小中学生へおすすめ!
2月2日のおすすめ
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サウスウッドの町に引っ越してきたバートラム。出掛けた先で古い路地を見つけます。塀には“ゆびぬき小路”の文字。小路に入ると、古着屋、古道具屋、仕立屋がありました。バートラムはここで不思議な体験をすることになります。
きっかけは古着屋でコートを買ってもらったこと。そのコートには、ひとつだけ変わったボタンがついていました。糸を通す穴が五つあり、ボタンを留めている糸が星形になっているのです。仕立屋ロザムンドが作ったというコートは、バートラムをまじないにかかったような気持ちにさせました。
最初は何が起こっているのか理解できなかったバートラムですが、古い言い伝えをヒントに、“ゆびぬき小路”の秘密に近づいていきます。 “ゆびぬき小路”にかかわる人々の人生と、町の歴史を知ったバートラム。人々の歩んできた人生を尊重するようになる、彼の心情の変化に注目して読んでください。
1月26日のおすすめ
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あるところに、みにくいとおそれられ、いつもひとりぼっちのけものがいました。みにくい自分にたべられてかわいそうだと、川の魚にもなみだをながす心やさしいけものでしたが、いつしかひとめをさけ、自分のすがたを見ないようにしていきるようになりました。
そんなある日、けものは目が見えない女の子と出会います。女の子には、けもののみにくいすがたは見えません。けがふさふさの犬、大きなひづめのロバ、ふかふかのほしくさのにおい。手でふれかんじたまま、「わたしのみたことない、いろんないいものににている」と、けものにかたりかけます。こうして、ふたりはすこしずつ心をかよわせていきますが……。
目で見えるものだけでなく、心で感じることの大切さにあらためて気付かされます。ひらがなで書かれた言葉のひとつひとつが繊細で、とても美しい絵本です。
1月19日のおすすめ
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日曜日と聞くと、何を思い浮かべますか。前もって予定を入れて外に出かけることを考える人もいれば、何も入れず家で体を休めるという人もいると思います。学校に行けなくなってしまった繭(まゆ)は、家で一週間を過ごして今日が何曜日なのか考えることがなくなっていました。繭がカーテンから、外を見てみると電柱に不思議な矢印が書かれています。その矢印が気になりおそるおそる外に出てみると、日曜日だけ開かれるスケッチギャラリー「日曜日舎」にたどり着きました。
そのギャラリーに参加して好きだった絵画をまた始めることで、どうして悩みから抜け出せないのかということや、少しずつ家族との関係を見つめ直すきっかけになっていきます。
自分の行きたい道は何だろうと必死に考えるひたむきさに心が打たれる一冊です。
1月12日のおすすめ
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主人公シェーンは野球部のエースピッチャー。イラストも得意で長編漫画を描く趣味をもち、充実した日々を過ごしています。
しかし彼には解決したいことがありました。それは自分の身体と心の性とを一致させること。彼は女性の身体をもち、心は男性のトランスジェンダーだからです。以前通っていた学校で撮影された1枚の写真が、彼の環境を大きく変え始めます。真実がわかった時、親やクラスメイト、友人たちはどんな反応をみせるのでしょうか。さまざまなエピソードを通し、当事者が普段どんなことに悩み困っているのかが、ほんのわずかですが見えてきます。もしかしたら自分が気づいていないだけで、同じ様に苦しんでいる人が身近にいるのかもしれないと考えさせられる本です。
ラストでシェーンがどのような一歩を踏み出すのか、最後まで彼の気持ちに寄り添い、読んでみてください。
12月29日のおすすめ
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皆さんは外国に行ったことはありますか? 主人公・周(しゅう)は学校の成績はよいけれど、運動が苦手な小学生です。そのためクラスの男の子から仲間はずれにされてしまいます。
そんなとき、祖父の仕事の関係で冬休みに祖父と二人でスリランカ(インドの南に位置する島国)に行くことになりました。スリランカの生活は周にいろいろなことを教えてくれます。
茶畑で少女ジャヤと出会い、スリランカの民族対立について学び、深く考え、自分自身の出来事と重ねていきます。「人が人を見くだすって、どこでもいっしょだね」とジャヤとの会話の中で思い、祖父たちの会話で「モノは、一面を見てわかったつもりになってはいけないのだ。いろんな角度からそのモノを想像していったら、モノのほんとうの姿に近づけるということだろう。だから、想像することがだいじなのだ。』と知ります。
周といっしょにスリランカの自然、人々の習慣、民族の歴史に触れて、今の自分をもう一度見つめてみませんか。
12月22日のおすすめ
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父親と二人だけで住んでいる11歳のニコラスはとてもやさしい男の子。貧乏だけど幸せに暮らしていました。ある日父親は莫大な懸賞金に目がくらんでエルフ(妖精)を探す旅に出ます。残されたニコラスも叔母さんのひどい意地悪に耐えきれず父親の後を追って旅立ちます。そこでニコラスの経験する冒険。どんなに悲しいことがあっても決して希望は忘れない。希望を持ち続けていれば不可能なことなんてない。
このお話はサンタクロースの子供時代のお話です。なぜニコラスがサンタクロースと呼ばれることになったのか? なぜサンタクロースはクリスマスにプレゼントを贈るのか?その謎が解りますよ。「不可能というのは本当は可能なことなんだよ」それを信じて願ったニコラスの思いが。
12月15日のお知らせ
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「ひとはだれでも、そのひとだけのちいさないえをもつひつようがあります」
ここで作者のいう「いえ」は、皆さんが家族といっしょに暮らしている「家」とは、少し意味が違います。あなたが本当にひとりになりたいと思ったときに駆け込めるひみつの場所、あなたが許さない限り、何人たりとも――たとえ家族であっても――侵すことはできないプライベートスペースのことをいいます。大きな傘の下や、やぶの後ろのくぼみ、毛布の下や大きな箱の中、こうしたちょっとした場所にあなただけの「ちいさないえ」を作ることができるのです。
友だちや家族と楽しく過ごしていても、ふとした瞬間に集団から離れてひとりになりたいときがあります。そんなときにあなただけのちいさないえがあれば、どんなにか癒しになるでしょう。また、自分と同じように誰かがちいさないえにいるときは、そっとしておく優しさとマナーを身につけてほしいと思います。
12月8日のおすすめ
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タイトルに心惹かれ、表紙の草かと思ってしまうカマキリの姿に見入ってしまいます。 この本は、敵から身を隠すために、あるいは相手をとらえるために、その姿や動きを周囲に似せる「擬態」の技を身につけた生き物の姿をとらえた写真集です。世界中のさまざまな場所で擬態の瞬間をとらえた本書は、森・雪原・砂漠・草原・海の五つの章で構成され、エメラルド色のカメレオン、雪に溶け込む真っ白なオコジョ、砂漠で生きる大きな耳のかわいらしいキツネ、海に咲くサンゴの花に潜むカニ等、「地球とともに生きる美しさの世界」が広がっています。 色彩的にもとても美しく、辛抱強くその瞬間を待つカメラマンの緊張が伝わり、ページをめくるたぴにため息が出ます。 写真のどこに生き物が潜んでいるのかを見つけながら読み進めるととても楽しく、文にはルビがふってあり、自然や生き物に興味を持つ人なら、子どもから大人まで楽しめること間違いなしの一冊です。
12月1日のおすすめ
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時は秀吉が朝鮮に出兵した時代、有田焼の始まりの頃のお話です。
明の商人の娘として博多に生まれたユキは、父譲りの商才と、美しいものを見る目を持っていました。父が明に帰り、母と二人で伊万里に移り住み、有田で朝鮮の陶工たちと出会います。
戦争で、無理やり日本に連れてこられた朝鮮の人たち。しかし、有田の土地に根付き、土地の人や明の陶工と力を合わせ、のちに世界的に評価されることになる、有田焼を作り上げていきます。そこには、長い年月に何度も工夫を重ねる苦労がありました。
ヨンホは、朝鮮から連れてこられた農民でした。得意の語学でユキや陶工たちを支え、ユキと心を通わせていきます。
私たちにとって身近な有田焼。今の美しい磁器になるまでの歴史と、それに関わったユキとヨンホの成長の物語です。この本を読んでみると、もっと有田焼や郷土の歴史に興味がわいて、いろいろ調べたくなるかもしれませんね。
11月24日のおすすめ
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さまざまな人たちに影響を与え続ける文豪・夏目漱石。その代表作の一つ『坊っちゃん 』を紹介します。
子どもの頃から無鉄砲で、一本気な江戸っ子「坊っちゃん」。両親からの愛情は薄く、お兄さんとも仲はよくありませんでした。そんな中、坊っちゃんをたいへん可愛がりお世話をしてくれる人がいました。お手伝いの「清」です。清は、坊っちゃんがどんな時も愛情を注ぎ、坊っちゃんのいいところをほめる人でした。坊っちゃんが大人になっていく中で、清は大切な存在となります。その後、坊っちゃんは数学の教師として四国の中学校に勤めます。そこでいろいろな人たちとの人間ドラマが展開され、坊っちゃんはその度に奮闘することになります。
この本は、ふりがなやイラスト、説明などが加えられていて、わかりやすく工夫してあるので、すらすらと読み進めていくことができると思います。漱石のユーモアとリズムある物語を一度読んでみませんか。
11月17日のおすすめ
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中学2年生の小林佐知子は、自分のことを「アリス」と呼ぶことにしました。
アリスのママは、商社勤めで海外出張が多く、パパは役者で、ほとんど家にいます。親友の美樹ちゃんとは、幼稚園のころから仲が良く、登校やお昼ごはんの時も一緒です。毎日が幸せなアリスですが、次第に自分と他の人の家の違いが気になり始めます。
そんなある日、アリスが進路調査で悩んでいると、出張中のママから家出するというメールが届きます。突然の出来事にアリスは動揺してしまいます。そんな時、ママの親友の春子おばさんが家にやってきて……。
所々で出てくる『不思議の国のアリス』のセリフや言葉遊び、植田真さんが描く、やさしいタッチの挿絵。そして、佐知子はどうして自分のことを「アリス」と呼ぶようになったのか。思春期の女の子の心情を描く1冊。ぜひ一度、手にとって読んでみてください。
11月10日のおすすめ
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レンちゃんは、「銀杏堂」という気になるお店を見つけました。「ぎんなんどう」と読むそのお店。レンちゃんはある日、勇気を出してお店の中に入ってみることに。
その日がきっかけとなり、レンちゃんと小さなおばあさん・高田さんは友だちになります。不思議な雰囲気をまとった「銀杏堂」は骨董屋さんだったのです。レンちゃんは銀杏堂に毎日のように通うようになりました。並んでいる品物について質問すると、高田さんは一つひとつお話をしてくれるのです。
いなずまのかけら、クモの巣のネックレス……。ガラクタのように見えるものたちでも、それぞれに思い出が詰まった大切なものだと気付かされます。また、骨董品を売ることに思い悩んでいた高田さんには、レンちゃんの純粋で真っ直ぐな言葉が心に届いたのです。
皆さんにとって必要なもの、大切なものは何でしょうか? この本を手に取ったあなたも、レンちゃんの言葉にハッとさせられるかもしれません。
11月3日のおすすめ
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享保13年、将軍・徳川吉宗の希望で、中国からゾウがやってきました。長崎を出発したゾウは、京都へ立ち寄ることになります。
興味がわくと自分の目で見たくてたまらなくなってしまう忠兵衛。ゾウという聞きなれない言葉を耳にして、さっそく見物に行きます。奇妙でゆかいな姿をした生き物を目にした忠兵衛は、体のふるえが止まりません。自分の感情をおさえられず、何かに気持ちをぶつけたくなって、夢中で地面にその姿を描きました。
絵を描くことが大好きな忠兵衛ですが、生まれたときから店を継ぐことが決まっています。父の言いつけで、苦手な書道を習うことになりました。教えてくれる大典は忠兵衛と三つ違い、11歳のお坊さんです。この大典と、気持ちが沈んでいるときにお茶をふるまってくれた佐賀生まれの売茶翁(ばいさおう)との出会いは、忠兵衛にとってとても大切なものになります。
忠兵衛がゾウと出会い、周囲の人に支えられながら絵師・若冲になるまでの物語。
10月27日のおすすめ
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『将来の夢は数学で世界を救うこと』。転校初日にいきなりそんなあいさつをした神之内 宙 (じんのうちそら)。数字や公式を見るのも嫌なくらい数学が苦手な遥はその発言が全く理解できません。そんなあいさつをしたためクラスメイトから距離をおかれ孤立してしまいますが、宙はいたってマイペース。ある日『どんな悩みでも数学の力で必ず解決します!』という幟(のぼり)を掲げた謎の店、数学屋を開店させます。あまりにも不可解な行動にますます周りから距離を置かれてしまいますが、本人は全く気にしません。遥はそういう宙のことが気になりだして、ふとしたことから数学屋を手伝うことになりますが、数学が苦手な遥に果たして手伝いができるのでしょうか?
生活の中に数学が役立つということを遥と一緒に発見して、数学の楽しさを味わってください。パズルのような謎が解けた時の爽快感は格別ですよ。
10月20日のおすすめ
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子どもだけでなく大人にも人気の『ざんねんないきもの事典』。シリーズを通して監修されている著者は、お父さん、お兄さん、息子さん、ともに動物学者という動物一家の一員です。
お父さんが持ち帰ってくるコウモリやヘビと一緒に生活し、床にはウンチがゴロゴロ転がっている家の中。休みの日に山に連れていってもらえば、野ネズミを罠でつかまえて、はく製にすることを習うなど、普通の家庭では経験できないユニークな環境の中で育ちました。
「アリンコが何か運んでいるときに、10分立ち止まって見ていると、新しい発見がある」など、自分でも簡単にできて、面白いエピソードがたくさん書かれています。
著者は、動物とのふれあいのなかで、命の大切さ、思いやりや優しさを育みながら成長し、今では、動物の生態を研究する仕事をされています。 動物が好きだけれど、どうしたらその仕事につくことができるのか知りたいと思っている皆さんに、おすすめしたい本です。
10月13日のおすすめ
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クラスで何かを決めるときによく行われるのが「多数決」です。一見とても公平なように思えますが、あなたはどう思いますか?
クラスでレクリエーションを決めると、いつも運動神経が良く、ケンカも強い男子が推すサッカーや野球ばかり。このことが心に引っかかっていた主人公寛仁(ひろひと)。自分がやりたいと思っている卓球を実現させるため、親友のマッスーやクラスの女子とともに作戦を考えます。どうすれば彼と仲間たちは、レク決めに新しい風を入れられるのでしょうか。
「できない理由を探して、少数の意見を、小さな声をつぶすのはやめてください!」。クラスの女子、松林の言葉には、はっとさせられます。多数決は絶対に正しくて、少数の意見は切り捨てていいのか。本当に公平な決め方を登場人物たちと一緒に考えてみませんか?『チギータ!』という不思議なタイトルの意味も、最後まで読むとわかりますよ。
10月6日のおすすめ
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長い間地下の家で1人で暮らしていたもぐらは、久しぶりに見た川辺の美しさに心を奪われます。そこに暮らしている川ネズミがもぐらをピクニックに誘ったことがきっかけで、2匹は一緒に暮らし始めます。川ネズミは内気なもぐらをやさしく見守り世話をやいてくれました。
川辺には、しっかり者のアナグマや、わがままで自由奔放なヒキガエルなど個性豊かな友達もやってきます。そんな友達とおしゃべりをしたり、食事をしたりする時間は、もぐらにとって幸せな時間でした。川辺が春から夏、秋から冬へと移り変わる様子が木々や草花で細やかに描かれているところもこの本の魅力です。
物語の後半は、ヒキガエルが巻き起こした事件と、それを心配する仲間たちとのハラハラドキドキの展開が待っています。人の意見など聞く耳を持たないヒキガエル。事態は悪くなるばかりです。
100年以上も前に書かれた物語ですが、古さを感じません。みなさんもヒキガエルがどうなったか気になるでしょう。
9月29日のおすすめ
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「ココロノヤサシイオニノウチデス。ドナタデモオイデクダサイ・・・」そんな赤おにの立て札に人間たちはびっくり。やさしい、いじらしい赤おにの気持ちがあふれんばかりのお話の始まりです。
赤おには、人間の友だちが欲しくてたまりません。でも、人間はおにが怖くてたまりません。そんな赤おにのために、友だちの青おには人間の前で赤おにをやっつける芝居をして見せます。自分が自ら悪ものになって、退治した赤おにと人間が仲良くなれるようにしてあげるのです。そして、やっと人間と友だちになれた赤おにのために、悪役の青おには何も言わずにどこかへ去っていきます。このままでいると、僕たちのことが人間たちにばれてしまうかもしれないと。
「ドコマデモ キミノトモダチ アオオニ」と、戸に残された張り紙を読んで、赤おにはただ、ただ、泣くしかありませんでした。 青おにの、この切ない友情と優しさのこもった貼り紙を、あなたは涙を流さずに最後まで読むことができますか。
9月22日のおすすめ
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小学五年生の枝田光輝(えだみつき)は、始業式の日、同級生の押野(おしの)から野球に誘われます。お母さんと二人で暮らしている内気な光輝は、クラスの人気者で陽気な押野がなぜ誘ってくれたのか分かりません。でも、光輝にとって押野との出会いは、とても大切な出来事になります。
これをきっかけに、草野球の仲間やクラスメイトとも親しくなってきた光輝でしたが、お母さんの仕事の都合で引っ越すことになります。しかし、転校したくない光輝は、おじいさんの家から学校に通うことを選びます。
穏やかな日常の中で、寡黙なおじいさんが大切なことを短い言葉で光輝に伝え、おおらかに見守る様子は印象的です。安心できる居場所や気持ちを受け止めてくれる人との出会いが心の支えとなり、様々な葛藤や経験を通して成長していく少年の姿が丁寧に描かれています。
かけがえのない日々を生きていくために、あらためて日常を見つめ直したいと思える一冊です。
9月15日のおすすめ
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高さ10メートルからの飛翔。時速60キロの急降下。わずか1.4秒の空中演技。速度に耐えつつ瞬時に宙返りをしたり。ばかげていると思うものの、入水に成功すれば突き抜ける快感を味わえる。
中学2年生の坂井知季( とも き)が在籍するダイビングクラブは、赤字経営で存続の危機にある。飛込みは新聞やテレビでも華やかな競泳の陰に隠れた状態が続いている。クラブ存続をかけて麻木夏陽子(かよこ)がコーチとしてやって来た。
クラブ存続の条件は、次期オリンピックに出場する選手を育てること。夏陽子は知季の素質を見抜き、難易度の高い技の習得のため 無理と思える練習を始めた。まずは、アジア各国の有力な中高生が集まる強化合宿に選ばれるようになること。
小学2年生のとき見た飛込み台は、珍種の怪獣のようで知季を圧倒し「この頭から飛びたい」と思った。飛込みに悩むとそのことを思い出す。
あなたにとって悩んだとき自分を奮い立たせるものは何だろうか。