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みなさんは、毎日のように着ている制服に疑問を持ったことはないだろうか。主人公リヴは中学校に入学したばかり。小学校も同じだった親友のメイジーとクラスも一緒だし、隣の席のジェイコブは絵が上手でかなりクール。だけど、ひとつだけ嫌なことがある。それは、バンクリッジ中学の校則で女子はスカート、男子はズボンを履かなきゃいけないってこと。
この物語は、リヴがスカートを履くのは自分らしくない!と思うところから始まる。リヴはトランスジェンダー(身体の性別と自分が思う性別が異なる人のこと)でそのことは親友にも家族にも打ち明けていない。
タイトルと同じ「パンツ・プロジェクト」を始めるまでの環境の変化。いじめや親友との決別。初めてのことばかりでハードな毎日。だが、家族や友達との関わりの中でリヴはどんどん成長していく。
誰もが自分らしく暮らせる社会をつくるためにぜひ読んでほしい一冊。
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犬のテディは、人間の言葉を理解することができます。なぜなら、保護施設にいたテディを連れて帰ってくれた詩人のシルバンさんが、いつも詩を読んで聞かせてくれたからです。ところが、シルバンさんはテディのもとからいなくなってしまいます。
「きみが、宝石をひと粒かふた粒見つけられるといいな」
テディは、シルバンさんが残したそんな言葉が気になっていました。シルバンさんがいなくなってから数日が経ったある日、テディは吹雪の中迷子になってしまった兄妹と出会います。シルバンさんに救われたように、今度はテディが兄妹2人を助けます。一緒に過ごしていく中で、テディはシルバンさんが残した言葉の意味を知ることとなります。シルバンさんとの出会いによって、思いもよらなかった心温まる繋がりが生まれます。
物語は、テディの記憶と共に進みます。その中に表れている、寂しさや悲しさ、シルバンさんへの気持ちにも注目して読み進めてみてください。
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鮮やかなレモンがらの表紙と「図書室」というタイトルに惹かれます。読んでみると表紙のイメージとは反対に重いテーマでした。欧米では、レモンは「欠陥品」「困難」の象徴とされていることをこの本で知りました。
妻をなくした悲しみから逃れるために仕事に逃げ込み、娘の面倒を見ない父親と母親の大好きだった本の世界を心の支えに親しい友人もつくらず、ひとりぼっちの生活をおくっていた主人公カリプソ。そんな主人公のもとに本好きな転校生が話しかけてきたところから、カリプソの生活が輝きだしていくお話です。友情のすばらしさを教えてくれます。そして、親友の家族とのふれあいにより、閉ざされていた父親の心にも良い変化があらわれ、父子の関係も修復していく物語です。
カリプソの困難と戦う前向きな生きかたに応援をおくるとともに、勇気をもらえる一冊です。
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舞台はチョコレートが禁止された国。「健全健康党」が選挙に勝利して、新しい法律ができたのです。図書館の本は燃やされました。党の教育用ウェブサイトから学び、党が指定する材料で作ったものを食べなければいけません。
ハントリーのお母さんは言いました。
―多くの人が投票する手間をかけなかった。誰もが「他の人もあの党に反対だろうから、自分がわざわざ行くこともない―
スマッジャーのお母さんは、ある政治家の言葉を言いました。
―悪が栄えるためには善人がなにもしないだけでいい―
チョコレートが大好きなハントリーとスマッジャーは考えます。党の命令に従うべきなのだろうか。このままで良いのだろうか。
そして、反骨精神あふれるふたりは立ち上がりました。
トラブルを好まない市民や、考えることをしない党員の気持ちに変化を起こすことはできるのでしょうか。
テンポの良い軽快な文章で、どんどん物語の世界へ引き込まれること間違いなしの一冊。