2019年1月の記事一覧

1月27日のおすすめ

おすすめの本

書名しょめい:『百年の家』
著者ちょしゃ:J.パトリック・ルイス 出版社しゅっぱんしゃ:講談社

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 その家がつくられたのは1656年。これまで様々な家族がそこで暮らしてきました。やがて住む人がいなくなり、廃屋となっていたその家を、偶然子どもたちが見つけます。そして再び、ある家族が住むようになったところから、物語は始まります。主人公は、この家。新しい命が吹き込まれてからの百年を静かに語ります。
 家は頑丈に改装され、その家族は果樹を育てながら暮らしていきます。結婚式や新たな命の誕生、家族の死、そして戦争……家は、それらの出来事をただ見守り続けます。百年の間に一軒の家が見る人々の人生や、世の中の移り変わり。幸せなことや、悲しいこともあるけれど、そんな日々の積み重ねが歴史を作っていくのだと感じられます。ページをめくるたびに変わる時代、そして人々や風景が細かいところまで描かれた、本当に美しい絵本です。

1月20日のおすすめ

おすすめの本

書名しょめい:『十年屋 時の魔法はいかがでしょう?』
著者ちょしゃ:廣嶋玲子 出版社しゅっぱんしゃ:小学館
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 古くても捨てられない、大事に保管しておきたいもの。意味があるもの、守りたいもの、そして遠ざけたいもの。ほかの人から見ればガラクタのようなものでも、大切な思いが詰まったものが誰にでもあるのではないでしょうか。
 そういうものを思い出と一緒に、魔法の力で預かってくれる「十年屋」。背の高いスマートな魔法使いと、かわいい猫の執事・カラシがいるお店です。この店を必要としている人には、招待状が届くのです。
 でも、この魔法には対価が必要で、それは寿命1年分。しかも魔法使いとの約束を破ったら、大変なことがおこります。それでも預けたいものが、あなたにもあるでしょうか。
 「十年屋」に来た人たちは、カラシがいれるあったかい飲み物とおいしいお菓子で癒されます。ちょっぴりこわいところもありますが、優しい気持ちになれるお話です。

1月13日のおすすめ

おすすめの本

書名しょめい:『だれも知らない小さな国』
著者ちょしゃ:佐藤さとる 出版社しゅっぱんしゃ:小学館
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 主人公のぼくは、小学校三年生の夏、不思議な体験をしました。当時、子どもたちの間で流行の「とりもち」を手に入れるため峠の向こうの小山に出かけ、美しいいずみを見つけました。また、この小山が「鬼門山」という名前で、「こぼしさま」と呼ばれる魔物(小人)の伝説があることを知りました。その後、この場所で、小川を流れていく小さな赤い運動ぐつに乗った「こぼしさま」を見つけてしまったのです。それ以降、ぼくにとって忘れられない大切な秘密の場所となりました。
 ところが、引越しや戦争などでしだいに忘れてしまいます。
 終戦後の蒸し暑い日、中学上級生になったぼくは忘れてしまった秘密の場所を訪れることになり、その日から周りで不思議なことが起こるようになりました。
 何もない場所で突然物音がしたり、風もないのにカーテンが揺れたりしたことがありませんか?そんな時自分の知らない別世界を感じることがあります。大きくなると忘れてしまいがちな感覚を呼び覚ましてくれる、子どもの頃に出会ってほしい1冊です。