小中学生へおすすめ!
児童書のおすすめ(10月8日)
書名 :ぼくは本のお医者さん
著者 :深山 さくら/作
佼成出版社
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小さなころから大好きだった絵本や読み物、図鑑など、何回も読んで破れ、痛んでしまってもずっと手元に置きたいと思うことはありませんか?
そんな思いに応えてくれる人がいます。
製本会社を営んでいる齊藤英世さんは、本業のかたわら本の修理をする「ブックスドクター」の仕事も行なっています。
本の修理とは新品のようにきれいしてお返しすること?いえいえ、そうではありません。一冊一冊の本には持ち主の本に対する思い出、歴史があります。手あかや小さな汚れ、それらを残しながら元の雰囲気を壊さないよう最小限の修理を施していきます。
本にはデジタル化の波が押し寄せていますが紙の手触り、インクの匂い、ページをめくる音、五感で感じられる実物の本も人々の思いによって残されていくのかもしれません。
昔、読んだ本を取り出してそっとなでてみたくなる1冊です。
児童書のおすすめ(10月1日)
書名 :なんで勉強しなきゃいけないの? 1
著者 :W I L Lこども知育研究所/編著
金の星社
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あなたは学校の勉強が好きですか?宿題なんてやりたくないですか?
この本は5人の著名人がそれぞれ、子どもの頃はどんな子どもだったのかを思い返し、大人になった今、どうして勉強をした方がいいのか、自分の考えを語っています。その著名人のひとりで紛争解決請負人の伊勢﨑賢治さんは世界で生き抜くためには国際感覚が必要だと言っています。その国際感覚とは「さまざまな国の価値観を知り、その国に対して尊敬の心をもつこと」「相手と話し合うとき、ひきょうなまねをしないこと」「言いたいことをはっきり言うこと」を基本にしています。この考え方は、国に対してだけでなく、個人対個人のコミュニケーション時にも大事なことではないでしょうか。
ひとえに勉強というと難しく考えてしまいがちですが、いろいろな人の考え方を知り、こんな考え方もあるのかなと共感できたら、あなたの勉強に対する立ち位置が今よりもっと楽しいものになるかもしれません。
児童書のおすすめ(9月24日)
書名 :最後の語り部
著者 :ドナ・バーバ・ヒグエラ/著 杉田七重/訳
東京創元社
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彗星が地球に衝突するとわかり、一部の選ばれた人々は、別の惑星を目指して旅立つことになりました。主人公のペトラも選ばれたひとりです。そのころ地球では、多様性を否定し、コレクティブという単一社会をつくる、という運動が広がっていました。
ペトラはいつもお話を語ってくれた祖母を残し、自分の目がほかの人とは違う見え方であることを秘密にして、宇宙船に乗り込みます。眠っている間に目的地へ着く予定でしたが、381年経って目覚めたとき、コレクティブの人々が船内を支配していました。地球から来たペトラ以外の人たちは、眠っている間に記憶を消され、従わない者は排除されていたのです。
ペトラは自分に地球の記憶が残っていることを気づかれないよう注意しながら、コレクティブ社会からの脱出を計画します。それを支えてくれたのが、祖母が語ってくれたお話でした。
受け継がれるお話の力強さを感じることができる、読み応えのある物語です。
児童書のおすすめ(9月17日)
書名 :給食が教えてくれたこと
著者 :松丸 奨/著
くもん出版
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私が給食で思い出すのは、毎月1回の「お楽しみ給食」。各クラス順番に好きなメニューをリクエストできたのです。でもみんな好きなメニューは似たり寄ったりで、ココアパンやゼリーなど、とにかく定番の人気メニューがよく登場していました。
さて、この本の著者の松丸さんは、給食の献立を考える栄養士さん。実は給食が大嫌いだったそうです。野菜も魚もお肉も嫌い! 苦手な食べ物が多すぎて、給食はほとんど食べられませんでした。そんな松丸さんに、栄養士さんがこう話してくれます。
「全部が無理なら、一口でも食べてみて。きっといいことが起こるよ。」
それからというもの、鉄棒の逆上がりができたり、テストでいい点がとれたり、背が伸びたり、風邪をひかなかったり、いいことは何でも給食のおかげだと思うようになりました。松丸さんが栄養士を目指したきっかけです。
栄養士の仕事のこと、それから皆さんに伝えたいこと。ぜひ手に取ってみてください。
児童書のおすすめ(9月10日)
書名 :長い長い夜
著者 :ルリ/作・絵 カン・バンファ/訳
小学館
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この物語は名前のないペンギンの「ぼく」と、その「父さん」たちのお話です。
最初に登場するのはシロサイのノードン。彼は理不尽な人間によって大切な家族や仲間を奪われてしまいます。それからの彼にとって、悪夢を見そうで眠れそうにない日は、夜がいっそう長くなるのでした。
ある日、ノードンは1匹のペンギン、チクと出会います。チクも人間同士の戦争によって、大切な仲間を失いますが、なんとか守ることのできた卵を運んでいました。2匹は戦争で火事になった動物園から逃げ出し、暗い悲しい気持ちの中、卵を守るため旅に出ます。
この旅の中で彼らは、家族や仲間との大切な想い出を語り合いながら、お互いを支え合っていきます。
そして、語り継がれた沢山の思い出は、卵だった「ぼく」を励まし、生きていく勇気をくれました。
私たち自身も、色んな出来事やたくさんの出会いがあって、今の自分がいるということに気づかせてくれるお話です。