2023年2月の記事一覧

児童書おすすめ(2月26日)





書名しょめい: 『オイモはときどきいなくなる』             

著者ちょしゃ: 田中 哲弥/著 加藤 久仁生/画


出版社
 しゅっぱんしゃ
:福音館書店
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 小学3年生のモモヨにとって、茶色くて細くてちょっとくさい犬のオイモはかけがえのない存在です。オイモはときどきいなくなります。いつもは暗くなる前に帰ってくるのに、その日は夜になっても帰ってきません。心配しているのはモモヨだけ。みんなはなぜか気にしていません。モモヨは帰ってこないオイモを探しに出かけますが…。
 テンポよくユーモアのある文章と絵本のようにたくさん挿絵があるので、本を読むことが苦手な人にもおすすめです。絵を描いているのは『つみきのいえ』でアカデミー賞短編アニメーション賞を受賞した加藤久仁生さんです。優しい色使いの挿絵がとても素敵です。
 食いしん坊でひょうきんなモモヨですが、じつは頭の中でいろいろな事を考えています。モモヨの夢なのか現実なのかよくわからないふわふわしたところを感じてみてください。読み終わると、オイモがすぐそばにいたような気持ちになり、こころが温かくなる1冊です。


児童書おすすめ(2月19日)




書名しょめい:『ミライを生きる君たちへの特別授業』             

著者ちょしゃ: ジュニスタ編集部/編


出版社
 しゅっぱんしゃ
:岩波書店
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 「今の中学生は、実はとても忙しい。」
 冒頭の一文です。授業のあとに部活動・塾・習い事、それから宿題、もちろんご飯やお風呂だって。なにも部活動・塾・習い事をしている人だけが忙しいわけじゃないですよね。
 人には何かしらの事情があって時間なんてあっという間に過ぎていませんか?
  自分たちの状況や気持ちを分かってくれている本なら、ちょっとめくってみようかな…そう気にしてくれたあなたへ。
  この本は、大人になることへの不安や、進路、いじめ、生きづらさなどがテーマです。
  元アイドルの作家や、新聞記者、俳優・声優、フォトジャーナリスト、エッセイスト・タレントといった方々が、実際に東京の中学校で行った授業をまとめてあります。
  好きなところから読み始めればいいですよ。その方が目にした光景、悩み、そして今。十人十色で、思いもいろいろ。でも、すーっと心に伝わりました。そして好きになりました。
  あなたより少しだけ長く生きている大人たちの特別授業です。

児童書おすすめ(2月12日)




書名しょめい: 『糸子の体重計』

著者ちょしゃ: いとう みく/文 佐藤 真紀子/絵


出版社
 しゅっぱんしゃ
:童心社
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 おいしいものを食べることが大好きな糸子が、給食のおかわりをめぐってからかわれた転校生をかばったことで、なぜか一緒にダイエットをするはめになります。
 教室に集うのは、考え方も家庭環境も、大切なものも違う友だちです。
 大柄だけど自分に自信のない高峯さん。人に裏切られる怖さを知っている少し大人びた町田さん。その町田さんに憧れて、顔色をうかがってしまう坂巻さん。親との関係に悩んでいるけれど、てきとーにふわふわと生きていこうと思っている滝島くん。
 がさつでずうずうしい糸子ですが、人一倍友だちを見ています。そして、まっすぐな言葉と行動で、みんなの気持ちを前向きにしてくれるのです。
 みんなと仲良くすることは、正しいことだけれど難しい。そう感じている人に読んでほしい一冊です。
 そして、この本の続き、糸子たちの卒業までの物語もあわせておすすめです。

児童書おすすめ(2月5日)




書名しょめい: 『コーヒーを飲んで学校を建てよう』

著者ちょしゃ: ふしはら のじこ/文・絵 辻村 英之/監修


出版社
 しゅっぱんしゃ
:実生社
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 アフリカのキリマンジャロ山にあるルカニ村は、コーヒー栽培に適した土地といわれるコーヒーベルト地帯(赤道を挟んで、それぞれ南北25度の間)にある世界有数のコーヒー産地です。
 この村では、赤ちゃんが生まれるとコーヒーの木を植える習慣があります。学校に入る頃には花が咲き実がなり始め、成人する頃には安定した収穫で暮らしを支えてくれます。人とコーヒーは共に成長し一生を過ごすのです。
 ある時期、世界的にコーヒーの値段が下がり、村の暮らしが危機に見舞われました。これを救ったのが日本人によるフェアトレード支援でした。皆さんは、このフェアトレードという言葉を知っていますか。フェアは公正、トレードは貿易を意味し、途上国の暮らしを守り自立を支援する仕組みです。
 私たちは食べ物をとおして世界とつながっています。作っている人の顔を思い浮かべれば、皆さんにも世界のいろいろな仕組みが見えてくるはずです。