2020年3月の記事一覧

3月29日のおすすめ

おすすめの本

書名しょめい:『ぼくたちは卵のなかにいた』
著者ちょしゃ:石井睦美 出版社しゅっぱんしゃ:小学館
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 11歳のリョウは、卵の中の楽園のような世界で穏やかに暮らしていました。卵の世界には特別なきまりがあります。この世界に生まれた者は13歳の誕生日までに、この世界を出るか、とどまるか、決断しなければならないのです。家族や友達とのことも考えながら、リョウが悩んで選択した先には過酷な運命が待っていました。果ての見えない平原を歩き続けたり、自分の気持ちを隠して他人の息子として暮らしたりする中で、リョウは自分自身と向き合うことになります。
  みなさんもこの先、自分自身で決断することが増えるでしょう。時にはつらかったり苦しかったりするかもしれません。そんな経験の積み重ねが自分というものをつくっていくと思えたら、難しい決断も勇気を持ってできるのではないでしょうか。ぜひ読んでみてください。そして、大人になっていくみなさんが決断することを迷ったときには、このお話を思い出してみてください。           

3月22日のおすすめ

おすすめの本

書名しょめい:『イースターのたまごの木』
著者ちょしゃ:キャサリン・ミルハウス 出版社しゅっぱんしゃ:徳間書店
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 「イースター」は、キリスト教で春の訪れを祝うおまつりのことです。イースターの日にはうさぎが卵を運んできて庭に隠して行くと言われています。子どもたちは、その卵を探したり、卵に絵を描いて飾ったりして楽しく過ごします。  
 1950年にアメリカで出版されたこの本は、永く読み継がれています。伝統的なイースターの習慣がほのぼのとした文章で描かれ、挿絵も温かみのある色使いで、当時の建物や庭の様子がよくわかります。おはなしの途中にある挿絵は、読み進める手助けをしてくれます。最後まで読むと1冊読めたという達成感を味わうことができます。絵本から幼年童話へと読み進んでいる人におすすめです。
 また、日本にもいろいろなおまつりがあるので、そのことについて書かれた本も読んでみてください。                    

3月15日のおすすめ

おすすめの本

書名しょめい:『万人の父になる』
著者ちょしゃ:横山充男 出版社しゅっぱんしゃ:学研プラス
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 「こころざし」ってどんなものでしょうか。

 人が心の中で、何をしようかと考える中身のことをいいます。こころざしがないと、何がしたいか決まらないし、それを作り上げるには時間がかかります。  
 この物語の主人公はこころざしを持ち、まわり道をしながらもやり遂げた人物です。ただ、その道を志すまでにものすごく時間を要しました。最初は学校の先生になるのですが、悩んだ末、医者になります。そして今のように、福祉という考え方がない明治から昭和にかけて身よりのない子どもと一緒に生活する施設をつくりました。  
 もともと体が丈夫ではなく、病気がちだったようですが、晩年は少しずつ体と心が強くなっていきました。人生は一度きりというように、人間らしく悩みながらも後悔しないように歩んでいきたいと感じられる物語となっています。


3月8日のおすすめ

おすすめの本

書名しょめい:『なりたて中学生 初級編』
著者ちょしゃ:ひこ・田中 出版社しゅっぱんしゃ:講談社
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 学校の区分け「校区」、それは子どもにとって国境と同じくらい大きな壁で、隣の校区はもはや外国のような異文化の世界です。 ほんのちょっと離れたところに引っ越しただけなのに校区が変わり、小学校の仲間とは別々の中学校へ通うことになってしまった男の子の葛藤と成長の物語。
 すぐ誰かに頼りたいと思ってしまうヘタレのテツオは、まわりに知っている友達がゼロという絶望的な状況で入学式を迎えます。 新しい担任、クラスメイト、部活、スマートフォン問題、すべてが未知の環境の中で、自分の立ち位置をさがして奮闘する普通の男子の心の声が溢れています。
 小学校から中学校へ、新生活のドキドキ感をテツオと一緒に味わってください。 大阪弁でのやり取りが面白く、憂うつな気持ちをちょっとだけ軽くしてくれます。
 中級編、上級編とテツオの成長は続きます。こちらも続けて読んでみてください。

3月1日のおすすめ

おすすめの本

書名しょめい:『カイト』
著者ちょしゃ:マイケル・モーパーゴ 出版社しゅっぱんしゃ:あかね書房
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 「いいかい、チビすけ、にいちゃんはカイトを飛ばすたんびにいま空にあがっているのは自分だって思うんだ。」
  ここはパレスチナのヨルダン川西岸地区。 紛争地帯で隣のイスラエルとは土地を巡り争っているため、フェンスや壁で隔てられています。映画を撮るために訪れた主人公は、ある少年に出会います。戦争で大切な家族を亡くし心に深い傷を負った少年は、話すことができません。けれど敵対している壁の向こう側にも平和を望む同じ人々がいることを知っています。少年は祈りを込めサラーム(平和)と書いたカイトを壁の向こうに飛ばします。
  少年の思いは壁の向こう側に届くのでしょうか。未だ続く激しい紛争の中、主人公は平和への一歩の奇跡に遭遇します。いつか壁がなくなり皆が幸せに生活できる日が訪れてほしい、そう願わずにいられない一冊です。