小中学生へおすすめ!
4月11日のおすすめから
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日本で「女性差別撤廃条約」が批准されて、35年が過ぎました。では、差別はなくなったのでしょうか。
男女平等の先進国、スウェーデンの10歳の女の子・エッバはある日気づきます。新聞に載っていた『世界の権力者』の写真は、おじさんばかり…どうして女の人はいないのでしょう。その年のG8 のリーダーに、女性はいませんでした。
エッバはこの疑問について、いとこや友達と話し合いを始めました。おばあちゃんに教えてもらいながら、女性の権利についても調べていきます。そこには、エッバが知らなかった長い歴史がありました。
選挙権を獲得し、同じ教育を受けるようになっても、女だから、女らしくという人は大勢います。そこに差別はないのでしょうか。
フェミニズムは、男女で考えるものです。男も女もみんなが自由に、ありのままに、自分らしく生きることができる世界にするには、どうすればいいのでしょう。あなたも、エッバと一緒に考えてみませんか。
4月4日のおすすめから
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本がたくさんある場所と聞いて思い浮かぶのは本屋さん、そしてもう一つは図書館だと思います。
図書館にはたくさんの本があります。本棚の端から端までゆっくりと探して回るのも楽しいですが、本のならび方、ラベルや分類記号の見方、本の種類、検索用コンピューターの使い方、図書館にない本を借りるための方法などを知っておくと、自分が読みたい本と出会う確率はぐっと上がります。
また、図書館は本を「読む」「借りる」だけでなく、本で「調べる」という大事な機能があります。利用者が知りたい情報を集めるのを、図書館の職員は喜んでお手伝いします。このお手伝いのことを「レファレンス(調査・相談)サービス」といいます。この本ではレファレンス・サービスのことも、簡単なストーリーでわかりやすく書いてあるのでおすすめです。
みなさんも『図書館のトリセツ(「取りあつかい説明書」の略)』を読んで、図書館の本と人の力を使いこなしましょう。
3月28日のおすすめから
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「点字」を知っていますか。視覚に障がいのある人が指で触れて読み取る「文字」です。炊飯器のボタンやビールの缶の上にポツポツ、点字は身近にあります。
「日本点字図書館」は本間一夫さんにより、太平洋戦争が始まる前の年に設立されました。今では全国に点字図書館があり、点字図書や録音図書を貸し出しています。佐賀市内にもあります。
本間さんは5歳のとき病気で視力を失います。点字を知る前は、物語を聞くことが楽しみでした。学生時代から点字図書館の設立を夢みて、点字の本を買い集めました。図書館ができてからは、点訳ボランティアを育成して本を作っています。ボランティアは全国に広がりました。
障がいがあっても読書をしたいと思っている人は大勢います。寝たきりや文字を読むのが困難な人に、文字と音で読書ができる「マルチメディアデイジー」が県立図書館にあります。
誰もが読書を楽しめるようにと思っています。
3月21日のおすすめから
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空を飛んでみたいと思ったことはありませんか。
今回紹介するのは、女性だけが飛ぶ力を受け継いできた一族の物語です。
ジョージア・ハンセンはまもなく16歳。ハンセン家の女性たちが代々そうであったように、ジョージアも生まれたときから、自分が飛べることを感覚で知っていました。空を飛ぶのは刺激的でとても楽しいことですが、厳しい掟を守らなければ「飛び手」と認められません。厳格な祖母の支配する家で、母と叔母二人と静かに暮らしてきたジョージアは、成長するにつれて掟に縛られる窮屈さを感じるようになっています。
初めてのソロ飛行の儀式を間近に控えたある日、ずっと昔に家を出たきりだった一番上の伯母が帰ってきます。掟破りのために家を追放された伯母の突然の帰還に、家族はとまどい反発します。伯母の目的は何なのでしょうか。
上空の冷たい風を受け、鳥の群れを避けながら力強く自由に飛び回る飛び手たち。ぜひジョージアになったつもりで夜空の飛行を楽しんでください。
3月14日のおすすめから
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春になるとさくらが咲きはじめます。日本でいちばん植えられているのは「ソメイヨシノ」というさくらです。
この本では、「ソメイヨシノ」が春から次の春までの一年間を通してどのように変化していくのか、イラストを用いてわかりやすく解説しています。また、さくらの花びらや実とたねのつくり、葉っぱのひみつなどナルホドと思えるような知識がたくさんです。
さくらの花をよく見てみると、花びらのかさなり方が少しずつ違っていて、地面に落ちるときの落ち方にも違いがあります。葉っぱにはほかの木にはないめずらしいものがふたつあり、そのうちのひとつ「みつせん」は葉のじくにある小さなつぶで、みつをためてアリをよび、葉を弱らせるアブラムシやハダニをたいじしてもらうものです。
今まで何気なくながめていたさくらにはこんなひみつがあったのかと気づかせてくれる一冊です。
さくらの季節、この「さくら研究ノート」を片手にお花見を楽しんでみませんか。
3月7日のおすすめから
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春夏秋冬、あなたの好きなことはなんですか?絵本作家でもある村上康成さんは、昔から絵を描くことやさかなつりが大好き!
チョコレートがとけるくらい暑い夏の日や、吐く息が真っ白になり雪がしんしんと降った冬の日も、さかなつりへ。さあ、出発です。
この本の魅力の一つは、自然の中でたっぷりと深呼吸しているような、ゆっくりと時間の流れを楽しんでいるような、独特の間です。本をめくると、さかなだけでなく、おいしそうなおにぎり、話しかけてきそうな動植物、そしてさかなつりに夢中な人間の姿など、村上康成さんの絵と言葉の世界が広がっています。
さかなつりが好きな人もそうでない人も、なにか自分の好きなこと、気になっていることを考えながら読んでもらいたい一冊です。
2月28日のおすすめから
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みなさんが普段食べている豚肉はどうやって食卓にあがるのでしょう。私はこの本を読むまで深く考えたことがありませんでした。
鹿児島のある学園では生まれた豚を育て、食べるまで見届けています。夜、母豚の出産が始まりました。生まれたのはつぶらな瞳のかわいい子豚たち。丸まって眠る豚、いたずらをする豚、みんな個性豊かです。
生まれて10か月が経つと、私たちが食べる「肉」にするため、豚は「と場」に連れていかれます。その一方で学園では母豚が新たな子豚を産んでいました。
日本では毎日約6万頭の豚が肉になっていると言います。豚肉を食べる時、その豚のことや関わっている人達を思いうかべることはあるでしょうか。
普段は忘れがちな「命」と「食」について書かれた1冊です。
食卓での「いただきます」と「ごちそうさま」の意味、もう一度考えてみませんか。
2月21日のおすすめから
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エミリーは、中学一年生の女の子です。最近、姉ホリーが亡くなり、姉が大切にしていたぬいぐるみ「ブルーイ」も一緒に埋葬されてしまいました。
彼女は、小さな頃から、話せない姉にブルーイの声で話しかけ、「スモカルーン」という魔法の国でブルーイと姉が冒険する物語を作って読み聞かせしていました。姉が亡くなった後、恋しくて思い出ノートを付け始めると心も落ち着き、スモカルーンに住むぬいぐるみの動く姿を目撃したり、話し声が聞こえたりと不思議なことが起こり始めました。また姉とブルーイは魔法の国で元気に暮らしていることを知ることができましたが、その国が悪魔に乗っ取られようとしていることを聞き、周囲の人と協力して立ち向かうことを決意します。果たして、姉が暮らす魔法の国を取り戻すことができるのでしょうか?
大切な人を失い深い悲しみに沈んでも、ぬいぐるみやおもちゃ達と接し想像力を掻き立て、また自分と同じ境遇の人と接することで悲しみを乗り越え成長していく姿が描かれています。
主人公とともに想像の世界を冒険してみませんか。
2月14日のおすすめから
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主人公のジャックと妹のフラーは、双子の兄妹。学校に行くときも、マジックショーを観に行くときも、いつも一緒です。
そんなある日、ジャックは、自分がフラーが作り出した想像上の見えない友達、イマジナリーフレンドだということを知ります。フラーのイマジナリーフレンドだと知ったジャックは、彼女の下を離れ、自分を探す旅に出ます。そこでジャックは、たくさんの子どもたちと出会います。様々な子どもたちのイマジナリーフレンドを経験していくうちに、ジャックもまた成長していき…。
イマジナリーフレンドとは、直訳すると「空想の友達」となります。主に、一人っ子や長男・長女などに見られる現象だそうです。共に遊び、共に学ぶ、そんな自分だけの友達。自由な想像力が人生を豊かにしてくれる。そう教えてくれる一冊です。
2月7日のおすすめから
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アフリカの草原に一頭の退屈なキリンが住んでいました。ひまを持て余すキリンは、まだ会ったこともない“地平線の向こうのお友達”へ手紙を書こうと思いつきます。「あなたのことをおしえてください」という言葉を添えて…。さて、この手紙、無事に誰かに読んでもらえるのでしょうか?
最近はメールやSNS等がコミュニケーションの主流となり、手紙を出す機会はずいぶんと減ってきました。送ったらすぐに連絡が届くSNSとは違い、封を開けるドキドキ感や、返事を待つ間にどんどん想像がふくらんでいく手紙ならではの楽しさがこの本にはつまっています。誰かを思いながら文章を考え、便箋やペンを選び、心を込めて文字を書く。そうやって届いた手紙は、ただのメッセージではなく、特別な贈り物になることでしょう。
この本には続きがあって、シリーズを通して、手紙をきっかけに世界がすこしずつ広がっていく素敵なおはなしです。
あなたも大切な人へ手紙を書いてみませんか?
1月31日のおすすめ
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あなたの家族はどんな人ですか?あなたは家族の存在をどんな風に感じているでしょうか?
この本には7つの家族にまつわるお話が入っています。どれも主人公は10代前半の男の子。そして、父親や母親、あるいは祖父に対してどこか複雑な思いを抱えています。 最初のお話に出てくる少年、デイモンは、両親の離婚をきっかけに母親と暮らしています。父親の家で過ごせるのは月に一度だけ。母親のボーイフレンドがやってくる家を居心地悪く感じていたデイモンは、父親と暮らすため、荷物を持って父親の家へと向かいます。しかし、着いてみると、家の様子はいつもとどこか違っていて…。
7つの物語に登場する家族は、その関係も、抱えている気持ちもさまざまです。言えないことや聞けないことがあったり、不満を持っていたり、家族の気持ちを重たく感じていたり…。少年たちの揺れ動く心を、ぜひ感じてみてください。
1月24日のおすすめ
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タイトルの『たまごを持つように』というのは、弓道の弓をにぎる力加減のことです。弓だけでなく人間関係においても力をいれすぎると、うまくいかなくなるものです。
主人公は弓道部の中学生3人です。人よりも不器用で弓道もなかなか上達しない早弥、才能にめぐまれているけれどトラブルメーカーの実良、武道を愛する努力家でハーフの春。3人は全国大会を目標に練習にはげみますが、ある時から実良は深刻なスランプにおちいります…。
弓道は剣道や野球、バスケットボールなどに比べるとなじみのうすいスポーツかもしれません。しかし、目標に向かい努力を重ねる姿、ときにぶつかり合う姿は他のスポーツとなにも変わりません。それぞれの悩みや葛藤にいどむ姿に胸が熱くなります。早弥、実良、春の3人は壁を乗り越えて全国大会へ出場することができるのでしょうか?
スポーツや勉強、何かに一生懸命なひとにおすすめの1冊です。
1月17日のおすすめ
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むかしの人たちは、日本のはじまりを、どのように思い描いていたのでしょうか。
この本では、「古事記」という書物の中の、神さまの物語が描かれています。
「ヤマタノオロチ」、「稲羽の白うさぎ」、「海幸彦と山幸彦」などのおはなしを聞いたり、読んだりしたことはありませんか。それらのおはなしは、「古事記」につづられている物語の一部なのです。
「古事記」が書かれたのは今からおよそ1300年前。訳されたものでも難しい内容ですが、この本では、物語がとてもわかりやすい表現で語られていきます。暗く、もやもやとした世界が天と地にわかれるところから始まり、ふしぎな響きの名前を持つ、個性的な神さまたちが次々に登場します。
神話や伝説や歴史を、口伝えから文字として書き記すようになった時代に、当時の人たちが伝えようとした記録の数々。物語だからこそ出会える言葉、古い時代から伝わる物語に、ぜひふれてみてください。
12月27日のおすすめ
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「目の前にあるものは、どれも誰かが運んでくれたもの」なのだと考えたことがありますか。
この本は、「何かを運ぶことは、そこに込められた思いを一緒に運ぶこと」だと語る“運ぶプロ”たちのお話です。
1つ目は、岩手から、東京の上野動物園へお嫁に行くことになったキリンのリンゴのお話。首の長いキリンを、どうやって別の動物園に運ぶのでしょうか。
そして、2つ目は、日本で作られた866両の鉄道車両を、広島からイギリスまで運ぶお話。重い車両がどうやって海を渡るのかとても気になります。
そして3つ目は、小児医療センターから新しい病院まで、患者さんの治療を続けながら引越しするお話です。命に寄り添いながら真剣に作業する大人たちの姿に胸が熱くなります。
いろいろなものが簡単に手に入るようになった今、当たり前だと思えることが、誰かの知恵や努力、熱意によって成り立っていることを感じて欲しいです。
12月20日のおすすめ
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これは100年以上前に書かれたクリスマスの物語です。
安アパートでつつましく暮らす若い夫婦。貧しくて、コツコツとためたお金もたったの1ドル87セントしかなくて、これでは素敵なプレゼントを買えそうにもありません。明日はクリスマスだというのに。
何度も銅貨を数え直して悲しくなるデラですが、大切にしていたあるものと引きかえに、ジムにふさわしい贈り物を手に入れることができました。
さて、ジムとデラが贈りあったものは何だったでしょうか。
名作といわれる古いお話ですが、ふたりが悩んだり喜んだりする姿や、お互いを想いあう気持ちは、今と変わりないものだと気付かされます。
ツヴェルガーの描く淡く繊細な挿絵も静かな魅力があります。お話を知っている人にもそっとめくって欲しい一冊です。
12月13日のおすすめ
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400mハードルの日本記録保持者で、オリンピックに3度出場したアスリート、為末大さんが子どもたちに伝えたい50のことばが書かれた本です。
「負けぐせ」をつけない。「自分らしさ」にこだわりすぎない。自分との約束を破らない…為末さんの経験の中から生まれたことばです。あなたの心に刺さるものはありますか。
どんな人だって、苦しくなったら逃げたくなるし、うまくいかないときは、自分が嫌いになってしまいます。でも、そんな自分と上手に付き合っていかなければ、生きていくのがつらくなるでしょう。
為末さんは、ちょっとした考え方や工夫が「生き抜くチカラ」になって支えてくれるといいます。それが、つらいことや悩みごとがあったとき、あなたの心をちょっと軽くしてくれるかもしれません。
この本が、あなたの人生を生き抜くヒントになって、いろんなことにチャレンジできればいいなと思います。
12月6日のおすすめ
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さて、何を読もう。
読書を趣味で楽しみたいとき、勉強をしたいとき等、様々な場面がありますよね。「何かいい本がないかなー。」と思った経験がきっとみなさんにもあると思います。
この本の著者は、中学校の教員である大居さん。家には10000冊を超える本があり、学校では「毒書生活」というクラス通信を発行されているそうです。なんだか面白そうな匂いがぷんぷんとしませんか?
そんな大居さんが教える読書術。読みたい本の探し方や、テーマ別おすすめ本の紹介等、とても分かりやすくまとめられた一冊です。
そして、この本の中にもある「図書館で本を読もう」というのは私もおすすめ。自分の興味あるなしに係わらず大量の本が並んでいますからね。今は必要なくとも「いろんな本があるな。」と知っていれば後々に役立つかもしれません。時間があるとき、近所を通ったとき、気軽に来てくださいね。そして図書館にいるスタッフも大いにご活用くださいませ。
11月29日のおすすめ
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主人公のエイミー・アンがある日図書室に行くと、大好きで何度も何度も借りた本『クローディアの秘密』がなくなっていました。貸出中かと思い司書さんにたずねてみると、大人たちが『クローディアの秘密』をはじめとするいくつかの本を、「子どもにふさわしくない本」として貸出禁止にしてしまったということでした。
ですが、それに納得のいかないエイミー・アンはあることをひらめきます。それは、貸出禁止の本を自分のロッカーに集めて、読みたい人が誰でも読める「ロッカー図書館」を作ることでした。はたして彼女は、貸出禁止の本をすくうことができるのでしょうか?
このお話には貸出禁止にされた本をはじめ、たくさんの本が登場します。実はそれは全て実在する本です。このお話を読んでから登場した本を実際に読んでみるのも、普通に読むのと違う見方ができて面白いかもしれません。
11月22日のおすすめ
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角笛と鉄のフライパンとまりを七つ。手回しオルガンを背負い、熊の“メドウィーチ”をつれて芸を見せながら村々を旅する“熊おじさん”とよばれる男がいました。
熊おじさんのとくべつな力は「熊のことばがわかること」「心根のいいこと」「七つのまりでお手玉ができること」。
彼らはゆったりと、ひと呼吸に3歩の足取りで旅を続けます。
おじさんにとってメドウィーチは、助け合って生きる相棒でした。やがておじさんの命は尽き、メドウィーチはたった一頭残されます。おじさんがいない世界でメドウィーチはどのように生き続けたのでしょうか。
旅の途中で出会う様々な風景やおじさんが吹く角笛の、銀(しろがね)の玉をころがすような澄んだ音色、メドウィーチの楽しいダンスを想像しながら読んでみませんか。
大人になった時にふと思い出してほしい物語です。
11月15日のおすすめ
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「浦島太郎」や「桃太郎」「金太郎」の話を知らない人はほとんどいないでしょう。
通説では、浦島太郎がカメを助けたことになっていますが、カメに言わせると助けてもらったとは思っていないようです。桃太郎と一緒に鬼ヶ島へ行ったイヌは、きびだんごに釣られてお供したわけではなさそうです。力持ちとして有名な金太郎は、ただの力持ちではなかったのです。
語り手として登場するカメ、イヌ、クマの妙に説得力のある口調が真実味をおびて迫ってきます。
これまで「昔話なんだから多少の無理な設定は仕方ないよね」と思っていたことが、サブキャラたちの証言でスッキリ解決。
疑問に思ったら、常識も疑ってみる。違う視点で見てみたら、今まで気が付かなかったことに気が付くかもしれませんね。
11月8日のおすすめ
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ドラえもんの秘密道具タイムマシンがあったら夢の時間旅行に出かけることが可能かもしれませんね。こんなタイムマシンは空想の産物でしょうか。
現在世界中の科学者が究極の理論を手に入れようと真剣に研究を続け、何種類かのタイムマシンを提案しているのだそうです。アインシュタイン博士を悩ませた難問は解決できるのでしょうか。
速く動くと時間の進み方が遅くなることが分かっています。例えば時速300kmの新幹線で東京から博多まで行くと、時間が約10億分の1秒だけ遅れ、10億分の1秒だけ未来に行けます。既にタイムマシンはあったわけです。
この本ではネズミのチュータとミライネコがタイムマシンの実現可能性を探っていきますよ。
読み進めていくうちに理系脳がきたえられるかもしれませんね。
11月1日のおすすめ
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君は悔いのない人生を過ごしているか?と聞かれて「そうですネ」と即答できる人は少ないでしょう。歳を重ねればなおさらで、「あの時ああしときゃ良かった……」などと悔やむことの連続です。
『ゲゲゲの鬼太郎』の作者として知られる水木しげる先生(自称“水木サン”)は、どんな時も自分で決めたルールを基準にして生きた人です。例えば水木サンが子どもの頃、人が死んだらどうなるか気になって仕方がなくなり、弟を海に突き落としたことがあります(もちろん後でめちゃくちゃ怒られた)。太平洋戦争時の軍隊では、自分のトイレタイムを優先しすぎた結果、点呼に遅れ、脱走兵騒ぎにもなりました(後でめちゃくちゃ上官に殴られた)。
さすがに、こうした巨匠漫画家の生きざまをそのまま取り入れることはオススメしませんが、いまや人生百年時代。一つだけでも、水木サンのような“あなた自身のルー ル”を心に決め、生きてみようではありませんか。
10月25日のおすすめ
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お父さん、お母さんたちはお金を稼いで、みなさんにお小遣いやお年玉をくれます。 お小遣い、お年玉、もらうと嬉しいですよね。
お金があると色んなものが買えます。でも、「貯金しなさい」って言われることもありますよね。
物を買うときには値段がありますが、値段は誰がどうやって決めているのでしょうか?
また、物を買うときに「消費税」も払います。これはどうして払わなければいけないのでしょうか?「貯金」するときの「銀行」ってどんなものなのでしょうか?
そもそも、お金って何でしょう?
丸い金属のお金、四角い紙のお金だけじゃなく、Suica、PayPay、LINEPayなどの実物がない電子マネーもありますね。
大事なことですが、意外と知らないお金のことについて、ばっちり知ることができますよ。
10月18日のおすすめ
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困っている人を見かけたとき、あなたならどうしますか?
私たちは毎日いろいろな人と出会っています。ふだんなにげなく通る道で、目の不自由な人、車いすの人、赤ちゃんをつれた人、耳の不自由な人など、もしかしたら手助けを必要としている人たちとすれちがっているのかもしれません。でも、どう手伝ったらいいのかわからずとまどってしまうことが多いのではないでしょうか。
この本は、声のかけ方やお手伝いの方法などを具体的に学ぶことができ、手助けを必要としている人たちの気持ちも知ることができる一冊です。
「お手伝いしましょうか?」というひとことで救われる人たちがいることを知り、街なかで困っている人たちの手助けをするためには何ができるのかを自分でも考えてみませんか?
10月11日のおすすめ
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『だるまちゃん』シリーズや科学の本で、子どもたちに親しまれてきたかこさとしさんは、2018年にこの世を去られました。
この本は、ことばをおぼえはじめたばかりの子どもたちのために作られたあそび唄「ありさんあいうえお」と、孫の成長をあたたかなまなざしで詩に綴った「まごまごのうた」という未発表の2作品からなります。
亡くなる数か月前、病院で出版の話を聞いたかこさんは、照れながらもうれしそうな笑顔を浮かべられていたそうです。
皆さんは、「あいうえお」を覚えた時のことを覚えていますか。子どものときは、がぎぐげご、ざじずぜぞ、ばびぶべぼなどの濁音は、声に出すだけで楽しくなる魔法のことばでした。
今を生きる子どもたち、そしてかつて子どもだった大人のみなさんへの、かこさんからの最後のプレゼント。
家族で一緒に、声に出して読んでみませんか。
10月4日のおすすめ
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リスは、紙に書いて家の壁に貼っていた〈うきうきする〉という言葉が、何のことだかちっとも思い出せません。ある日、家のすみっこに貼られていた〈ぼくのたんじょうび〉という紙を見て、〈うきうきする〉自分の誕生日がもうすぐやってくることを思い出しました。
それから、リスは動物たちに向けて、誕生日パーティーへの招待の手紙を書きました。1日かけて書き上げた手紙は、屋根をこえる高さになりました。そして、誕生日の朝、来てくれる動物たちにごちそうするケーキを作ることに…。
大きなはちみつケーキ、背の高いケーキ…。来てくれる皆を思い浮かべながら、一つひとつ作り上げました。
招待された動物たちも、思い思いのプレゼントを用意して、どんな格好で参加しようか、と一生懸命準備をしていました。
来てくれる皆を楽しませたい、というリスの気持ちが、動物たちにも届いたのかもしれません。
優しく相手を思いやる気持ちに心が温かくなる1冊です。
9月27日のおすすめ
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江戸時代、幕府は北海道に測量隊を送っていました。平次の父親はこの測量隊に参加していたのですが、そのまま帰ってきませんでした。そこで平次は、伊能忠敬の測量隊に同行を願い出ることにしました。父を探しに行きたいという希望が聞き入れられます。しかし本音は、学問で大成するという目標のため。武士とは名ばかりで、収入が少ない父のようにはなりたくないと思っていたのです。
長く厳しい測量の旅。平次は忠敬の測量に取り組む姿勢を見て、聞き流していた父からの教えを理解できるようになりました。そして自分がどのように生きていくか、その意思をかため、将来のことを考えるようになるのです。
平次は現代の小中学生くらいの男の子です。認められたいという気持ち、将来を不安に思う気持ち、特別な生き方をしたいという気持ち、そんな平次の気持ちに、みなさんも共感できる部分があるかもしれません。
平次の気持ちの変化に注目して読んでみてください。
9月20日のおすすめ
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みなさんはマンボウという魚を知っていますか?不思議な形をしていて、ゆっくりと泳ぐ大きな魚です。図鑑や水族館で見たことがある人もいると思います。
著者である澤井さんは、そんなマンボウの研究者です。
新種のマンボウの発見やそれを公表するまでのエピソード、そもそもマンボウはどんな魚なのか、専門的な話も易しく理解しやすい内容です。
そして、マンボウは上を向いてねむるのでしょうか。そもそも魚はいつねむっているのか、どうやってねむるのか、考えたこともないような疑問にマンボウ博士の澤井さんがいどみます。
マンボウに詳しくなれるのはもちろんですが、好きなことや興味のあることを極めるすばらしさを、きっとこの本から学ぶことができるはずです。
9月13日のおすすめ
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0歳の頃、母親と一緒に国立音楽院のコンサートに行ったユージ。そこでユージは、フルートと衝撃的な出会いをする。それから5年後、天性の才能を認められ、難関の国立音楽院に入学したユージ。しかし、どんなに本気で目指しても、プロになれるのはたったひと握りだけ。そんなクラシック音楽界の厳しさを目の当たりにしたユージの決断とは…。
クラシック音楽界を題材に、15歳の少年の将来への迷いや挫折、それらを乗り越え成長していく姿を描いた青春音楽小説です。
この本の題名である『アドリブ ad lib.』は、ラテン語の「ad libitum」の略で、「自由に」を意味する音楽用語だそうです。また、作中ではクラシック音楽が多数登場するため、音楽用語やクラシック音楽の知識がある人は、より一層楽しむことができる作品となっています。作中で登場する曲を聴きながら、読んでみるのも面白いかもしれませんね。
9月6日のおすすめ
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作者は佐賀県出身(しゅっしん)で、初めて書いた小説『高安犬(こうやすいぬ)物語』で直木賞(なおきしょう)を受賞(じゅしょう)しました。動物の小説が多く、犬の物語が特に面白く感じます。
主人公キバの母は狼(おおかみ)、父は猟犬(りょうけん)で北海道の大雪山(だいせつざん)に生まれた野生犬です。生後6か月のとき、川に流され滝壺(たきつぼ)に落ちたところを女学生の早苗(さなえ)に拾(ひろ)われ、かわいがられて成犬になります。しかし見た目が狼のキバは、いつまでも早苗と一緒(いっしょ)にはいられませんでした。
キバは狼としてサーカスでは虎と、見世物小屋では闘牛(とうぎゅう)と戦う日々を送ります。早苗以外の人に関(かか)わると辛(つら)いことばかりです。
作者は一生の間には嬉(うれ)しい、悲しい、がっかりすることがあり、困難に打ち勝って人(犬)の成長が成(な)し遂(と)げられると語っています。
中学生に向けて書かれたこの小説は、漫画やアニメにもなりました。50歳以上の人は知っているかもしれません。『戸川幸夫動物文学全集』もお薦(すす)めです。
作者は、「イリオモテヤマネコ」を発見したことでも知られています。
8月30日のおすすめ
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ペンギンって寒いところにしか住んでいないと思われがちですが、実は暖かいところにもいるって知ってましたか? 現在確認されている18種類のペンギンはすべて南半球で暮らしていますが、その場所は南極大陸から赤道直下の熱帯までと様々です。
ペンギンをよく知らない人にとって、18種類を見分けるのは至難の技。どのペンギンも同じに見えてしまうのかもしれません。今回紹介する『ペンギンは短足じゃない図鑑』は、そんなペンギン初心者さんにこそおすすめしたい一冊となっています。
作者はSuicaのペンギンをデザインされたことでも有名な、イラストレーターのさかざきちはるさんです。各ペンギンの特徴をしっかり捉えたイラストと簡潔でユニークな説明文に、ペンギンへの興味を掻き立てられること間違いなしです。
さかざきさんはこの本以外にもペンギンの絵本を多数執筆されていますので、機会があればそちらも手に取ってみてください。
8月23日のおすすめ
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会社で嫌なことがあり、仕事を辞めて引きこもっていた、ねこのこふじさん。そんなある日、とねりこ通りに住むおばあちゃんから、世界旅行に出かける間、家のるすばんを頼まれました。家賃の代わりは、月に一度その月らしい行事をして、手紙で知らせること。
最初は誰とも関わりをもとうとしなかったこふじさんでしたが、4月はお花見、5月はころもがえ、6月はウメ仕事、7月は七夕と行事を重ねるごとに、とねりこ通りの住人と仲良くなっていきました。住人の温かさに触れるうちに、こふじさんの心の傷もだんだんと癒されて、ふたたび前向きな気持ちを取り戻すことができたのでした。
四季の移ろいを楽しみながら交流を重ねる、ねこのこふじさんととねりこ通りの住人の1年間を描いた、心温まるおはなしです。
自分はひとりぼっちだと感じている人はいませんか?
そんな時は周りをよく見てみてください。きっとあなたを優しく見守ってくれている人がいるはずですよ。
8月16日のおすすめ
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ある日、届いた不吉な手紙。そこには離れて暮らす兄が碁の会で口論となり殺害されたという内容でした。弟の判右衛門(はんえもん)は息子の判八(はんぱち)を連れ仇討ちに行くことに。ところが失敗したあげく思わぬ悲劇が彼らを襲います。
この本には表題作を含め7つの物語が収録されています。江戸時代の小説家井原西鶴の作品を軸に現代の人々に分かりやすい言葉にし、短い物語に肉付けされています。井原西鶴は庶民の姿をありのまま、冷静に観察することができました。この物語にはほぼハッピーエンドがありません。人間の欲望やこっけいさ、ずる賢さなど人間のネガティブな側面が書かれています。
人が持っている悪い面を否定することなく淡々と表現したこの作品は人間の奥深さを感じさせます。江戸時代の古典で手に取り難いけれど、読み始めるとすぐに物語に引き込まれます。
最近、わくわくする楽しい物語に飽きてきたな、人間の裏側を少しだけ覗いてみたいなという方におすすめです。
8月9日のおすすめ
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どこかの国の森の湖のほとりで人知れず死んだ兵士。彼は一時間前生きて戦っていました。八時間前は仲間と朝食をとっていました。二日前は、一年前は…。
ページをめくるごとに時をさかのぼって兵士の過去を知っていくうち、ひとりの人間が死んだということがしだいにリアルに感じられます。「こんなはずじゃなかった」と思いながらも戦地へ行かざるをえなかった彼の無念さを思って暗たんとした気持ちになります。
残酷な描写はなく数分で読める白黒だけのシンプルな絵本ですが、読んだ時間の何倍も死んだ兵士について考えてしまう、そんな本です。
もし、あなたがこの兵士だったとしたら、どう行動したでしょうか。ぜひ読んで考えてみてください。
8月2日のおすすめ
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物語の主人公は、小学6年生のぼくと川辺と山下。あることをきっかけに「人が死ぬところを見てみたい」という好奇心を抱いた3人は、もうすぐ死ぬと噂されている、一人暮らしのおじいさんを見張ることにします。しかし、ある時おじいさんに気付かれてしまい、ついに少年たちはおじいさんと言葉を交わします……その後、どんな結末が待っているのかは、読んでみてのお楽しみです。
少年たちのとんでもない好奇心から生まれたおじいさんとの夏の思い出は、少年たちの心を大きく変えることになります。
生きるって何だろう。大人になったら、年を取ったら、一体どうなってしまうのだろう……。
将来の夢やこれからのことで悩んで、少し難しく考えてしまった時、おじいさんと少年たちの物語を読んでみると、なんだかちょっとだけ、スッキリするかもしれません。
7月26日のおすすめ
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故郷のアラバマを離れ、父さんと二人でシカゴに引っ越してきたラングストン。大好きな母さんを亡くし、学校では南部の田舎者といじめられていました。
そんな時、偶然見つけた図書館。アラバマでは、黒人は図書館に入れてもらえないと教えられていましたが、そこは、だれでも利用できる図書館でした。
ラングストンにとって図書館は、たったひとつの心が休まる場所になりました。そこで彼は、自分と同じ名前の詩人の本と出合います。その本には、まるで自分の気持ちを表したような、美しい言葉が並んでいました。
それから、ラングストン自身や彼を取り巻く環境は、大きく変わっていきました。黒人にとってまだまだ差別が残っていた時代、図書館は大きな希望を与えてくれたのです。
学びの場であり、癒しの場であり、感受性を刺激してくれる場所である図書館。ラングストンのように、夢中になれる何かを探しに、あなたも図書館に出かけてみませんか。
7月19日のおすすめ
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この本は、いい年をしたおっさんの「ぼく」と、「ぼく」の家にやってくる、おとなになるまえの「きみ」の物語です。
学校で先生から「ことばがなってない」と言われた「きみ」。テストで「作者の気もちが、わかっていない」と言われた「きみ」。家にやってくる「きみ」の話を聞いて、「ぼく」は様々な詩を紹介します。そして「きみ」は夏休みの自由研究で、詩を書くことにしました。
詩や、物語や、音楽、絵画……同じ作品でも、出会う時期によって違うものに感じるときがあります。そのときの自分にとって、心に響く詩に出会えたとしたら、それはずっとあなたの支えになるかもしれません。
大人になって、子どものときの出来事を忘れても、読んだ詩を忘れても、心の響きは残るのではないでしょうか。
詩がわからなくても大丈夫。でも、ふたりのやりとりから、わかろうとすることは大切なことだと感じられます。まずはこの本の詩をじっくり味わってみてください。
7月12日のおすすめ
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これまでに新種の恐竜を9種類発見した小林博士。「化石が好きなのであって、恐竜自体に関心をもっていたわけではない」少年時代から、なぜ恐竜博士と呼ばれるまでになったのでしょうか。この本にはけっして順調ではなかった道のりが書かれています。
流されるまま決めた大学時代のアメリカ留学。ホームシックにかかり、さびしさを忘れようと遊びまわります。けれど内心あせりがつのるばかり。帰国してから本当に自分がやりたいことは何か考えます。
恐竜学者になってからも様々な苦労が絶えませんが、小林博士は前向きに乗り越えていきます。例えばどれだけ探し続けても化石が見つからない時、みなさんはどう感じるでしょうか。普通なら弱気になる場面で、小林博士は「発見なし」でも喜びに変わると言います。その理由は……ぜひ読んで確かめてみてください。
恐竜が好きな人だけでなく進路に悩んでいる人、自分を見つめなおしたい人にもおすすめの1冊です。
7月5日のおすすめ
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新学期がスタートして約2カ月。環境が変わり、不安に感じている人も多いのではないでしょうか。今週は肩の力を抜き、自然体で生きる術を語った中国の古代思想家「老子」の言葉を集めた本をご紹介します。
老子が生きていたと思われる春秋戦国時代は、鉄の生産が広まり社会が急激に発展した時代。果てしない生存競争に、疲れを感じる人も多かったようです。そんな人たちに、老子は流れる“水”のように自然のはたらきに逆らわず、ありのままの自分で柔らかく生きることをすすめます。
二千年以上前から、今の私たちと同じように、とまどいながら生きている人たちがいたと考えると何だか面白いですね。あなたが迷ったり悩んだりしたとき…。ぜひ古典を手に取ってみてください。本の中に、数千年の時をこえて、誰にも話せないことを語り合える理解者が見つかるかもしれませんよ。
6月28日のおすすめ
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小学三年生のマキシとおむつをしている弟のレオンは、パパとママがお出かけのため、大学生で一人暮らしをしている兄トミーのアパートで一週間生活することになりました。
両親と離れて暮らすなんて初めてです。そこでは、兄のアルバイトのお手伝いをしたり、大学の講義に参加したりと冒険のような毎日が待っていました。トミーは、朝寝坊で、パパやママとは違いますが、二人のお世話をしてくれます。兄弟だけで生活するうちに、マキシは、食器洗いやお掃除などお手伝いができるようになりました。弟レオンは、新しいことばを覚え、紙おむつをはずし、トイレに行くようになりました。これは、たった一週間のうちに起こった出来事です。
両親と離れて、ホームシックになっても、いろんな体験を通して成長していく子どもの姿が描かれています。年の離れた仲良し三きょうだいのてんやわんやだけどにぎやかな一週間をのぞいみませんか。
6月21日のおすすめ
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世界で一番有名な名探偵といえば「シャーロック・ホームズ」です。1887年に登場してから、130年以上、世界中の人々を魅了し続けています。
シャーロック・ホームズが初めて登場したのが、この「緋色(ひいろ)の研究」です。ホームズが、相棒のワトソンと出会い、最初の事件に取り組みます。不思議な事件、謎解き、意外な犯人、と、読むとワクワクすること間違い無しです。
「緋色の研究」、どういう意味なのか、読んで確認してみてください。小中学生の皆さんが読みやすいように、イラスト、漫画が豊富に加えられています。当時のイギリスヴィクトリア朝のロンドンの雰囲気も味わえますよ。
この本をきっかけに、ぜひ、広くて深いミステリ(推理小説)の世界に飛び込んでみてください。
6月14日のおすすめ
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いま、日本人の2人に1人はがんという病気にかかるといわれています。
がんは、がん細胞というものが体の中で生まれ、それがどんどん増えることで生じる病気です。もしかすると、あなたや家族、身近な人ががんとたたかっていたり、これからがんになる人がいたりするかもしれません。
この本の主人公もその一人。ママががんになりました。お花にハートにリボン…色とりどりのママの髪飾り・バレッタ。ママは、抗がん剤という薬を使った治療をしていて髪の毛が抜けてしまい、いまはバレッタを使うことができません。
とっても悲しいことだけど、髪の毛がなくても、ママはママ。ママには、生きていてほしい。それに、抗がん剤の治療が終わったら、またちゃんと髪は生えてきます。それまではウィッグや帽子でおしゃれを楽しめるしね。
この物語は、がんになったパパやママの体験がもとになっています。あなたもこわがらないで、本を手に取ってみてください。
6月7日のおすすめ
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自分が生まれ育った国、故郷(ふるさと)からどこか遠くに逃げなければいけない。そんなことになったら、あなたはなにを思うでしょうか。
この物語はそれぞれの事情で故郷を追われ、難民とよばれる存在になった3人の少年少女が登場します。
1939年、ナチスによるユダヤ人への迫害から逃れるため、キューバに向かおうとしたヨーゼフ。1994年、キューバでの苦しい生活と抑圧から逃れるため、アメリカをめざしたイサベル。そして、2015年、シリアでの爆撃により自宅を失い、危険から逃れるため、ドイツをめざしたマフムード。
3人の道のりはどれもつらく厳しいものです。そんな3人の運命が時を超えて交差するとき、あかされる真実とは…。
このお話は物語です。しかし、私たちの世界には確かにヨーゼフやイサベル、マフムードのような思いをしている人たちが大勢いるのです。その事実を知ることが、彼らに寄り添う心を持つ第一歩になるかもしれません。
5月31日のおすすめ
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国語辞典をつくる人を、「ことばハンター」というそうです。この本は、そんな辞書の仕事をする作者が日々、生き物をつかまえるように新しい言葉を見つけていくエピソードがたくさん出てきます。例えば、街に出て読めない漢字の看板を見つけると、写真を撮っておき、字の読み方や意味を知ろうとします。さらに、新しい言葉を発見したら、辞典に載せられるかどうかを見極め、自分の表現で簡潔な説明文をつくります。
最近は「やばい」「ハンパない」という言葉をよく使うようになりましたね。こういう現代言葉も国語辞典には載っています。
辞書をつくる過程が、クイズ形式で書かれているので、考えながら楽しめる本です。言葉の世界にどんどん惹き込まれていくことでしょう。
世の中は、本やインターネット、テレビや新聞などいろいろな情報にあふれています。身近にある言葉の意味を、一緒に考えてみませんか。
5月24日のおすすめ
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大阪市にある「おおさかワンニャンセンター」には、春から秋の間、たくさんの子ねこがやってきます。みんな、のらねこや捨てねこです。センターでは、子ねこのお世話をしながら、新しい飼い主をさがす仕事をしています。でも、母ねこのかわりにうまれたばかりの子ねこを育てるのは、人間にはとてもむずかしいことなのです。センターの職員さんたちは、もっとも世話のかかるちのみごを助けるためにはどうすればいいか、ずっと考えていました。
ある日、動物病院の獣医さんたちから、「センターにやってくる子ねこを協力して一緒に助けよう」という提案が持ちかけられます。こうして子ねこの命のバトンが獣医さんにわたり、「命のリレー」が始まりました。
かわいい子ねこの命を守るために、たくさんの人が命のバトンをつないでいます。わたしたちはどうやってその「命のリレー」に加わることができるだろう、と考えながら読んでみてください。
5月17日のおすすめ
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良い男目当てで、運動部のマネジャーを志望した女子高校生の咲良。部活の見学に行く途中、咲良の前を一人の男子が走り去ります。男子の走る姿に目を奪われた咲良は、その男子の後を追いかけますが、マネジャーの直に阻まれてしまいます。直の冷たい態度に、入部を諦める咲良でしたが、なぜか直の推薦によって半ば強引に陸上部の、リレー専属マネジャーとして入部をすることに…。
陸上部に入部することができた咲良でしたが、陸上についての知識も無く、直が怖かったこともあり、最初はあまり乗り気ではありませんでした。しかし、部員との衝突や自分自身との葛藤などを経験していくうちに、マネジャーの存在意義を知り、大きく成長していき…。
文武両道の青嵐学園高校の陸上部4×100mリレーを舞台に、リレーに全力をかける高校生たちと、ひとりの女子高生の成長を描く1冊です。
5月10日のおすすめ
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家族と離れて、いなか町のコルビーに暮らすこととなったチャーリー。一緒に生活するのは、これまで顔を合わせたこともなかったおばさん夫婦のバーサとガス。チャーリーは戸惑いを隠せず、2人や、クラスメイトのハワードに冷たく当たってしまいます。
ある日、チャーリーは、のら犬を飼う決心をします。帰る場所がないのら犬を自分と重ねたのかもしれません。ウィッシュボーンと名付けたのら犬との出会いが、チャーリーにとって大きなものとなります。
居心地の悪さを感じていたチャーリーですが、周りの人々の優しさに触れる中で、心を少しずつ開いていきます。毎日幸運のしるしを見つけて、願いごとをしているチャーリーのほんとうの願いは叶うのでしょうか?
不安をいっぱい抱えていたチャーリーの心の動きに注目しながら読んでみてください。
5月3日のおすすめ
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5月3日は憲法記念日です。今から73年前、1947年(昭和22年)の5月3日から今の日本国憲法がスタートしました。
憲法にはどんなことが書いてあるか知っていますか?原文(もともとの文章)は難しい日本語で書かれていますので、難しい内容が書かれていると思っていませんか?じつは難しくなく小学生でも理解できる内容なのです。
天皇について、国民の権利や義務について、戦争について、憲法にはどんな風に書いてあるのか、原文と意味を比べながら読んでみてください。「へえーそうだったのか!」と憲法を身近に感じられるはずです。
日本で暮らす全ての人が日本国憲法という大きなルールのもとで暮らしています。憲法記念日という大切な日に、憲法について考えてみましょう。
4月26日のおすすめ
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スポーツクライミングは、垂直にそり立つ壁をホールドとよばれる突起物をつかみながら手と足のみで最上部まで登りきるスポーツです。みなさんはこの競技に視覚障害者がクライマーとして参加していることを知っていますか?
けがでスランプになったクライマーのあかりと視覚障害者の昴。偶然の出会いから、第一印象最悪同士がペアを組み、ブラインドクライミングに挑戦することになります。お互いの考えが理解できずけんかばかりの二人でしたが、少しずつ相手に本音を伝えることで協力して取り組めるようになります。
丁寧に会話を重ねること、相手の気持ちを思いやることの大切さが全編をとおして伝わってくる作品です。果たして二人は目標とする大会で壁を登りきることができるのでしょうか。
2020年東京オリンピックではスポーツクライミングが正式種目に選ばれました。この本でひと足先にクライミングの世界をのぞいてみませんか。
4月19日のおすすめ
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メディアリテラシーとは、新聞やインターネットなどのメディアから得た情報を、正しさを見極め、理解し、活用する能力のことです。これは大人になればだれにでも自然と身についている能力――ではありません! 流れてくる情報を正しく読み取るには練習が必要なのです。
この本は、わたしたちが見聞きしている情報が、実は全体のごく一部でしかないのだと、目で見てわかるように作られているのが特徴です。
ページを開くとテレビやスマートフォンが描かれています。その画面の部分には穴が開いていて、次のページの一部がまるで切り取られた絵のように見えています。
穴はわたしたちを取り巻く世界を覗き見る窓のようなもの。せまい窓からは限られた景色しか見えませんが、窓をひろげる=ページをめくることで、それまで隠れていたものが姿を現すのです。
本書をきっかけに、物事をいろいろな方向から考え、冷静に情報を受け取る習慣を身につけていきましょう。