2019年6月の記事一覧

6月30日のおすすめ

おすすめの本

書名しょめい:『落語ねこ』
著者ちょしゃ:赤羽じゅんこ 出版社しゅっぱんしゃ:文溪堂
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 5年生の七海は、おじいちゃんの飼っているデブねこ「クマハチ」を、しばらくの間預かることになりました。公園で休けいしていたところ、隣から変な声がします。おどろいた七海が見たのは、しゃべるデブねこの姿でした。実は、交通事故で亡くなった不運な落語家が幽霊となってそのねこにとりついていたのです。その落語家「如月亭大福 (きさらぎてい だいふく)」が成仏できなかったのは、大切な何かをやり残していたからなのでしょうか。
 一方、七海は抱えている悩みがありました。 クラスメイトの女子たちとうまくいかず、ラインで悪口が広がってしまっているのです。
 落語家「大福」の心残りと七海の悩みを軸に、時に落語のネタもおりまぜながらお話は進んでいきます。笑いと心温まる感動のお話です。
  また、SNSでのいじめや情報の拡散など、現在の問題についても深く考えさせられる1冊です。


6月23日のおすすめ

おすすめの本

書名しょめい:『カーネーション』
著者ちょしゃ:いとうみく 出版社しゅっぱんしゃ:くもん出版
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 みなさんにとって、家とはどんな場所ですか?ホッと安心できる場所でしょうか?
 この本の主人公・遠野日和(ひより)は中学一年生。彼女にとって家は、いつも緊張し、家族に気を使わなければならない苦痛を伴う場所でした。
 日和は母と手をつないだり、抱っこをしてもらったことがありません。はじめは疑問に思わなかった日和でしたが、妹が生まれたときに、自分には見せたことのない優しい顔で赤ちゃんを抱く母を見て「あたしはお母さんにきらわれている」と確信します。かわいがられる妹を見て、自分も愛されたいと願いますが、母からは冷たい言葉しか返ってきません。しかし、陰では日和の母もまた、我が子を愛せないことに悩み、苦しみ続けていたのです。
 物語は複数の登場人物の視線で語られていきます。日和だけではなく、母・愛子、父・慎弥、3人それぞれの心の葛藤に注目してください。


6月16日のおすすめ

おすすめの本

書名しょめい:『よむプラネタリウム夏の星空案内』
著者ちょしゃ:野崎洋子 出版社しゅっぱんしゃ:アリス館
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 間もなく七夕ですね。夜空では織姫と彦星が年に1度の出会いをします。星といっても空に無数に輝く星々。星座が判らない人にはどれがどの星座なのかさっぱり判らないものでしょう。 
  この本には実際に空を見上げた状態での星図が載っていて、どこにどの星座があるのか判りやすく説明してあります。夏の星座を探すための目安になるヒントもあります。また有名な星座の神話や夏に見える流星群のお話などもあり楽しめます。きれいな星空や星雲の写真はまるでプラネタリウムを見ているようです。 
  今の季節は雨で星なんて見えないかもしれません。  そんな時は本の世界で星空を楽しみましょう。そして晴れ間に空を見上げてみてください。星たちが待っていますよ。


6月9日のおすすめ

おすすめの本

書名しょめい:『どうぶつ会議』
著者ちょしゃ:エーリヒ・ケストナー 出版社しゅっぱんしゃ:岩波書店
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 世界中で起きている紛争や食料危機。最初にその犠牲になるのは子どもたちなのに、人間たちの会議はいつも決裂に終わり、問題はいっこうに解決しません。そんな状況に業を煮やした動物たちは、自分たちも「どうぶつ会議」を開くことにしました。会議の目的はただ一つ「子どものために」。子どもたちを守るため、未来の世界を良くするために、動物たちの会議は人間の会議にいろいろな要求をします。人間と動物の話し合いはうまくいくのでしょうか?
  世界が良くなるために、動物たちは自分ができることを考え行動します。みんなも自分には何ができるか考えながら読んでください。
  会議の行方も気になりますが、会議の参加者にも注目です。あの有名なマウスや長靴をはいているネコも絵本の中から抜け出して会議に参加していますよ。

6月2日のおすすめ

おすすめの本

書名しょめい:『石を抱くエイリアン』
著者ちょしゃ:濱野京子 出版社しゅっぱんしゃ:偕成社
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 1995年生まれの市子。生まれた時、世間は地下鉄サリン事件、阪神・淡路大震災など歴史に残る出来事が多数起こり、すでに不景気が始まっていました。2010年中学3年生になったものの将来に希望が持てない日々。それでも個性的な仲間たちに刺激を受けながら、楽しく過ごしています。
 文化祭で一人の生徒をきっかけに原発について調べることになりました。そして年が明け図ったかのようにあの東北の大地震が……。ふいに訪れる当たり前の日常の崩壊、昨日まで隣にいた人がいなくなってしまう。それでも悲しいことを受け止めながら主人公は次のステージに進んでいきます。
 なんでもない毎日が実は1番大切で愛おしく感じられる1冊です。最後まで読むと不可解なタイトルの意味に気が付きます。また、平成時代の世の中の出来事も書かれており、そういえばこんなこともあったなと当時を振り返るにもぴったりな本です。