小中学生へおすすめ!

2月17日のおすすめ

おすすめの本

書名しょめい:『テディが宝石を見つけるまで』
著者ちょしゃ:パトリシア・マクラクラン 出版社しゅっぱんしゃ:あすなろ書房
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 犬のテディは、人間の言葉を理解することができます。なぜなら、保護施設にいたテディを連れて帰ってくれた詩人のシルバンさんが、いつも詩を読んで聞かせてくれたからです。ところが、シルバンさんはテディのもとからいなくなってしまいます。
 「きみが、宝石をひと粒かふた粒見つけられるといいな」
テディは、シルバンさんが残したそんな言葉が気になっていました。シルバンさんがいなくなってから数日が経ったある日、テディは吹雪の中迷子になってしまった兄妹と出会います。シルバンさんに救われたように、今度はテディが兄妹2人を助けます。一緒に過ごしていく中で、テディはシルバンさんが残した言葉の意味を知ることとなります。シルバンさんとの出会いによって、思いもよらなかった心温まる繋がりが生まれます。
 物語は、テディの記憶と共に進みます。その中に表れている、寂しさや悲しさ、シルバンさんへの気持ちにも注目して読み進めてみてください。

2月10日のおすすめ

おすすめの本

書名しょめい:『レモンの図書室』
著者ちょしゃ:ジョ-・コットリル 出版社しゅっぱんしゃ:小学館
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 鮮やかなレモンがらの表紙と「図書室」というタイトルに惹かれます。読んでみると表紙のイメージとは反対に重いテーマでした。欧米では、レモンは「欠陥品」「困難」の象徴とされていることをこの本で知りました。
 妻をなくした悲しみから逃れるために仕事に逃げ込み、娘の面倒を見ない父親と母親の大好きだった本の世界を心の支えに親しい友人もつくらず、ひとりぼっちの生活をおくっていた主人公カリプソ。そんな主人公のもとに本好きな転校生が話しかけてきたところから、カリプソの生活が輝きだしていくお話です。友情のすばらしさを教えてくれます。そして、親友の家族とのふれあいにより、閉ざされていた父親の心にも良い変化があらわれ、父子の関係も修復していく物語です。
 カリプソの困難と戦う前向きな生きかたに応援をおくるとともに、勇気をもらえる一冊です。

2月3日のおすすめ

おすすめの本

書名しょめい:『チョコレート・アンダーグラウンド』
著者ちょしゃ:アレックス・シアラー 出版社しゅっぱんしゃ:求竜堂
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 舞台はチョコレートが禁止された国。「健全健康党」が選挙に勝利して、新しい法律ができたのです。図書館の本は燃やされました。党の教育用ウェブサイトから学び、党が指定する材料で作ったものを食べなければいけません。
 ハントリーのお母さんは言いました。
 ―多くの人が投票する手間をかけなかった。誰もが「他の人もあの党に反対だろうから、自分がわざわざ行くこともない―
 スマッジャーのお母さんは、ある政治家の言葉を言いました。
 ―悪が栄えるためには善人がなにもしないだけでいい―
 チョコレートが大好きなハントリーとスマッジャーは考えます。党の命令に従うべきなのだろうか。このままで良いのだろうか。
そして、反骨精神あふれるふたりは立ち上がりました。
 トラブルを好まない市民や、考えることをしない党員の気持ちに変化を起こすことはできるのでしょうか。
 テンポの良い軽快な文章で、どんどん物語の世界へ引き込まれること間違いなしの一冊。

1月27日のおすすめ

おすすめの本

書名しょめい:『百年の家』
著者ちょしゃ:J.パトリック・ルイス 出版社しゅっぱんしゃ:講談社

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 その家がつくられたのは1656年。これまで様々な家族がそこで暮らしてきました。やがて住む人がいなくなり、廃屋となっていたその家を、偶然子どもたちが見つけます。そして再び、ある家族が住むようになったところから、物語は始まります。主人公は、この家。新しい命が吹き込まれてからの百年を静かに語ります。
 家は頑丈に改装され、その家族は果樹を育てながら暮らしていきます。結婚式や新たな命の誕生、家族の死、そして戦争……家は、それらの出来事をただ見守り続けます。百年の間に一軒の家が見る人々の人生や、世の中の移り変わり。幸せなことや、悲しいこともあるけれど、そんな日々の積み重ねが歴史を作っていくのだと感じられます。ページをめくるたびに変わる時代、そして人々や風景が細かいところまで描かれた、本当に美しい絵本です。

1月20日のおすすめ

おすすめの本

書名しょめい:『十年屋 時の魔法はいかがでしょう?』
著者ちょしゃ:廣嶋玲子 出版社しゅっぱんしゃ:小学館
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 古くても捨てられない、大事に保管しておきたいもの。意味があるもの、守りたいもの、そして遠ざけたいもの。ほかの人から見ればガラクタのようなものでも、大切な思いが詰まったものが誰にでもあるのではないでしょうか。
 そういうものを思い出と一緒に、魔法の力で預かってくれる「十年屋」。背の高いスマートな魔法使いと、かわいい猫の執事・カラシがいるお店です。この店を必要としている人には、招待状が届くのです。
 でも、この魔法には対価が必要で、それは寿命1年分。しかも魔法使いとの約束を破ったら、大変なことがおこります。それでも預けたいものが、あなたにもあるでしょうか。
 「十年屋」に来た人たちは、カラシがいれるあったかい飲み物とおいしいお菓子で癒されます。ちょっぴりこわいところもありますが、優しい気持ちになれるお話です。