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さまざまな人たちに影響を与え続ける文豪・夏目漱石。その代表作の一つ『坊っちゃん 』を紹介します。
子どもの頃から無鉄砲で、一本気な江戸っ子「坊っちゃん」。両親からの愛情は薄く、お兄さんとも仲はよくありませんでした。そんな中、坊っちゃんをたいへん可愛がりお世話をしてくれる人がいました。お手伝いの「清」です。清は、坊っちゃんがどんな時も愛情を注ぎ、坊っちゃんのいいところをほめる人でした。坊っちゃんが大人になっていく中で、清は大切な存在となります。その後、坊っちゃんは数学の教師として四国の中学校に勤めます。そこでいろいろな人たちとの人間ドラマが展開され、坊っちゃんはその度に奮闘することになります。
この本は、ふりがなやイラスト、説明などが加えられていて、わかりやすく工夫してあるので、すらすらと読み進めていくことができると思います。漱石のユーモアとリズムある物語を一度読んでみませんか。
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中学2年生の小林佐知子は、自分のことを「アリス」と呼ぶことにしました。
アリスのママは、商社勤めで海外出張が多く、パパは役者で、ほとんど家にいます。親友の美樹ちゃんとは、幼稚園のころから仲が良く、登校やお昼ごはんの時も一緒です。毎日が幸せなアリスですが、次第に自分と他の人の家の違いが気になり始めます。
そんなある日、アリスが進路調査で悩んでいると、出張中のママから家出するというメールが届きます。突然の出来事にアリスは動揺してしまいます。そんな時、ママの親友の春子おばさんが家にやってきて……。
所々で出てくる『不思議の国のアリス』のセリフや言葉遊び、植田真さんが描く、やさしいタッチの挿絵。そして、佐知子はどうして自分のことを「アリス」と呼ぶようになったのか。思春期の女の子の心情を描く1冊。ぜひ一度、手にとって読んでみてください。
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レンちゃんは、「銀杏堂」という気になるお店を見つけました。「ぎんなんどう」と読むそのお店。レンちゃんはある日、勇気を出してお店の中に入ってみることに。
その日がきっかけとなり、レンちゃんと小さなおばあさん・高田さんは友だちになります。不思議な雰囲気をまとった「銀杏堂」は骨董屋さんだったのです。レンちゃんは銀杏堂に毎日のように通うようになりました。並んでいる品物について質問すると、高田さんは一つひとつお話をしてくれるのです。
いなずまのかけら、クモの巣のネックレス……。ガラクタのように見えるものたちでも、それぞれに思い出が詰まった大切なものだと気付かされます。また、骨董品を売ることに思い悩んでいた高田さんには、レンちゃんの純粋で真っ直ぐな言葉が心に届いたのです。
皆さんにとって必要なもの、大切なものは何でしょうか? この本を手に取ったあなたも、レンちゃんの言葉にハッとさせられるかもしれません。
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享保13年、将軍・徳川吉宗の希望で、中国からゾウがやってきました。長崎を出発したゾウは、京都へ立ち寄ることになります。
興味がわくと自分の目で見たくてたまらなくなってしまう忠兵衛。ゾウという聞きなれない言葉を耳にして、さっそく見物に行きます。奇妙でゆかいな姿をした生き物を目にした忠兵衛は、体のふるえが止まりません。自分の感情をおさえられず、何かに気持ちをぶつけたくなって、夢中で地面にその姿を描きました。
絵を描くことが大好きな忠兵衛ですが、生まれたときから店を継ぐことが決まっています。父の言いつけで、苦手な書道を習うことになりました。教えてくれる大典は忠兵衛と三つ違い、11歳のお坊さんです。この大典と、気持ちが沈んでいるときにお茶をふるまってくれた佐賀生まれの売茶翁(ばいさおう)との出会いは、忠兵衛にとってとても大切なものになります。
忠兵衛がゾウと出会い、周囲の人に支えられながら絵師・若冲になるまでの物語。