小中学生へおすすめ!
2月9日のおすすめ
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「『自分がされてイヤなこと』を三つ探してくること」。これは、人間関係に悩む主人公のジュンヤに与えられたミッションです。
父親の仕事の都合で、オーストラリアで暮らしているジュンヤ。これまで住んでいた町とは別の場所に引っ越し、新しい学校に通うこととなります。 滑り出しは順調、と思いきや、仲が深まるはずだったバースデーパーティーをきっかけに、クラスメイトとの関係がギクシャクし始めます。落ち込むジュンヤの支えとなったのは、転校生のジェイソンと、ジェイソンの祖父であるグランパでした。 ミッションと向き合う中で、ジュンヤは、これまで自分がとった行動を振り返ります。
一人ひとり考え方や捉え方が違うからこそ、 言葉にして伝えることは大切なのかもしれません。
「受け入れることは真っ向勝負すること」。悩むジュンヤの心には、グランパの言葉が深く刺さります。発した言葉が棘となっていないか?読みながら、考えさせられる1冊です。
2月2日のおすすめ
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サウスウッドの町に引っ越してきたバートラム。出掛けた先で古い路地を見つけます。塀には“ゆびぬき小路”の文字。小路に入ると、古着屋、古道具屋、仕立屋がありました。バートラムはここで不思議な体験をすることになります。
きっかけは古着屋でコートを買ってもらったこと。そのコートには、ひとつだけ変わったボタンがついていました。糸を通す穴が五つあり、ボタンを留めている糸が星形になっているのです。仕立屋ロザムンドが作ったというコートは、バートラムをまじないにかかったような気持ちにさせました。
最初は何が起こっているのか理解できなかったバートラムですが、古い言い伝えをヒントに、“ゆびぬき小路”の秘密に近づいていきます。 “ゆびぬき小路”にかかわる人々の人生と、町の歴史を知ったバートラム。人々の歩んできた人生を尊重するようになる、彼の心情の変化に注目して読んでください。
1月26日のおすすめ
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あるところに、みにくいとおそれられ、いつもひとりぼっちのけものがいました。みにくい自分にたべられてかわいそうだと、川の魚にもなみだをながす心やさしいけものでしたが、いつしかひとめをさけ、自分のすがたを見ないようにしていきるようになりました。
そんなある日、けものは目が見えない女の子と出会います。女の子には、けもののみにくいすがたは見えません。けがふさふさの犬、大きなひづめのロバ、ふかふかのほしくさのにおい。手でふれかんじたまま、「わたしのみたことない、いろんないいものににている」と、けものにかたりかけます。こうして、ふたりはすこしずつ心をかよわせていきますが……。
目で見えるものだけでなく、心で感じることの大切さにあらためて気付かされます。ひらがなで書かれた言葉のひとつひとつが繊細で、とても美しい絵本です。
1月19日のおすすめ
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日曜日と聞くと、何を思い浮かべますか。前もって予定を入れて外に出かけることを考える人もいれば、何も入れず家で体を休めるという人もいると思います。学校に行けなくなってしまった繭(まゆ)は、家で一週間を過ごして今日が何曜日なのか考えることがなくなっていました。繭がカーテンから、外を見てみると電柱に不思議な矢印が書かれています。その矢印が気になりおそるおそる外に出てみると、日曜日だけ開かれるスケッチギャラリー「日曜日舎」にたどり着きました。
そのギャラリーに参加して好きだった絵画をまた始めることで、どうして悩みから抜け出せないのかということや、少しずつ家族との関係を見つめ直すきっかけになっていきます。
自分の行きたい道は何だろうと必死に考えるひたむきさに心が打たれる一冊です。
1月12日のおすすめ
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主人公シェーンは野球部のエースピッチャー。イラストも得意で長編漫画を描く趣味をもち、充実した日々を過ごしています。
しかし彼には解決したいことがありました。それは自分の身体と心の性とを一致させること。彼は女性の身体をもち、心は男性のトランスジェンダーだからです。以前通っていた学校で撮影された1枚の写真が、彼の環境を大きく変え始めます。真実がわかった時、親やクラスメイト、友人たちはどんな反応をみせるのでしょうか。さまざまなエピソードを通し、当事者が普段どんなことに悩み困っているのかが、ほんのわずかですが見えてきます。もしかしたら自分が気づいていないだけで、同じ様に苦しんでいる人が身近にいるのかもしれないと考えさせられる本です。
ラストでシェーンがどのような一歩を踏み出すのか、最後まで彼の気持ちに寄り添い、読んでみてください。