書名 :『父は空 母は大地』
著者 :寮 美千子/作
ロクリン社
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1854年、アメリカのピアス大統領が、インディアンたちの土地を買収したいと申し出ました。この本は、その時、先住民インディアンの首長シアトルが、大統領に宛てた手紙を絵本にしたものです。「大統領が土地を買いたいと言ってきた。どうしたら空や大地を買えるだろう」と言った言葉は、美しい大地や自然を理解し、大切に思っている事が伝わってくる印象的な一文です。 木々は伐採され、水、空気は汚れ、地球は沸騰化し壊れかかって生き物は住めなくなってしまうかもしれません。シアトル首長や、インディアンたちは、こうなることを知っていて教えてくれていたのに、なぜ私たちも気付いていたはずなのに一人一人が行動を起こさないのでしょうか?紛争・宗教・自然環境破壊・多様な生物との共存などの問題に直面している今だからこそぜひ読んでほしい1冊です。
書名 :『大おばさんの不思議なレシピ』
著者 :柏葉 幸子/作 児島 なおみ/絵
偕成社
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中学一年生の美奈は、家庭科が大の苦手。ほうちょうを持てば手を切る。ミシンは美奈がやるときだけ糸がからまる。塩味のホットケーキが焼きあがったり、さとう入りのスープがにえたぎったりする。 そんな美奈が家の納戸から見つけたのは、大おばさんの一冊の古いレシピノートでした。縫い物から編み物、料理、家庭薬の作り方まで、さし絵入りでていねいにのっています。しかし、ノートにのっている名前は『星くず袋』に『魔女のパック』、『竜のよだれかけ』、『魔術師の七面鳥』など見たことも聞いたこともないものばかり。 このレシピ通りに作りはじめると、たまに美奈は不思議な世界に行けるように…。そこには美奈がつくったものを必要としている人たちが待っていました。美奈のつくったものが、思わぬ方法でその世界の難題解決に一役買うことになります。読むと自分も何か手作りをしてみたくなる物語です。
書名 :『月夜のチャトラパトラ』
著者 :新藤 悦子/著
出版社 :講談社
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洞窟ホテルを営む家の子どもカヤは、チャトラパトラと呼んでいる秘密の小さな友だちがいます。悪い人に見つからないように、チャトラパトラのことをカヤは誰にも話していませんでした。ところがある年の冬、吹雪の晩に洞窟ホテルを訪れた旅行者が、チャトラパトラを探しているとカヤは知ります。「大きい人には見えない」とチャトラパトラは言いますが…。
トルコのカッパドキア地方を知っていますか。無数の奇岩がそびえ立つ不思議な景観と、岩をくり抜いて作られた住居や教会などの岩窟群、さらには壮大な地下都市があることで有名な世界遺産で、熱気球の遊覧飛行や洞窟ホテルが人気の観光地です。観光シーズンは夏。冬は雪に覆われ何日も外に出られないこともあります。でも、雪化粧をした奇岩の風景や、暖かい洞窟ホテルでおいしいトルコ料理を食べてゆったり過ごすのは、冬にしか味わえません。そんな冬のカッパドキアへ旅した気分になれる、少し不思議なお話です。