくさんあります。
この「日本の昔話」全5巻では、今では直接聞くことができなくなった語り継がれた昔話301話が、子どもにもわかりやすい言葉で書き直され収められています。
初夢をみて宝物を手に入れる話、いつもいじめられていた子どもが活躍する話、正直者がご褒美をもらう話、猫やネズミが人間の知らない秘密を教えてくれるお話などなど。
ひとつのお話は短いので、ちょっとした時間にも読むことができます。知っているお話や、思いもよらない結末のお話もあるかもしれません。何回読んでも面白くて新しい発見がある、それが昔話の魅力です。