小中学生へおすすめ!

10月13日のおすすめ

おすすめの本

書名しょめい:『チギータ!』
著者ちょしゃ:蒔田 浩平 出版社しゅっぱんしゃ:ポプラ社
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 クラスで何かを決めるときによく行われるのが「多数決」です。一見とても公平なように思えますが、あなたはどう思いますか?
  クラスでレクリエーションを決めると、いつも運動神経が良く、ケンカも強い男子が推すサッカーや野球ばかり。このことが心に引っかかっていた主人公寛仁(ひろひと)。自分がやりたいと思っている卓球を実現させるため、親友のマッスーやクラスの女子とともに作戦を考えます。どうすれば彼と仲間たちは、レク決めに新しい風を入れられるのでしょうか。
 「できない理由を探して、少数の意見を、小さな声をつぶすのはやめてください!」。クラスの女子、松林の言葉には、はっとさせられます。多数決は絶対に正しくて、少数の意見は切り捨てていいのか。本当に公平な決め方を登場人物たちと一緒に考えてみませんか?『チギータ!』という不思議なタイトルの意味も、最後まで読むとわかりますよ。

10月6日のおすすめ

おすすめの本

書名しょめい:『たのしい川べ』
著者ちょしゃ:ケネス・グレーアム 出版社しゅっぱんしゃ:岩波書店
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 長い間地下の家で1人で暮らしていたもぐらは、久しぶりに見た川辺の美しさに心を奪われます。そこに暮らしている川ネズミがもぐらをピクニックに誘ったことがきっかけで、2匹は一緒に暮らし始めます。川ネズミは内気なもぐらをやさしく見守り世話をやいてくれました。
  川辺には、しっかり者のアナグマや、わがままで自由奔放なヒキガエルなど個性豊かな友達もやってきます。そんな友達とおしゃべりをしたり、食事をしたりする時間は、もぐらにとって幸せな時間でした。川辺が春から夏、秋から冬へと移り変わる様子が木々や草花で細やかに描かれているところもこの本の魅力です。
 物語の後半は、ヒキガエルが巻き起こした事件と、それを心配する仲間たちとのハラハラドキドキの展開が待っています。人の意見など聞く耳を持たないヒキガエル。事態は悪くなるばかりです。
 100年以上も前に書かれた物語ですが、古さを感じません。みなさんもヒキガエルがどうなったか気になるでしょう。

9月29日のおすすめ

おすすめの本

書名しょめい:『泣いたあかおに』
著者ちょしゃ:浜田廣介 出版社しゅっぱんしゃ:金の星社
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 「ココロノヤサシイオニノウチデス。ドナタデモオイデクダサイ・・・」そんな赤おにの立て札に人間たちはびっくり。やさしい、いじらしい赤おにの気持ちがあふれんばかりのお話の始まりです。
  赤おには、人間の友だちが欲しくてたまりません。でも、人間はおにが怖くてたまりません。そんな赤おにのために、友だちの青おには人間の前で赤おにをやっつける芝居をして見せます。自分が自ら悪ものになって、退治した赤おにと人間が仲良くなれるようにしてあげるのです。そして、やっと人間と友だちになれた赤おにのために、悪役の青おには何も言わずにどこかへ去っていきます。このままでいると、僕たちのことが人間たちにばれてしまうかもしれないと。  
 「ドコマデモ キミノトモダチ アオオニ」と、戸に残された張り紙を読んで、赤おにはただ、ただ、泣くしかありませんでした。 青おにの、この切ない友情と優しさのこもった貼り紙を、あなたは涙を流さずに最後まで読むことができますか。


9月22日のおすすめ

おすすめの本

書名しょめい:『しずかな日々』
著者ちょしゃ:椰月美智子 出版社しゅっぱんしゃ:講談社
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 小学五年生の枝田光輝(えだみつき)は、始業式の日、同級生の押野(おしの)から野球に誘われます。お母さんと二人で暮らしている内気な光輝は、クラスの人気者で陽気な押野がなぜ誘ってくれたのか分かりません。でも、光輝にとって押野との出会いは、とても大切な出来事になります。  
 これをきっかけに、草野球の仲間やクラスメイトとも親しくなってきた光輝でしたが、お母さんの仕事の都合で引っ越すことになります。しかし、転校したくない光輝は、おじいさんの家から学校に通うことを選びます。
  穏やかな日常の中で、寡黙なおじいさんが大切なことを短い言葉で光輝に伝え、おおらかに見守る様子は印象的です。安心できる居場所や気持ちを受け止めてくれる人との出会いが心の支えとなり、様々な葛藤や経験を通して成長していく少年の姿が丁寧に描かれています。
  かけがえのない日々を生きていくために、あらためて日常を見つめ直したいと思える一冊です。



9月15日のおすすめ

おすすめの本

書名しょめい:『ダイブ 』
著者ちょしゃ:森絵都 出版社しゅっぱんしゃ:講談社
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 高さ10メートルからの飛翔。時速60キロの急降下。わずか1.4秒の空中演技。速度に耐えつつ瞬時に宙返りをしたり。ばかげていると思うものの、入水に成功すれば突き抜ける快感を味わえる。  
 中学2年生の坂井知季( とも き)が在籍するダイビングクラブは、赤字経営で存続の危機にある。飛込みは新聞やテレビでも華やかな競泳の陰に隠れた状態が続いている。クラブ存続をかけて麻木夏陽子(かよこ)がコーチとしてやって来た。  
 クラブ存続の条件は、次期オリンピックに出場する選手を育てること。夏陽子は知季の素質を見抜き、難易度の高い技の習得のため 無理と思える練習を始めた。まずは、アジア各国の有力な中高生が集まる強化合宿に選ばれるようになること。  
 小学2年生のとき見た飛込み台は、珍種の怪獣のようで知季を圧倒し「この頭から飛びたい」と思った。飛込みに悩むとそのことを思い出す。  
 あなたにとって悩んだとき自分を奮い立たせるものは何だろうか。