ブログ

小中学生へおすすめ!

児童書のおすすめ(12月2日)

書名 しょめい : 雪娘のアリアナ

著者 ちょしゃ : ソフィー・アンダーソン/作 メリッサ・カストリヨン/絵 長友 恵子/訳

出版社 しゅっぱんしゃ : 小学館


 身体が弱りひとりで農場を営めなくなった祖父と暮らすため、両親と北の山村に越してきたターシャ。ターシャは、以前住んでいた海辺の町で起きたある事件のせいで人と関わることをひどく恐れるようになっていて、村に来て3か月経った今も友だちがいません。大好きな祖父と両親との農場の生活は楽しいけれど、ターシャはいつも孤独を抱えていました。
 初雪の日、ターシャは雪で少女の像をつくり「友だちになって」と強く願います。すると雪像に魂が宿り、ターシャは毎晩農場を抜け出し雪娘アリアナと楽しい時間を過ごすように。「アリアナとずっと一緒にいたい」とターシャは願いますが・・・。
 ロシアの民話「雪娘」をモチーフにした物語です。春になれば雪娘は消えてしまいます。けれど、アリアナと一緒にい続ける限り厳しい冬が続き、祖父はどんどん弱っていきます。ターシャはどうするのでしょうか。
 ターシャと周囲の人々が互いを思いやる優しさにあふれたお話です。

児童書のおすすめ(11月25日)

書名 しょめい : たまごのはなし

著者 ちょしゃ : しおたに まみこ/作  

出版社 しゅっぱんしゃ : ブロンズ新社


 表紙に鎮座するのは、手を組み絶妙な表情でこちらを見つめるたまご。この物語の主人公です。
 長いことキッチンでじっと動かずに転がっていたたまごは、ある日突然立ち上がってみることにしました。頭を一口かじってみたことがきっかけで仲間になったマシュマロと、たくさんの初めてを経験します。「当たり前」を押し付けてくる植木鉢の口にテープを貼ってみたり、気ままなたまごたちを羨む、「大事な仕事」がある時計の電池を抜いてみたり。そうすれば仕事をせず休めるから、というたまごの言い分が辛口で爽快です。
 長い間、転がっていて動く素晴らしさに気付いたばかりのたまごに先入観なんてものはありません。本当に困ったたまごだとマシュマロが言うように発言や行動には少し毒があるけれど、その哲学にはハッとさせられる大切なことが詰まっています。
 ほぼ鉛筆で描かれた薄暗い絵の中で繰り広げられるたまごたちの不思議な日常を、あなたも覗いてみませんか?

児童書のおすすめ(11月18日)

書名 しょめい : なんで人は青を作ったの?

著者 ちょしゃ : 谷口 陽子/著、髙橋 香里/著、クレメンス・メッツラー/画

出版社 しゅっぱんしゃ : 新泉社


 「青色」は好きですか?
 目にも涼しげな青は、晴れ渡った空や浮世絵に波とともに描かれた海のイメージがありますが、かつて絵の具の材料であるウルトラマリンブルーという「青色」1グラムは、「金」1グラムと同じ価値だったのだとか。
 この本では、中学1年生の蒼太郎と律が、「青」という色が貴重だった謎について、人類が青色を手に入れた再現実験に挑戦しながら解き明かしていきます。2人のサポート役は骨董店の店主で元大学教授のちょっと変わった化学者、森井老人。ヴェルディグリ、スマルト、エジプシャンブルー、プルシアンブルーなど「青」にもいろいろありますが、それぞれの「ブルー」の原料や素材、作られた方法はどのようなものだったのでしょう。2人の実験は、壮大なブルーの歴史を巡る旅となり、やがてこの経験は少年たちを少しだけ成長させたようです。
 ぜひ、みなさんも「青」を探す旅に出ませんか。

児童書のおすすめ(11月11日)

書名 しょめい : すべての愛しきLifeへ

著者 ちょしゃ : くすのき しげのり/著 

出版社 しゅっぱんしゃ : 瑞雲舎


 物語の舞台は、小さな町の外れにある「Life」という店。そこは普通の店と違い、働く人もいなければ売りものがあるわけでもありません。店を訪れる人が誰かに使ってもらいたいものにメッセージを添えて置き、代わりに誰かが置いていったものを持って帰ります。そうして誰かの大切な想い出が、次の誰かの幸せへと繋がっていきます。
 そんな「Life」には、子どもから大人までさまざまな人々が訪れます。最愛の人との別れを経験した人も、夢に向かって進む人も、「Life」での交流を通して絶望や迷いの中から希望を見出し、前を向いて一歩を踏み出します。
 人は互いに支え合いながら生きていることを実感させられる一冊です。
 「Life」を舞台にした物語は他にもあります。絵本の『Life』と『Love Letter』もあわせて読んでみてください。「Life」の感動的な世界をより深く味わうことができます。

児童書のおすすめ(11月4日)

書名 しょめい : コクルおばあさんとねこ

著者 ちょしゃ : フィリパ・ピアス/作 アントニー・メイトランド/絵 前田 三恵子/訳

出版社 しゅっぱんしゃ : 徳間書店


 子どものときに読み、大人になっても、もう一度読み返してほしい、この本はそんな物語です。
 主人公は、風船売りのコクルおばあさん。アパートのてっぺんの部屋のくらしは大変だけど、窓からの見晴らしはいいし、はね窓から飼い猫のピーターが大好きな屋上にも出られるので幸せでした。
 ところがある日、ピーターが家出をしてしまいます。ピーターに何があったというのでしょうか。
悲しみと心配で、やせて軽くなってしまったおばあさん。風の強い日に売り物の風船ごと、空に舞い上がってしまいます。
 スリル満点の空の旅は、物語一番の読みどころ。おばあさんと一緒に、煙突が並ぶロンドンの街を見下ろし、空を旅する気分が味わえます。
 気のどくだと思われることが嫌いで、困っていても人を頼らないコクルおばあさん。はたしてピーターと再会できるのでしょうか。何とも意外な結末が待っています。
 猫がつなぐ不思議な出会いの物語。