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「ココロノヤサシイオニノウチデス。ドナタデモオイデクダサイ・・・」そんな赤おにの立て札に人間たちはびっくり。やさしい、いじらしい赤おにの気持ちがあふれんばかりのお話の始まりです。
赤おには、人間の友だちが欲しくてたまりません。でも、人間はおにが怖くてたまりません。そんな赤おにのために、友だちの青おには人間の前で赤おにをやっつける芝居をして見せます。自分が自ら悪ものになって、退治した赤おにと人間が仲良くなれるようにしてあげるのです。そして、やっと人間と友だちになれた赤おにのために、悪役の青おには何も言わずにどこかへ去っていきます。このままでいると、僕たちのことが人間たちにばれてしまうかもしれないと。
「ドコマデモ キミノトモダチ アオオニ」と、戸に残された張り紙を読んで、赤おにはただ、ただ、泣くしかありませんでした。 青おにの、この切ない友情と優しさのこもった貼り紙を、あなたは涙を流さずに最後まで読むことができますか。
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小学五年生の枝田光輝(えだみつき)は、始業式の日、同級生の押野(おしの)から野球に誘われます。お母さんと二人で暮らしている内気な光輝は、クラスの人気者で陽気な押野がなぜ誘ってくれたのか分かりません。でも、光輝にとって押野との出会いは、とても大切な出来事になります。
これをきっかけに、草野球の仲間やクラスメイトとも親しくなってきた光輝でしたが、お母さんの仕事の都合で引っ越すことになります。しかし、転校したくない光輝は、おじいさんの家から学校に通うことを選びます。
穏やかな日常の中で、寡黙なおじいさんが大切なことを短い言葉で光輝に伝え、おおらかに見守る様子は印象的です。安心できる居場所や気持ちを受け止めてくれる人との出会いが心の支えとなり、様々な葛藤や経験を通して成長していく少年の姿が丁寧に描かれています。
かけがえのない日々を生きていくために、あらためて日常を見つめ直したいと思える一冊です。
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高さ10メートルからの飛翔。時速60キロの急降下。わずか1.4秒の空中演技。速度に耐えつつ瞬時に宙返りをしたり。ばかげていると思うものの、入水に成功すれば突き抜ける快感を味わえる。
中学2年生の坂井知季( とも き)が在籍するダイビングクラブは、赤字経営で存続の危機にある。飛込みは新聞やテレビでも華やかな競泳の陰に隠れた状態が続いている。クラブ存続をかけて麻木夏陽子(かよこ)がコーチとしてやって来た。
クラブ存続の条件は、次期オリンピックに出場する選手を育てること。夏陽子は知季の素質を見抜き、難易度の高い技の習得のため 無理と思える練習を始めた。まずは、アジア各国の有力な中高生が集まる強化合宿に選ばれるようになること。
小学2年生のとき見た飛込み台は、珍種の怪獣のようで知季を圧倒し「この頭から飛びたい」と思った。飛込みに悩むとそのことを思い出す。
あなたにとって悩んだとき自分を奮い立たせるものは何だろうか。
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舞台は17世紀のイスタンブール。シンドバッドの名を継ぐセルマの弟子、マレクは素直でしっかり者の少年です。マイペースな師匠のセルマの代わりに長旅のための資金を市場で稼ぎ、旅立つことになります。
物語を読み進めていくと、不思議なことが連続したり、巨大な怪物に襲われたりすることもしばしばあります。しかし、いろいろな道具や手段を使ってセルマや他の仲間とともに困難を乗り越えます。例えば、空とぶじゅうたん。遠くに行くときは体を運んでくれて、夜の間は包まれて眠ります。どんな心地がするのでしょうか?想像して読むと楽しさが倍増すること間違いありません。
地下迷宮の探検や暗号の解読など、一緒にわくわくする冒険をしませんか?
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宇宙エレベーターで宇宙空間まで遠足に行ったり、災害のときには人間の力を何倍にも強化するパワードスーツが活躍したり……。この本には、未来はきっとこうなるという予想がいくつも描かれています。
昭和のころ、絵本や雑誌には「21世紀は透明なチューブの中を空飛ぶ車が通っている」なんて描かれていました。もっと昔、江戸時代には「未来では長いちょんまげとダボダボの着物が流行する」と予想されていました。もちろんどちらも大はずれで、この「なんでも未来ずかん」の予想もどれだけ当たるかは分かりません。
けれど、この本の作者は未来の技術や発明を正確に当てたいのではないと思うのです。作者は「未来にはこれだけワクワクする事があるのだから、みんな楽しみにしていてほしい」と言いたいのです。今よりもずっと進化した世界で自分がどんなふうに暮らして、どんなふうに活躍しているか。自分自身の将来についても想像がふくらむことでしょう。