小中学生へおすすめ!
7月11日のおすすめ
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ある日、小学四年生の健太は、下校中に不思議なお店を見つけます。そのお店の入り口には「ロボットかします」の文字が。ずっと弟がほしいと思っていた健太は、弟ロボットをレンタルしたいと思い、おこづかい全部をにぎりしめてお店へと走りました。
お店で小学一年生のツトム(ロボット)をかりた健太は、喜んで弟のツトムと家へ帰ります。弟との楽しい毎日が待っているかと思いきや、「お兄ちゃんだから」と我慢しなくてはいけないことが多くて...。弟のツトムはお兄ちゃんのことが大好きですが、健太は弟の行動にムカムカしはじめます。
兄弟のように近くにいるのが当たり前だと感じる相手ほど、腹を立てたり、傷つける態度をとったりしてしまうもの。しかし、このお話は兄弟という存在が、変わることのない、かけがえのないものだということを教えてくれます。読んだ後には、これからは優しいお兄ちゃん・お姉ちゃんでありたいと思える1冊です。
7月4日のおすすめ
いしいももこ/訳 まなべまこと/監修
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地球(ちきゅう)誕生(たんじょう)から人類(じんるい)の誕生(たんじょう)、そして未来へとつながる、なが~い歴史の物語という言葉に、あなたは、どんな想像(そうぞう)が広がりますか。
今回紹介するこの本は、リズミカルな語(かた)り口調(くちょう)と、ページごとに施(ほどこ)されたしかけたっぷりの絵を楽しみながら、太陽の誕生(たんじょう)、地球の誕生(たんじょう)、生物の誕生(たんじょう)から人類(じんるい)の誕生(たんじょう)までを、ドラマ仕立てで体感(たいかん)できる内容になっています。
各時代・各場面ごとに、その時代の動物たちや植物たちが、本の舞台に登場し、それぞれが生きていた時代の様子を演(えん)じます。
三葉虫(さんようちゅう)や恐竜(きょうりゅう)たち、太古(たいこ)の時代から今につながる命(いのち)を身近に連想(れんそう)させる内容となっています。
まもなく夏休み。「せいめいのれきし」の物語の続きは、「あなた」の物語です!
この夏の「物語」を紡(つむ)ぐヒントが、図書館にあるかもしれません。
6月27日のおすすめから
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父親の転勤により転校しなければならなくなった光太。仲良しの優斗と離ればなれになり、悲しみに暮れますが、なんとか涙をこらえます。一方で、光太の転校の知らせを聞いて、残された優斗も寂しい気持ちでいっぱいでした。物語は光太と優斗それぞれの視点から描かれます。
光太は、引っ越し先へ向かう船の中で、プロレス界の伝説のファイター・幸三さんと出会います。そして、幸三さんから、なみだを我慢している人の前に現れるという「なみだの穴」について話を聞きます。「なみだの穴」を見ると、こらえていた気持ちがあふれ出すように涙が出てくるというのです。
お話の中に出てくる涙には、悔しさや悲しさなど、登場人物の数だけ様々な気持ちが詰まっています。読みながら、自分も同じような経験をしたことがある、と共感する部分があるかもしれません。涙を流した後には前を向いて進む登場人物たちを見て、自分のもやもやとした気持ちも少し晴れるはずです。
6月20日のおすすめから
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横浜から山口へ引っ越すことになった、小学4年生のえり。田舎暮らしにも慣れてきたある日、おじいちゃんから小さな畑をもらいます。はじめは悪戦苦闘していたえりでしたが、しだいに植物を育てる楽しさに目覚めていきます。
そんな楽しい日々のできごとを、横浜に住む親友のエミに手紙に書いて送ることにしました。やがてエミからも返事が返ってくるようになり、2人の文通がはじまりました。手紙の中で2人はたくさんのことを語り合います。家族のこと。学校のこと。そして、いじめが原因で引きこもってしまった、幼なじみの「けんちゃん」のこと…。
手紙をとおして、自然やいじめの問題にたくましく向き合う2人の成長を描いた一冊です。電話やメールも便利ですが、手紙には心をこめて書くことで、自分の気持ちが相手に伝わりやすいという利点があります。あなたも気持ちを伝えたい誰かに、心のこもった手紙を書いて送ってみませんか?
6月13日のおすすめから
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クマのクマタにはお気に入りの絵本が1冊あります。その絵本の名前は『かいがらのおくりもの』。もう何度も読んでいるので文は全部覚えています。
ある日、大雨が降り続いたせいで山の向こうのふかみどり村では川の水があふれだし、村のあちこちが水びたしになってしまいました。学校で寝泊まりしている子供たちもいます。クマタや友達のモンジたちは何かしてあげたくて本を贈ることにしました。クマタは『かいがらのおくりもの』以外を選ぶつもりでしたが、他は汚れのある本ばかり。よくよく考えて『かいがらのおくりもの』を贈ることに決めました。本がなくなりさびしくてしかたがないクマタでしたが、十日あまりたった頃、一通の手紙が届いて・・・。
最後はほっこりとあたたかい気持ちになれます。
クマタのように誰かのためを思って行動することは、あとからくる思いがけない喜びにつながることにもなります。人を思いやる心を教えてくれる一冊です。
6月6日のおすすめから
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皆さんは、「パンの缶詰」のことを聞いたことがありますか。「乾パンのように長く保存ができて、やわらかくて、おいしいパンがあったらいいな」という阪神淡路大震災の被災者の声がきっかけとなって作られました。
パン職人の秋元さんの「自分にできることで皆を幸せにしたい」という思いが缶いっぱいに詰まっています。宇宙飛行士の若田光一さんが、スペースシャトル「ディスカバリー号」で食べられていた姿をテレビで見られた方も多いのではないでしょうか。
「あきらめなければ、失敗ではない」と、パンの缶詰を待ってくれている人たちのために研究を重ね、あきらめずに完成させた秋元さんの情熱や、今まで存在しなかったものを生み出すことのすばらしさ、「食べるものがなくて困っている人に、甘くておいしいと思う瞬間を味わってほしい」という秋元さんの思いに胸が熱くなります。
小さなパン屋さんが世界の人たちの心を満たす。そんな奇跡のような物語を読んでみませんか。
5月30日のおすすめから
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「あれはなんじゃ、さんだゆう」おとのさまはお城の天しゅかくから見えたふしぎな物体に目をうばわれました。けらいのさんだゆうに聞くとそれは鳥のように空を飛ぶのりものだと言うのです。「おーい、さんだゆう、なにをしておる。ひこうきにのりにいくよ」と、おとのさまの一声で2人の空への旅が始まりました。
この本の魅力の一つはおとのさまとさんだゆうのゆかいな会話のキャッチボールです。そしてなんと、乗客にまぎれてこの本の作者中川ひろたかさんと挿絵の田中六大さんが登場します。ヒントはカメラ目線! おとのさまたちの座席の近くに注目です。
さて、みなさんはお家や学校、暮らしの中で目にとまったもの、すてきだと感じたことはありましたか? コロナ禍の中でも2人のように身近な景色から新しい世界へつながるきっかけを見つけ、いつか冒険してみてはいかがでしょうか。
5月23日のおすすめから
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主人公のアーノルドはインディアンの中学生。保留地というアメリカの先住民であるインディアンだけが住んでいるところで生まれ育ちました。
インディアンという人種であるだけで、白人からの差別を受けて、職業が限られ、生活も貧しい時代がつづき、周りの大人も子供も自分の人生に夢を持っていません。
ある日、アーノルドは両親を説得して、保留地の外にある白人が通うエリート校に転校します。生まれつき脳に損傷があることによるハンディキャップや人種差別など、世の中の様々な困難に直面しますが、皮肉なジョークを飛ばしながら前向きに生きていきます。
自分一人だけがちがう世界に飛び込む勇気の大切さを感じさせてくれる、作者の自伝的な、ほとんど実話のホントにホントのインディアンの物語です。
5月16日のおすすめから
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みなさんは「こどもの日」と聞いて何を思い浮かべますか? 日本では、5月5日に各家庭でこいのぼりやよろいかぶとの人形を飾りますよね。一方トルコでは、4月23日に世界中から首都に子どもが集められて、歌と音楽に合わせてパレードをするそうです。
ほかにも、ロシアではクリスマスになると赤い服を着たサンタではなく、青い服を着たおじさんがプレゼントを届けに来ます(しかも12月31日に)。ヨーロッパにあるデンマークでは、小中学生の間は試験も通知表もありません。ちょっとうらやましいですね。
日本に住んでいると「そんなのアリエナイ!」と言ってしまいそうですが、そんなアリエナイ文化は全部、さまざまな歴史や社会的な理由があってできたものです。
世界には、まだまだたくさんの国や文化があります。「アリエナイ!」を知ることが、世界のことを知る第一歩になるかもしれません。
5月9日のおすすめから
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平安時代と聞いて何を思い浮かべますか。例えば色とりどりの衣を着た女性たち。さぞきらびやかな生活を送っていたのかと思いきや、彼女たちの着る十二単は十キロ以上。そのうえ膝(しっ)行(こう)といって、立たずに膝をついて歩いたというのですから、想像するだけで汗が出そうですね。
タイトルには「平安女子」とありますが「平安男子」についても書かれています。『源氏物語』のような雅なイメージはどこへやら。夜明け(なんと夏は朝五時半!)とともに活動開始。一か月に二十日以上は午前中働き、約七日は夜まで働きました。お休みは一週間に一日だけ。とてもハードな暮らしです。
ここまで読んで平安時代のイメージがガラリと変わったはず。内容はインテリア&ファッション編、ラブ編、ライフ編に分かれ、おもしろいお話がもりだくさん。難しい古文はありません。古典が苦手な方にもオススメです。千年前の遠い時代を、身近に感じることができますよ。
5月2日のおすすめから
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仕事とはいったい何でしょう。大人たちは、どうして、何のために働いているのでしょう。みなさんは仕事について考えたことはありますか?「お金のため」という人もいれば、「世の中の役に立つため」という人もいるでしょう。答えは人それぞれです。
この本の主人公は中学生ハヤト。自分に自信が持てず、将来何になりたいかもわからないという不安を胸に抱えています。「仕事」「お金」「勉強」「幸せ」など働くうえで重要なテーマが、マンガと図解によりわかりやすく解説されています。仕事に関することだけでなく、世の中の成り立ちや道理、生き方についてハヤトの成長を通して一緒に考えることができます。
働くことに対する考え方や価値観は、時代とともに大きく変化しています。大人になってもやりたいこと探しは続きますし、仕事を始めてからも夢は見つかります。夢はどんどん変わっていいのです。この機会にぜひ、あなたの将来に目を向けてみましょう。
4月25日のおすすめから
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オランダに住む14歳のアーベルチェ。これから何をしたいのかわからず、すすめられる仕事も気が向きません。何もやりたがらないアーベルチェの様子に困ったお母さんは、新しくできるデパートの事務所を訪ねました。ちょうどエレベーターボーイの募集(ぼしゅう)があり、アーベルチェはその仕事につきます。
エレベーターには「ただついているだけ」と説明された、みどり色のガラスのボタンがありました。仕事中、アーベルチェはそのボタンを押してしまいます。すると、エレベーターがデパートを飛び出してしまったのです。アーベルチェはたまたまエレベーターに乗っていた三人のお客さんと一緒に、世界を旅することになりました。
言葉が通じない国々で、アーベルチェたちは様々な事件に巻き込まれます。その中でアーベルチェがどのように変わっていくのか、彼の行動や考え方に注目しながら読んでみてください。みなさんも広い世界を見てみたくなるかもしれません。
4月18日のおすすめから
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「みなさん、こんばんわん。月曜夜9時。〈レディオワン〉の時間です。」
ひょんなことから、人の言葉を話せるようになった、犬のジョン。そんな彼が、ラジオ番組のDJとなって、リスナーからのお便りを読んだり、お便りに沿った曲をかけたりします。特にフリートークは、犬の気持ちがよくわかると評判です。
しかし、DJジョンが本物の犬だということは、ラジオディレクターの西園寺さんと番組のスタッフしか知りません。
そんなちょっと不思議な犬、ジョンがお送りする〈レディオワン〉。今夜もまた、DJジョンが人間たちに語り掛けていく。
はなしのテンポがよく、本当にラジオを聴いているかのような心地よさがある作品です。また、フリートークのシーンでは、日常の生活を犬の視点から語っており、はっと気づかされることもあります。
ラジオを聴くときのように、物語に耳を傾け、じっくりと読みたい一冊です。
4月11日のおすすめから
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日本で「女性差別撤廃条約」が批准されて、35年が過ぎました。では、差別はなくなったのでしょうか。
男女平等の先進国、スウェーデンの10歳の女の子・エッバはある日気づきます。新聞に載っていた『世界の権力者』の写真は、おじさんばかり…どうして女の人はいないのでしょう。その年のG8 のリーダーに、女性はいませんでした。
エッバはこの疑問について、いとこや友達と話し合いを始めました。おばあちゃんに教えてもらいながら、女性の権利についても調べていきます。そこには、エッバが知らなかった長い歴史がありました。
選挙権を獲得し、同じ教育を受けるようになっても、女だから、女らしくという人は大勢います。そこに差別はないのでしょうか。
フェミニズムは、男女で考えるものです。男も女もみんなが自由に、ありのままに、自分らしく生きることができる世界にするには、どうすればいいのでしょう。あなたも、エッバと一緒に考えてみませんか。
4月4日のおすすめから
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本がたくさんある場所と聞いて思い浮かぶのは本屋さん、そしてもう一つは図書館だと思います。
図書館にはたくさんの本があります。本棚の端から端までゆっくりと探して回るのも楽しいですが、本のならび方、ラベルや分類記号の見方、本の種類、検索用コンピューターの使い方、図書館にない本を借りるための方法などを知っておくと、自分が読みたい本と出会う確率はぐっと上がります。
また、図書館は本を「読む」「借りる」だけでなく、本で「調べる」という大事な機能があります。利用者が知りたい情報を集めるのを、図書館の職員は喜んでお手伝いします。このお手伝いのことを「レファレンス(調査・相談)サービス」といいます。この本ではレファレンス・サービスのことも、簡単なストーリーでわかりやすく書いてあるのでおすすめです。
みなさんも『図書館のトリセツ(「取りあつかい説明書」の略)』を読んで、図書館の本と人の力を使いこなしましょう。
3月28日のおすすめから
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「点字」を知っていますか。視覚に障がいのある人が指で触れて読み取る「文字」です。炊飯器のボタンやビールの缶の上にポツポツ、点字は身近にあります。
「日本点字図書館」は本間一夫さんにより、太平洋戦争が始まる前の年に設立されました。今では全国に点字図書館があり、点字図書や録音図書を貸し出しています。佐賀市内にもあります。
本間さんは5歳のとき病気で視力を失います。点字を知る前は、物語を聞くことが楽しみでした。学生時代から点字図書館の設立を夢みて、点字の本を買い集めました。図書館ができてからは、点訳ボランティアを育成して本を作っています。ボランティアは全国に広がりました。
障がいがあっても読書をしたいと思っている人は大勢います。寝たきりや文字を読むのが困難な人に、文字と音で読書ができる「マルチメディアデイジー」が県立図書館にあります。
誰もが読書を楽しめるようにと思っています。
3月21日のおすすめから
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空を飛んでみたいと思ったことはありませんか。
今回紹介するのは、女性だけが飛ぶ力を受け継いできた一族の物語です。
ジョージア・ハンセンはまもなく16歳。ハンセン家の女性たちが代々そうであったように、ジョージアも生まれたときから、自分が飛べることを感覚で知っていました。空を飛ぶのは刺激的でとても楽しいことですが、厳しい掟を守らなければ「飛び手」と認められません。厳格な祖母の支配する家で、母と叔母二人と静かに暮らしてきたジョージアは、成長するにつれて掟に縛られる窮屈さを感じるようになっています。
初めてのソロ飛行の儀式を間近に控えたある日、ずっと昔に家を出たきりだった一番上の伯母が帰ってきます。掟破りのために家を追放された伯母の突然の帰還に、家族はとまどい反発します。伯母の目的は何なのでしょうか。
上空の冷たい風を受け、鳥の群れを避けながら力強く自由に飛び回る飛び手たち。ぜひジョージアになったつもりで夜空の飛行を楽しんでください。
3月14日のおすすめから
出版社
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春になるとさくらが咲きはじめます。日本でいちばん植えられているのは「ソメイヨシノ」というさくらです。
この本では、「ソメイヨシノ」が春から次の春までの一年間を通してどのように変化していくのか、イラストを用いてわかりやすく解説しています。また、さくらの花びらや実とたねのつくり、葉っぱのひみつなどナルホドと思えるような知識がたくさんです。
さくらの花をよく見てみると、花びらのかさなり方が少しずつ違っていて、地面に落ちるときの落ち方にも違いがあります。葉っぱにはほかの木にはないめずらしいものがふたつあり、そのうちのひとつ「みつせん」は葉のじくにある小さなつぶで、みつをためてアリをよび、葉を弱らせるアブラムシやハダニをたいじしてもらうものです。
今まで何気なくながめていたさくらにはこんなひみつがあったのかと気づかせてくれる一冊です。
さくらの季節、この「さくら研究ノート」を片手にお花見を楽しんでみませんか。
3月7日のおすすめから
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春夏秋冬、あなたの好きなことはなんですか?絵本作家でもある村上康成さんは、昔から絵を描くことやさかなつりが大好き!
チョコレートがとけるくらい暑い夏の日や、吐く息が真っ白になり雪がしんしんと降った冬の日も、さかなつりへ。さあ、出発です。
この本の魅力の一つは、自然の中でたっぷりと深呼吸しているような、ゆっくりと時間の流れを楽しんでいるような、独特の間です。本をめくると、さかなだけでなく、おいしそうなおにぎり、話しかけてきそうな動植物、そしてさかなつりに夢中な人間の姿など、村上康成さんの絵と言葉の世界が広がっています。
さかなつりが好きな人もそうでない人も、なにか自分の好きなこと、気になっていることを考えながら読んでもらいたい一冊です。
2月28日のおすすめから
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みなさんが普段食べている豚肉はどうやって食卓にあがるのでしょう。私はこの本を読むまで深く考えたことがありませんでした。
鹿児島のある学園では生まれた豚を育て、食べるまで見届けています。夜、母豚の出産が始まりました。生まれたのはつぶらな瞳のかわいい子豚たち。丸まって眠る豚、いたずらをする豚、みんな個性豊かです。
生まれて10か月が経つと、私たちが食べる「肉」にするため、豚は「と場」に連れていかれます。その一方で学園では母豚が新たな子豚を産んでいました。
日本では毎日約6万頭の豚が肉になっていると言います。豚肉を食べる時、その豚のことや関わっている人達を思いうかべることはあるでしょうか。
普段は忘れがちな「命」と「食」について書かれた1冊です。
食卓での「いただきます」と「ごちそうさま」の意味、もう一度考えてみませんか。
2月21日のおすすめから
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エミリーは、中学一年生の女の子です。最近、姉ホリーが亡くなり、姉が大切にしていたぬいぐるみ「ブルーイ」も一緒に埋葬されてしまいました。
彼女は、小さな頃から、話せない姉にブルーイの声で話しかけ、「スモカルーン」という魔法の国でブルーイと姉が冒険する物語を作って読み聞かせしていました。姉が亡くなった後、恋しくて思い出ノートを付け始めると心も落ち着き、スモカルーンに住むぬいぐるみの動く姿を目撃したり、話し声が聞こえたりと不思議なことが起こり始めました。また姉とブルーイは魔法の国で元気に暮らしていることを知ることができましたが、その国が悪魔に乗っ取られようとしていることを聞き、周囲の人と協力して立ち向かうことを決意します。果たして、姉が暮らす魔法の国を取り戻すことができるのでしょうか?
大切な人を失い深い悲しみに沈んでも、ぬいぐるみやおもちゃ達と接し想像力を掻き立て、また自分と同じ境遇の人と接することで悲しみを乗り越え成長していく姿が描かれています。
主人公とともに想像の世界を冒険してみませんか。
2月14日のおすすめから
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主人公のジャックと妹のフラーは、双子の兄妹。学校に行くときも、マジックショーを観に行くときも、いつも一緒です。
そんなある日、ジャックは、自分がフラーが作り出した想像上の見えない友達、イマジナリーフレンドだということを知ります。フラーのイマジナリーフレンドだと知ったジャックは、彼女の下を離れ、自分を探す旅に出ます。そこでジャックは、たくさんの子どもたちと出会います。様々な子どもたちのイマジナリーフレンドを経験していくうちに、ジャックもまた成長していき…。
イマジナリーフレンドとは、直訳すると「空想の友達」となります。主に、一人っ子や長男・長女などに見られる現象だそうです。共に遊び、共に学ぶ、そんな自分だけの友達。自由な想像力が人生を豊かにしてくれる。そう教えてくれる一冊です。
2月7日のおすすめから
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アフリカの草原に一頭の退屈なキリンが住んでいました。ひまを持て余すキリンは、まだ会ったこともない“地平線の向こうのお友達”へ手紙を書こうと思いつきます。「あなたのことをおしえてください」という言葉を添えて…。さて、この手紙、無事に誰かに読んでもらえるのでしょうか?
最近はメールやSNS等がコミュニケーションの主流となり、手紙を出す機会はずいぶんと減ってきました。送ったらすぐに連絡が届くSNSとは違い、封を開けるドキドキ感や、返事を待つ間にどんどん想像がふくらんでいく手紙ならではの楽しさがこの本にはつまっています。誰かを思いながら文章を考え、便箋やペンを選び、心を込めて文字を書く。そうやって届いた手紙は、ただのメッセージではなく、特別な贈り物になることでしょう。
この本には続きがあって、シリーズを通して、手紙をきっかけに世界がすこしずつ広がっていく素敵なおはなしです。
あなたも大切な人へ手紙を書いてみませんか?
1月31日のおすすめ
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あなたの家族はどんな人ですか?あなたは家族の存在をどんな風に感じているでしょうか?
この本には7つの家族にまつわるお話が入っています。どれも主人公は10代前半の男の子。そして、父親や母親、あるいは祖父に対してどこか複雑な思いを抱えています。 最初のお話に出てくる少年、デイモンは、両親の離婚をきっかけに母親と暮らしています。父親の家で過ごせるのは月に一度だけ。母親のボーイフレンドがやってくる家を居心地悪く感じていたデイモンは、父親と暮らすため、荷物を持って父親の家へと向かいます。しかし、着いてみると、家の様子はいつもとどこか違っていて…。
7つの物語に登場する家族は、その関係も、抱えている気持ちもさまざまです。言えないことや聞けないことがあったり、不満を持っていたり、家族の気持ちを重たく感じていたり…。少年たちの揺れ動く心を、ぜひ感じてみてください。
1月24日のおすすめ
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タイトルの『たまごを持つように』というのは、弓道の弓をにぎる力加減のことです。弓だけでなく人間関係においても力をいれすぎると、うまくいかなくなるものです。
主人公は弓道部の中学生3人です。人よりも不器用で弓道もなかなか上達しない早弥、才能にめぐまれているけれどトラブルメーカーの実良、武道を愛する努力家でハーフの春。3人は全国大会を目標に練習にはげみますが、ある時から実良は深刻なスランプにおちいります…。
弓道は剣道や野球、バスケットボールなどに比べるとなじみのうすいスポーツかもしれません。しかし、目標に向かい努力を重ねる姿、ときにぶつかり合う姿は他のスポーツとなにも変わりません。それぞれの悩みや葛藤にいどむ姿に胸が熱くなります。早弥、実良、春の3人は壁を乗り越えて全国大会へ出場することができるのでしょうか?
スポーツや勉強、何かに一生懸命なひとにおすすめの1冊です。
1月17日のおすすめ
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むかしの人たちは、日本のはじまりを、どのように思い描いていたのでしょうか。
この本では、「古事記」という書物の中の、神さまの物語が描かれています。
「ヤマタノオロチ」、「稲羽の白うさぎ」、「海幸彦と山幸彦」などのおはなしを聞いたり、読んだりしたことはありませんか。それらのおはなしは、「古事記」につづられている物語の一部なのです。
「古事記」が書かれたのは今からおよそ1300年前。訳されたものでも難しい内容ですが、この本では、物語がとてもわかりやすい表現で語られていきます。暗く、もやもやとした世界が天と地にわかれるところから始まり、ふしぎな響きの名前を持つ、個性的な神さまたちが次々に登場します。
神話や伝説や歴史を、口伝えから文字として書き記すようになった時代に、当時の人たちが伝えようとした記録の数々。物語だからこそ出会える言葉、古い時代から伝わる物語に、ぜひふれてみてください。
12月27日のおすすめ
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「目の前にあるものは、どれも誰かが運んでくれたもの」なのだと考えたことがありますか。
この本は、「何かを運ぶことは、そこに込められた思いを一緒に運ぶこと」だと語る“運ぶプロ”たちのお話です。
1つ目は、岩手から、東京の上野動物園へお嫁に行くことになったキリンのリンゴのお話。首の長いキリンを、どうやって別の動物園に運ぶのでしょうか。
そして、2つ目は、日本で作られた866両の鉄道車両を、広島からイギリスまで運ぶお話。重い車両がどうやって海を渡るのかとても気になります。
そして3つ目は、小児医療センターから新しい病院まで、患者さんの治療を続けながら引越しするお話です。命に寄り添いながら真剣に作業する大人たちの姿に胸が熱くなります。
いろいろなものが簡単に手に入るようになった今、当たり前だと思えることが、誰かの知恵や努力、熱意によって成り立っていることを感じて欲しいです。
12月20日のおすすめ
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これは100年以上前に書かれたクリスマスの物語です。
安アパートでつつましく暮らす若い夫婦。貧しくて、コツコツとためたお金もたったの1ドル87セントしかなくて、これでは素敵なプレゼントを買えそうにもありません。明日はクリスマスだというのに。
何度も銅貨を数え直して悲しくなるデラですが、大切にしていたあるものと引きかえに、ジムにふさわしい贈り物を手に入れることができました。
さて、ジムとデラが贈りあったものは何だったでしょうか。
名作といわれる古いお話ですが、ふたりが悩んだり喜んだりする姿や、お互いを想いあう気持ちは、今と変わりないものだと気付かされます。
ツヴェルガーの描く淡く繊細な挿絵も静かな魅力があります。お話を知っている人にもそっとめくって欲しい一冊です。
12月13日のおすすめ
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400mハードルの日本記録保持者で、オリンピックに3度出場したアスリート、為末大さんが子どもたちに伝えたい50のことばが書かれた本です。
「負けぐせ」をつけない。「自分らしさ」にこだわりすぎない。自分との約束を破らない…為末さんの経験の中から生まれたことばです。あなたの心に刺さるものはありますか。
どんな人だって、苦しくなったら逃げたくなるし、うまくいかないときは、自分が嫌いになってしまいます。でも、そんな自分と上手に付き合っていかなければ、生きていくのがつらくなるでしょう。
為末さんは、ちょっとした考え方や工夫が「生き抜くチカラ」になって支えてくれるといいます。それが、つらいことや悩みごとがあったとき、あなたの心をちょっと軽くしてくれるかもしれません。
この本が、あなたの人生を生き抜くヒントになって、いろんなことにチャレンジできればいいなと思います。
12月6日のおすすめ
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さて、何を読もう。
読書を趣味で楽しみたいとき、勉強をしたいとき等、様々な場面がありますよね。「何かいい本がないかなー。」と思った経験がきっとみなさんにもあると思います。
この本の著者は、中学校の教員である大居さん。家には10000冊を超える本があり、学校では「毒書生活」というクラス通信を発行されているそうです。なんだか面白そうな匂いがぷんぷんとしませんか?
そんな大居さんが教える読書術。読みたい本の探し方や、テーマ別おすすめ本の紹介等、とても分かりやすくまとめられた一冊です。
そして、この本の中にもある「図書館で本を読もう」というのは私もおすすめ。自分の興味あるなしに係わらず大量の本が並んでいますからね。今は必要なくとも「いろんな本があるな。」と知っていれば後々に役立つかもしれません。時間があるとき、近所を通ったとき、気軽に来てくださいね。そして図書館にいるスタッフも大いにご活用くださいませ。
11月29日のおすすめ
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主人公のエイミー・アンがある日図書室に行くと、大好きで何度も何度も借りた本『クローディアの秘密』がなくなっていました。貸出中かと思い司書さんにたずねてみると、大人たちが『クローディアの秘密』をはじめとするいくつかの本を、「子どもにふさわしくない本」として貸出禁止にしてしまったということでした。
ですが、それに納得のいかないエイミー・アンはあることをひらめきます。それは、貸出禁止の本を自分のロッカーに集めて、読みたい人が誰でも読める「ロッカー図書館」を作ることでした。はたして彼女は、貸出禁止の本をすくうことができるのでしょうか?
このお話には貸出禁止にされた本をはじめ、たくさんの本が登場します。実はそれは全て実在する本です。このお話を読んでから登場した本を実際に読んでみるのも、普通に読むのと違う見方ができて面白いかもしれません。
11月22日のおすすめ
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角笛と鉄のフライパンとまりを七つ。手回しオルガンを背負い、熊の“メドウィーチ”をつれて芸を見せながら村々を旅する“熊おじさん”とよばれる男がいました。
熊おじさんのとくべつな力は「熊のことばがわかること」「心根のいいこと」「七つのまりでお手玉ができること」。
彼らはゆったりと、ひと呼吸に3歩の足取りで旅を続けます。
おじさんにとってメドウィーチは、助け合って生きる相棒でした。やがておじさんの命は尽き、メドウィーチはたった一頭残されます。おじさんがいない世界でメドウィーチはどのように生き続けたのでしょうか。
旅の途中で出会う様々な風景やおじさんが吹く角笛の、銀(しろがね)の玉をころがすような澄んだ音色、メドウィーチの楽しいダンスを想像しながら読んでみませんか。
大人になった時にふと思い出してほしい物語です。
11月15日のおすすめ
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「浦島太郎」や「桃太郎」「金太郎」の話を知らない人はほとんどいないでしょう。
通説では、浦島太郎がカメを助けたことになっていますが、カメに言わせると助けてもらったとは思っていないようです。桃太郎と一緒に鬼ヶ島へ行ったイヌは、きびだんごに釣られてお供したわけではなさそうです。力持ちとして有名な金太郎は、ただの力持ちではなかったのです。
語り手として登場するカメ、イヌ、クマの妙に説得力のある口調が真実味をおびて迫ってきます。
これまで「昔話なんだから多少の無理な設定は仕方ないよね」と思っていたことが、サブキャラたちの証言でスッキリ解決。
疑問に思ったら、常識も疑ってみる。違う視点で見てみたら、今まで気が付かなかったことに気が付くかもしれませんね。
11月8日のおすすめ
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ドラえもんの秘密道具タイムマシンがあったら夢の時間旅行に出かけることが可能かもしれませんね。こんなタイムマシンは空想の産物でしょうか。
現在世界中の科学者が究極の理論を手に入れようと真剣に研究を続け、何種類かのタイムマシンを提案しているのだそうです。アインシュタイン博士を悩ませた難問は解決できるのでしょうか。
速く動くと時間の進み方が遅くなることが分かっています。例えば時速300kmの新幹線で東京から博多まで行くと、時間が約10億分の1秒だけ遅れ、10億分の1秒だけ未来に行けます。既にタイムマシンはあったわけです。
この本ではネズミのチュータとミライネコがタイムマシンの実現可能性を探っていきますよ。
読み進めていくうちに理系脳がきたえられるかもしれませんね。
11月1日のおすすめ
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君は悔いのない人生を過ごしているか?と聞かれて「そうですネ」と即答できる人は少ないでしょう。歳を重ねればなおさらで、「あの時ああしときゃ良かった……」などと悔やむことの連続です。
『ゲゲゲの鬼太郎』の作者として知られる水木しげる先生(自称“水木サン”)は、どんな時も自分で決めたルールを基準にして生きた人です。例えば水木サンが子どもの頃、人が死んだらどうなるか気になって仕方がなくなり、弟を海に突き落としたことがあります(もちろん後でめちゃくちゃ怒られた)。太平洋戦争時の軍隊では、自分のトイレタイムを優先しすぎた結果、点呼に遅れ、脱走兵騒ぎにもなりました(後でめちゃくちゃ上官に殴られた)。
さすがに、こうした巨匠漫画家の生きざまをそのまま取り入れることはオススメしませんが、いまや人生百年時代。一つだけでも、水木サンのような“あなた自身のルー ル”を心に決め、生きてみようではありませんか。
10月25日のおすすめ
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お父さん、お母さんたちはお金を稼いで、みなさんにお小遣いやお年玉をくれます。 お小遣い、お年玉、もらうと嬉しいですよね。
お金があると色んなものが買えます。でも、「貯金しなさい」って言われることもありますよね。
物を買うときには値段がありますが、値段は誰がどうやって決めているのでしょうか?
また、物を買うときに「消費税」も払います。これはどうして払わなければいけないのでしょうか?「貯金」するときの「銀行」ってどんなものなのでしょうか?
そもそも、お金って何でしょう?
丸い金属のお金、四角い紙のお金だけじゃなく、Suica、PayPay、LINEPayなどの実物がない電子マネーもありますね。
大事なことですが、意外と知らないお金のことについて、ばっちり知ることができますよ。
10月18日のおすすめ
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困っている人を見かけたとき、あなたならどうしますか?
私たちは毎日いろいろな人と出会っています。ふだんなにげなく通る道で、目の不自由な人、車いすの人、赤ちゃんをつれた人、耳の不自由な人など、もしかしたら手助けを必要としている人たちとすれちがっているのかもしれません。でも、どう手伝ったらいいのかわからずとまどってしまうことが多いのではないでしょうか。
この本は、声のかけ方やお手伝いの方法などを具体的に学ぶことができ、手助けを必要としている人たちの気持ちも知ることができる一冊です。
「お手伝いしましょうか?」というひとことで救われる人たちがいることを知り、街なかで困っている人たちの手助けをするためには何ができるのかを自分でも考えてみませんか?
10月11日のおすすめ
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『だるまちゃん』シリーズや科学の本で、子どもたちに親しまれてきたかこさとしさんは、2018年にこの世を去られました。
この本は、ことばをおぼえはじめたばかりの子どもたちのために作られたあそび唄「ありさんあいうえお」と、孫の成長をあたたかなまなざしで詩に綴った「まごまごのうた」という未発表の2作品からなります。
亡くなる数か月前、病院で出版の話を聞いたかこさんは、照れながらもうれしそうな笑顔を浮かべられていたそうです。
皆さんは、「あいうえお」を覚えた時のことを覚えていますか。子どものときは、がぎぐげご、ざじずぜぞ、ばびぶべぼなどの濁音は、声に出すだけで楽しくなる魔法のことばでした。
今を生きる子どもたち、そしてかつて子どもだった大人のみなさんへの、かこさんからの最後のプレゼント。
家族で一緒に、声に出して読んでみませんか。
10月4日のおすすめ
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リスは、紙に書いて家の壁に貼っていた〈うきうきする〉という言葉が、何のことだかちっとも思い出せません。ある日、家のすみっこに貼られていた〈ぼくのたんじょうび〉という紙を見て、〈うきうきする〉自分の誕生日がもうすぐやってくることを思い出しました。
それから、リスは動物たちに向けて、誕生日パーティーへの招待の手紙を書きました。1日かけて書き上げた手紙は、屋根をこえる高さになりました。そして、誕生日の朝、来てくれる動物たちにごちそうするケーキを作ることに…。
大きなはちみつケーキ、背の高いケーキ…。来てくれる皆を思い浮かべながら、一つひとつ作り上げました。
招待された動物たちも、思い思いのプレゼントを用意して、どんな格好で参加しようか、と一生懸命準備をしていました。
来てくれる皆を楽しませたい、というリスの気持ちが、動物たちにも届いたのかもしれません。
優しく相手を思いやる気持ちに心が温かくなる1冊です。
9月27日のおすすめ
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江戸時代、幕府は北海道に測量隊を送っていました。平次の父親はこの測量隊に参加していたのですが、そのまま帰ってきませんでした。そこで平次は、伊能忠敬の測量隊に同行を願い出ることにしました。父を探しに行きたいという希望が聞き入れられます。しかし本音は、学問で大成するという目標のため。武士とは名ばかりで、収入が少ない父のようにはなりたくないと思っていたのです。
長く厳しい測量の旅。平次は忠敬の測量に取り組む姿勢を見て、聞き流していた父からの教えを理解できるようになりました。そして自分がどのように生きていくか、その意思をかため、将来のことを考えるようになるのです。
平次は現代の小中学生くらいの男の子です。認められたいという気持ち、将来を不安に思う気持ち、特別な生き方をしたいという気持ち、そんな平次の気持ちに、みなさんも共感できる部分があるかもしれません。
平次の気持ちの変化に注目して読んでみてください。
9月20日のおすすめ
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みなさんはマンボウという魚を知っていますか?不思議な形をしていて、ゆっくりと泳ぐ大きな魚です。図鑑や水族館で見たことがある人もいると思います。
著者である澤井さんは、そんなマンボウの研究者です。
新種のマンボウの発見やそれを公表するまでのエピソード、そもそもマンボウはどんな魚なのか、専門的な話も易しく理解しやすい内容です。
そして、マンボウは上を向いてねむるのでしょうか。そもそも魚はいつねむっているのか、どうやってねむるのか、考えたこともないような疑問にマンボウ博士の澤井さんがいどみます。
マンボウに詳しくなれるのはもちろんですが、好きなことや興味のあることを極めるすばらしさを、きっとこの本から学ぶことができるはずです。
9月13日のおすすめ
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0歳の頃、母親と一緒に国立音楽院のコンサートに行ったユージ。そこでユージは、フルートと衝撃的な出会いをする。それから5年後、天性の才能を認められ、難関の国立音楽院に入学したユージ。しかし、どんなに本気で目指しても、プロになれるのはたったひと握りだけ。そんなクラシック音楽界の厳しさを目の当たりにしたユージの決断とは…。
クラシック音楽界を題材に、15歳の少年の将来への迷いや挫折、それらを乗り越え成長していく姿を描いた青春音楽小説です。
この本の題名である『アドリブ ad lib.』は、ラテン語の「ad libitum」の略で、「自由に」を意味する音楽用語だそうです。また、作中ではクラシック音楽が多数登場するため、音楽用語やクラシック音楽の知識がある人は、より一層楽しむことができる作品となっています。作中で登場する曲を聴きながら、読んでみるのも面白いかもしれませんね。
9月6日のおすすめ
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作者は佐賀県出身(しゅっしん)で、初めて書いた小説『高安犬(こうやすいぬ)物語』で直木賞(なおきしょう)を受賞(じゅしょう)しました。動物の小説が多く、犬の物語が特に面白く感じます。
主人公キバの母は狼(おおかみ)、父は猟犬(りょうけん)で北海道の大雪山(だいせつざん)に生まれた野生犬です。生後6か月のとき、川に流され滝壺(たきつぼ)に落ちたところを女学生の早苗(さなえ)に拾(ひろ)われ、かわいがられて成犬になります。しかし見た目が狼のキバは、いつまでも早苗と一緒(いっしょ)にはいられませんでした。
キバは狼としてサーカスでは虎と、見世物小屋では闘牛(とうぎゅう)と戦う日々を送ります。早苗以外の人に関(かか)わると辛(つら)いことばかりです。
作者は一生の間には嬉(うれ)しい、悲しい、がっかりすることがあり、困難に打ち勝って人(犬)の成長が成(な)し遂(と)げられると語っています。
中学生に向けて書かれたこの小説は、漫画やアニメにもなりました。50歳以上の人は知っているかもしれません。『戸川幸夫動物文学全集』もお薦(すす)めです。
作者は、「イリオモテヤマネコ」を発見したことでも知られています。
8月30日のおすすめ
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ペンギンって寒いところにしか住んでいないと思われがちですが、実は暖かいところにもいるって知ってましたか? 現在確認されている18種類のペンギンはすべて南半球で暮らしていますが、その場所は南極大陸から赤道直下の熱帯までと様々です。
ペンギンをよく知らない人にとって、18種類を見分けるのは至難の技。どのペンギンも同じに見えてしまうのかもしれません。今回紹介する『ペンギンは短足じゃない図鑑』は、そんなペンギン初心者さんにこそおすすめしたい一冊となっています。
作者はSuicaのペンギンをデザインされたことでも有名な、イラストレーターのさかざきちはるさんです。各ペンギンの特徴をしっかり捉えたイラストと簡潔でユニークな説明文に、ペンギンへの興味を掻き立てられること間違いなしです。
さかざきさんはこの本以外にもペンギンの絵本を多数執筆されていますので、機会があればそちらも手に取ってみてください。
8月23日のおすすめ
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会社で嫌なことがあり、仕事を辞めて引きこもっていた、ねこのこふじさん。そんなある日、とねりこ通りに住むおばあちゃんから、世界旅行に出かける間、家のるすばんを頼まれました。家賃の代わりは、月に一度その月らしい行事をして、手紙で知らせること。
最初は誰とも関わりをもとうとしなかったこふじさんでしたが、4月はお花見、5月はころもがえ、6月はウメ仕事、7月は七夕と行事を重ねるごとに、とねりこ通りの住人と仲良くなっていきました。住人の温かさに触れるうちに、こふじさんの心の傷もだんだんと癒されて、ふたたび前向きな気持ちを取り戻すことができたのでした。
四季の移ろいを楽しみながら交流を重ねる、ねこのこふじさんととねりこ通りの住人の1年間を描いた、心温まるおはなしです。
自分はひとりぼっちだと感じている人はいませんか?
そんな時は周りをよく見てみてください。きっとあなたを優しく見守ってくれている人がいるはずですよ。
8月16日のおすすめ
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ある日、届いた不吉な手紙。そこには離れて暮らす兄が碁の会で口論となり殺害されたという内容でした。弟の判右衛門(はんえもん)は息子の判八(はんぱち)を連れ仇討ちに行くことに。ところが失敗したあげく思わぬ悲劇が彼らを襲います。
この本には表題作を含め7つの物語が収録されています。江戸時代の小説家井原西鶴の作品を軸に現代の人々に分かりやすい言葉にし、短い物語に肉付けされています。井原西鶴は庶民の姿をありのまま、冷静に観察することができました。この物語にはほぼハッピーエンドがありません。人間の欲望やこっけいさ、ずる賢さなど人間のネガティブな側面が書かれています。
人が持っている悪い面を否定することなく淡々と表現したこの作品は人間の奥深さを感じさせます。江戸時代の古典で手に取り難いけれど、読み始めるとすぐに物語に引き込まれます。
最近、わくわくする楽しい物語に飽きてきたな、人間の裏側を少しだけ覗いてみたいなという方におすすめです。
8月9日のおすすめ
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どこかの国の森の湖のほとりで人知れず死んだ兵士。彼は一時間前生きて戦っていました。八時間前は仲間と朝食をとっていました。二日前は、一年前は…。
ページをめくるごとに時をさかのぼって兵士の過去を知っていくうち、ひとりの人間が死んだということがしだいにリアルに感じられます。「こんなはずじゃなかった」と思いながらも戦地へ行かざるをえなかった彼の無念さを思って暗たんとした気持ちになります。
残酷な描写はなく数分で読める白黒だけのシンプルな絵本ですが、読んだ時間の何倍も死んだ兵士について考えてしまう、そんな本です。
もし、あなたがこの兵士だったとしたら、どう行動したでしょうか。ぜひ読んで考えてみてください。
8月2日のおすすめ
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物語の主人公は、小学6年生のぼくと川辺と山下。あることをきっかけに「人が死ぬところを見てみたい」という好奇心を抱いた3人は、もうすぐ死ぬと噂されている、一人暮らしのおじいさんを見張ることにします。しかし、ある時おじいさんに気付かれてしまい、ついに少年たちはおじいさんと言葉を交わします……その後、どんな結末が待っているのかは、読んでみてのお楽しみです。
少年たちのとんでもない好奇心から生まれたおじいさんとの夏の思い出は、少年たちの心を大きく変えることになります。
生きるって何だろう。大人になったら、年を取ったら、一体どうなってしまうのだろう……。
将来の夢やこれからのことで悩んで、少し難しく考えてしまった時、おじいさんと少年たちの物語を読んでみると、なんだかちょっとだけ、スッキリするかもしれません。
7月26日のおすすめ
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故郷のアラバマを離れ、父さんと二人でシカゴに引っ越してきたラングストン。大好きな母さんを亡くし、学校では南部の田舎者といじめられていました。
そんな時、偶然見つけた図書館。アラバマでは、黒人は図書館に入れてもらえないと教えられていましたが、そこは、だれでも利用できる図書館でした。
ラングストンにとって図書館は、たったひとつの心が休まる場所になりました。そこで彼は、自分と同じ名前の詩人の本と出合います。その本には、まるで自分の気持ちを表したような、美しい言葉が並んでいました。
それから、ラングストン自身や彼を取り巻く環境は、大きく変わっていきました。黒人にとってまだまだ差別が残っていた時代、図書館は大きな希望を与えてくれたのです。
学びの場であり、癒しの場であり、感受性を刺激してくれる場所である図書館。ラングストンのように、夢中になれる何かを探しに、あなたも図書館に出かけてみませんか。
7月19日のおすすめ
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この本は、いい年をしたおっさんの「ぼく」と、「ぼく」の家にやってくる、おとなになるまえの「きみ」の物語です。
学校で先生から「ことばがなってない」と言われた「きみ」。テストで「作者の気もちが、わかっていない」と言われた「きみ」。家にやってくる「きみ」の話を聞いて、「ぼく」は様々な詩を紹介します。そして「きみ」は夏休みの自由研究で、詩を書くことにしました。
詩や、物語や、音楽、絵画……同じ作品でも、出会う時期によって違うものに感じるときがあります。そのときの自分にとって、心に響く詩に出会えたとしたら、それはずっとあなたの支えになるかもしれません。
大人になって、子どものときの出来事を忘れても、読んだ詩を忘れても、心の響きは残るのではないでしょうか。
詩がわからなくても大丈夫。でも、ふたりのやりとりから、わかろうとすることは大切なことだと感じられます。まずはこの本の詩をじっくり味わってみてください。