小中学生へおすすめ!

7月11日のおすすめ


書名しょめい:『レンタルロボット』
著者ちょしゃ:滝井 幸代/作 三木 謙次/絵 
出版社
 しゅっぱんしゃ
:学研教育出版
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 ある日、小学四年生の健太は、下校中に不思議なお店を見つけます。そのお店の入り口には「ロボットかします」の文字が。ずっと弟がほしいと思っていた健太は、弟ロボットをレンタルしたいと思い、おこづかい全部をにぎりしめてお店へと走りました。
 お店で小学一年生のツトム(ロボット)をかりた健太は、喜んで弟のツトムと家へ帰ります。弟との楽しい毎日が待っているかと思いきや、「お兄ちゃんだから」と我慢しなくてはいけないことが多くて...。弟のツトムはお兄ちゃんのことが大好きですが、健太は弟の行動にムカムカしはじめます。
 兄弟のように近くにいるのが当たり前だと感じる相手ほど、腹を立てたり、傷つける態度をとったりしてしまうもの。しかし、このお話は兄弟という存在が、変わることのない、かけがえのないものだということを教えてくれます。読んだ後には、これからは優しいお兄ちゃん・お姉ちゃんでありたいと思える1冊です。

7月4日のおすすめ


書名しょめい:『せいめいのれきし 改訂版』
著者ちょしゃ:バージニア・リー・バートン/文・絵 
いしいももこ/訳 まなべまこと/監修 
出版社
 しゅっぱんしゃ
:岩波書店
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 地球(ちきゅう)誕生(たんじょう)から人類(じんるい)の誕生(たんじょう)、そして未来へとつながる、なが~い歴史の物語という言葉に、あなたは、どんな想像(そうぞう)が広がりますか。
 今回紹介するこの本は、リズミカルな語(かた)り口調(くちょう)と、ページごとに施(ほどこ)されたしかけたっぷりの絵を楽しみながら、太陽の誕生(たんじょう)、地球の誕生(たんじょう)、生物の誕生(たんじょう)から人類(じんるい)の誕生(たんじょう)までを、ドラマ仕立てで体感(たいかん)できる内容になっています。
 各時代・各場面ごとに、その時代の動物たちや植物たちが、本の舞台に登場し、それぞれが生きていた時代の様子を演(えん)じます。
 三葉虫(さんようちゅう)や恐竜(きょうりゅう)たち、太古(たいこ)の時代から今につながる命(いのち)を身近に連想(れんそう)させる内容となっています。
 まもなく夏休み。「せいめいのれきし」の物語の続きは、「あなた」の物語です!
この夏の「物語」を紡(つむ)ぐヒントが、図書館にあるかもしれません。

6月27日のおすすめから


書名しょめい:『なみだの穴』
著者ちょしゃ:まはら 三桃/作 
出版社
 しゅっぱんしゃ
:小峰書店
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 父親の転勤により転校しなければならなくなった光太。仲良しの優斗と離ればなれになり、悲しみに暮れますが、なんとか涙をこらえます。一方で、光太の転校の知らせを聞いて、残された優斗も寂しい気持ちでいっぱいでした。物語は光太と優斗それぞれの視点から描かれます。
 光太は、引っ越し先へ向かう船の中で、プロレス界の伝説のファイター・幸三さんと出会います。そして、幸三さんから、なみだを我慢している人の前に現れるという「なみだの穴」について話を聞きます。「なみだの穴」を見ると、こらえていた気持ちがあふれ出すように涙が出てくるというのです。
 お話の中に出てくる涙には、悔しさや悲しさなど、登場人物の数だけ様々な気持ちが詰まっています。読みながら、自分も同じような経験をしたことがある、と共感する部分があるかもしれません。涙を流した後には前を向いて進む登場人物たちを見て、自分のもやもやとした気持ちも少し晴れるはずです。

6月20日のおすすめから


書名しょめい:『あららのはたけ』
著者ちょしゃ:村中 李衣/作 石川 えりこ/絵  
出版社
 しゅっぱんしゃ
:偕成社
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 横浜から山口へ引っ越すことになった、小学4年生のえり。田舎暮らしにも慣れてきたある日、おじいちゃんから小さな畑をもらいます。はじめは悪戦苦闘していたえりでしたが、しだいに植物を育てる楽しさに目覚めていきます。
そんな楽しい日々のできごとを、横浜に住む親友のエミに手紙に書いて送ることにしました。やがてエミからも返事が返ってくるようになり、2人の文通がはじまりました。手紙の中で2人はたくさんのことを語り合います。家族のこと。学校のこと。そして、いじめが原因で引きこもってしまった、幼なじみの「けんちゃん」のこと…。
 手紙をとおして、自然やいじめの問題にたくましく向き合う2人の成長を描いた一冊です。電話やメールも便利ですが、手紙には心をこめて書くことで、自分の気持ちが相手に伝わりやすいという利点があります。あなたも気持ちを伝えたい誰かに、心のこもった手紙を書いて送ってみませんか?

6月13日のおすすめから


書名しょめい:『一さつのおくりもの』
著者ちょしゃ:森山 京/作 鴨下 潤/絵  
出版社
 しゅっぱんしゃ
:講談社
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 クマのクマタにはお気に入りの絵本が1冊あります。その絵本の名前は『かいがらのおくりもの』。もう何度も読んでいるので文は全部覚えています。
 ある日、大雨が降り続いたせいで山の向こうのふかみどり村では川の水があふれだし、村のあちこちが水びたしになってしまいました。学校で寝泊まりしている子供たちもいます。クマタや友達のモンジたちは何かしてあげたくて本を贈ることにしました。クマタは『かいがらのおくりもの』以外を選ぶつもりでしたが、他は汚れのある本ばかり。よくよく考えて『かいがらのおくりもの』を贈ることに決めました。本がなくなりさびしくてしかたがないクマタでしたが、十日あまりたった頃、一通の手紙が届いて・・・。
 最後はほっこりとあたたかい気持ちになれます。
クマタのように誰かのためを思って行動することは、あとからくる思いがけない喜びにつながることにもなります。人を思いやる心を教えてくれる一冊です。

6月6日のおすすめから


書名しょめい:『世界を救うパンの缶詰』
著者ちょしゃ:菅 聖子/文 やました こうへい/絵  
出版社
 しゅっぱんしゃ
:ほるぷ出版
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 皆さんは、「パンの缶詰」のことを聞いたことがありますか。「乾パンのように長く保存ができて、やわらかくて、おいしいパンがあったらいいな」という阪神淡路大震災の被災者の声がきっかけとなって作られました。
 パン職人の秋元さんの「自分にできることで皆を幸せにしたい」という思いが缶いっぱいに詰まっています。宇宙飛行士の若田光一さんが、スペースシャトル「ディスカバリー号」で食べられていた姿をテレビで見られた方も多いのではないでしょうか。
 「あきらめなければ、失敗ではない」と、パンの缶詰を待ってくれている人たちのために研究を重ね、あきらめずに完成させた秋元さんの情熱や、今まで存在しなかったものを生み出すことのすばらしさ、「食べるものがなくて困っている人に、甘くておいしいと思う瞬間を味わってほしい」という秋元さんの思いに胸が熱くなります。
 小さなパン屋さんが世界の人たちの心を満たす。そんな奇跡のような物語を読んでみませんか。

5月30日のおすすめから


書名しょめい:『おとのさま、ひこうきにのる』
著者ちょしゃ:中川ひろたか/作 田中六大/絵 
出版社
 しゅっぱんしゃ
:佼成出版社
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 「あれはなんじゃ、さんだゆう」おとのさまはお城の天しゅかくから見えたふしぎな物体に目をうばわれました。けらいのさんだゆうに聞くとそれは鳥のように空を飛ぶのりものだと言うのです。「おーい、さんだゆう、なにをしておる。ひこうきにのりにいくよ」と、おとのさまの一声で2人の空への旅が始まりました。
 この本の魅力の一つはおとのさまとさんだゆうのゆかいな会話のキャッチボールです。そしてなんと、乗客にまぎれてこの本の作者中川ひろたかさんと挿絵の田中六大さんが登場します。ヒントはカメラ目線! おとのさまたちの座席の近くに注目です。
 さて、みなさんはお家や学校、暮らしの中で目にとまったもの、すてきだと感じたことはありましたか? コロナ禍の中でも2人のように身近な景色から新しい世界へつながるきっかけを見つけ、いつか冒険してみてはいかがでしょうか。

5月23日のおすすめから


書名しょめい:『はみだしインディアンのホントにホントの物語』
著者ちょしゃ:シャーマン・アレクシー/著 エレン・フォーニー/絵 さくま ゆみこ/訳 
出版社
 しゅっぱんしゃ
:小学館
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 主人公のアーノルドはインディアンの中学生。保留地というアメリカの先住民であるインディアンだけが住んでいるところで生まれ育ちました。
 インディアンという人種であるだけで、白人からの差別を受けて、職業が限られ、生活も貧しい時代がつづき、周りの大人も子供も自分の人生に夢を持っていません。
 ある日、アーノルドは両親を説得して、保留地の外にある白人が通うエリート校に転校します。生まれつき脳に損傷があることによるハンディキャップや人種差別など、世の中の様々な困難に直面しますが、皮肉なジョークを飛ばしながら前向きに生きていきます。
 自分一人だけがちがう世界に飛び込む勇気の大切さを感じさせてくれる、作者の自伝的な、ほとんど実話のホントにホントのインディアンの物語です。

5月16日のおすすめから


書名しょめい:『ニッポンじゃアリエナイ世界の国』
著者ちょしゃ:斗鬼 正一/監修 あべさん/絵 
出版社
 しゅっぱんしゃ
:SBクリエイティブ
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 みなさんは「こどもの日」と聞いて何を思い浮かべますか? 日本では、5月5日に各家庭でこいのぼりやよろいかぶとの人形を飾りますよね。一方トルコでは、4月23日に世界中から首都に子どもが集められて、歌と音楽に合わせてパレードをするそうです。
 ほかにも、ロシアではクリスマスになると赤い服を着たサンタではなく、青い服を着たおじさんがプレゼントを届けに来ます(しかも12月31日に)。ヨーロッパにあるデンマークでは、小中学生の間は試験も通知表もありません。ちょっとうらやましいですね。
 日本に住んでいると「そんなのアリエナイ!」と言ってしまいそうですが、そんなアリエナイ文化は全部、さまざまな歴史や社会的な理由があってできたものです。
世界には、まだまだたくさんの国や文化があります。「アリエナイ!」を知ることが、世界のことを知る第一歩になるかもしれません。

5月9日のおすすめから


書名しょめい:『平安女子の楽しい!生活』
著者ちょしゃ:川村 裕子/著 
出版社
 しゅっぱんしゃ
:岩波書店
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 平安時代と聞いて何を思い浮かべますか。例えば色とりどりの衣を着た女性たち。さぞきらびやかな生活を送っていたのかと思いきや、彼女たちの着る十二単は十キロ以上。そのうえ膝(しっ)行(こう)といって、立たずに膝をついて歩いたというのですから、想像するだけで汗が出そうですね。
タイトルには「平安女子」とありますが「平安男子」についても書かれています。『源氏物語』のような雅なイメージはどこへやら。夜明け(なんと夏は朝五時半!)とともに活動開始。一か月に二十日以上は午前中働き、約七日は夜まで働きました。お休みは一週間に一日だけ。とてもハードな暮らしです。
 ここまで読んで平安時代のイメージがガラリと変わったはず。内容はインテリア&ファッション編、ラブ編、ライフ編に分かれ、おもしろいお話がもりだくさん。難しい古文はありません。古典が苦手な方にもオススメです。千年前の遠い時代を、身近に感じることができますよ。

5月2日のおすすめから



書名しょめい:『なぜ僕らは働くのか』
著者ちょしゃ:池上 彰/監修 
出版社
 しゅっぱんしゃ
:学研プラス
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 仕事とはいったい何でしょう。大人たちは、どうして、何のために働いているのでしょう。みなさんは仕事について考えたことはありますか?「お金のため」という人もいれば、「世の中の役に立つため」という人もいるでしょう。答えは人それぞれです。
この本の主人公は中学生ハヤト。自分に自信が持てず、将来何になりたいかもわからないという不安を胸に抱えています。「仕事」「お金」「勉強」「幸せ」など働くうえで重要なテーマが、マンガと図解によりわかりやすく解説されています。仕事に関することだけでなく、世の中の成り立ちや道理、生き方についてハヤトの成長を通して一緒に考えることができます。
 働くことに対する考え方や価値観は、時代とともに大きく変化しています。大人になってもやりたいこと探しは続きますし、仕事を始めてからも夢は見つかります。夢はどんどん変わっていいのです。この機会にぜひ、あなたの将来に目を向けてみましょう。

4月25日のおすすめから



書名しょめい:『アーベルチェの冒険』
著者ちょしゃ:アニー・M・G・シュミット/作 西村 由美/訳 
出版社
 しゅっぱんしゃ
:岩波書店
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 オランダに住む14歳のアーベルチェ。これから何をしたいのかわからず、すすめられる仕事も気が向きません。何もやりたがらないアーベルチェの様子に困ったお母さんは、新しくできるデパートの事務所を訪ねました。ちょうどエレベーターボーイの募集(ぼしゅう)があり、アーベルチェはその仕事につきます。
 エレベーターには「ただついているだけ」と説明された、みどり色のガラスのボタンがありました。仕事中、アーベルチェはそのボタンを押してしまいます。すると、エレベーターがデパートを飛び出してしまったのです。アーベルチェはたまたまエレベーターに乗っていた三人のお客さんと一緒に、世界を旅することになりました。
 言葉が通じない国々で、アーベルチェたちは様々な事件に巻き込まれます。その中でアーベルチェがどのように変わっていくのか、彼の行動や考え方に注目しながら読んでみてください。みなさんも広い世界を見てみたくなるかもしれません。

4月18日のおすすめから


書名しょめい:『レディオワン』
著者ちょしゃ:斉藤 倫/著 クリハラ タカシ/画 
出版社
 しゅっぱんしゃ
:光村図書出版
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 「みなさん、こんばんわん。月曜夜9時。〈レディオワン〉の時間です。」
ひょんなことから、人の言葉を話せるようになった、犬のジョン。そんな彼が、ラジオ番組のDJとなって、リスナーからのお便りを読んだり、お便りに沿った曲をかけたりします。特にフリートークは、犬の気持ちがよくわかると評判です。
 しかし、DJジョンが本物の犬だということは、ラジオディレクターの西園寺さんと番組のスタッフしか知りません。
 そんなちょっと不思議な犬、ジョンがお送りする〈レディオワン〉。今夜もまた、DJジョンが人間たちに語り掛けていく。
 はなしのテンポがよく、本当にラジオを聴いているかのような心地よさがある作品です。また、フリートークのシーンでは、日常の生活を犬の視点から語っており、はっと気づかされることもあります。
 ラジオを聴くときのように、物語に耳を傾け、じっくりと読みたい一冊です。

4月11日のおすすめから


書名しょめい:『北欧に学ぶ小さなフェミニストの本』
著者ちょしゃ:サッサ・ブーレグレーン/作 枇谷玲子/訳 
出版社
 しゅっぱんしゃ
:岩崎書店
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 日本で「女性差別撤廃条約」が批准されて、35年が過ぎました。では、差別はなくなったのでしょうか。
 男女平等の先進国、スウェーデンの10歳の女の子・エッバはある日気づきます。新聞に載っていた『世界の権力者』の写真は、おじさんばかり…どうして女の人はいないのでしょう。その年のG8   のリーダーに、女性はいませんでした。
 エッバはこの疑問について、いとこや友達と話し合いを始めました。おばあちゃんに教えてもらいながら、女性の権利についても調べていきます。そこには、エッバが知らなかった長い歴史がありました。
 選挙権を獲得し、同じ教育を受けるようになっても、女だから、女らしくという人は大勢います。そこに差別はないのでしょうか。
 フェミニズムは、男女で考えるものです。男も女もみんなが自由に、ありのままに、自分らしく生きることができる世界にするには、どうすればいいのでしょう。あなたも、エッバと一緒に考えてみませんか。

4月4日のおすすめから


書名しょめい:『図書館のトリセツ』
著者ちょしゃ:福本 友美子、江口 絵理/文 
出版社
 しゅっぱんしゃ
:講談社
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 本がたくさんある場所と聞いて思い浮かぶのは本屋さん、そしてもう一つは図書館だと思います。
 図書館にはたくさんの本があります。本棚の端から端までゆっくりと探して回るのも楽しいですが、本のならび方、ラベルや分類記号の見方、本の種類、検索用コンピューターの使い方、図書館にない本を借りるための方法などを知っておくと、自分が読みたい本と出会う確率はぐっと上がります。
 また、図書館は本を「読む」「借りる」だけでなく、本で「調べる」という大事な機能があります。利用者が知りたい情報を集めるのを、図書館の職員は喜んでお手伝いします。このお手伝いのことを「レファレンス(調査・相談)サービス」といいます。この本ではレファレンス・サービスのことも、簡単なストーリーでわかりやすく書いてあるのでおすすめです。
 みなさんも『図書館のトリセツ(「取りあつかい説明書」の略)』を読んで、図書館の本と人の力を使いこなしましょう。

3月28日のおすすめから


書名しょめい:『読む喜びをすべての人に-日本点字図書館を創った本間一夫』
著者ちょしゃ:金治 直美/文 
出版社
 しゅっぱんしゃ
:佼成出版社
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 「点字」を知っていますか。視覚に障がいのある人が指で触れて読み取る「文字」です。炊飯器のボタンやビールの缶の上にポツポツ、点字は身近にあります。
 「日本点字図書館」は本間一夫さんにより、太平洋戦争が始まる前の年に設立されました。今では全国に点字図書館があり、点字図書や録音図書を貸し出しています。佐賀市内にもあります。 
 本間さんは5歳のとき病気で視力を失います。点字を知る前は、物語を聞くことが楽しみでした。学生時代から点字図書館の設立を夢みて、点字の本を買い集めました。図書館ができてからは、点訳ボランティアを育成して本を作っています。ボランティアは全国に広がりました。 
 障がいがあっても読書をしたいと思っている人は大勢います。寝たきりや文字を読むのが困難な人に、文字と音で読書ができる「マルチメディアデイジー」が県立図書館にあります。
 誰もが読書を楽しめるようにと思っています。

3月21日のおすすめから


書名しょめい:『真夜中の飛行』
著者ちょしゃ:リタ・マーフィー/作  三辺 律子/訳 
出版社
 しゅっぱんしゃ
:小峰書店
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 空を飛んでみたいと思ったことはありませんか。
 今回紹介するのは、女性だけが飛ぶ力を受け継いできた一族の物語です。
 ジョージア・ハンセンはまもなく16歳。ハンセン家の女性たちが代々そうであったように、ジョージアも生まれたときから、自分が飛べることを感覚で知っていました。空を飛ぶのは刺激的でとても楽しいことですが、厳しい掟を守らなければ「飛び手」と認められません。厳格な祖母の支配する家で、母と叔母二人と静かに暮らしてきたジョージアは、成長するにつれて掟に縛られる窮屈さを感じるようになっています。
 初めてのソロ飛行の儀式を間近に控えたある日、ずっと昔に家を出たきりだった一番上の伯母が帰ってきます。掟破りのために家を追放された伯母の突然の帰還に、家族はとまどい反発します。伯母の目的は何なのでしょうか。
 上空の冷たい風を受け、鳥の群れを避けながら力強く自由に飛び回る飛び手たち。ぜひジョージアになったつもりで夜空の飛行を楽しんでください。

3月14日のおすすめから


書名しょめい:『さくら研究ノート』
著者ちょしゃ:近田 文弘/著 大野 八生/絵 
出版社
 しゅっぱんしゃ
:偕成社
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 春になるとさくらが咲きはじめます。日本でいちばん植えられているのは「ソメイヨシノ」というさくらです。
 この本では、「ソメイヨシノ」が春から次の春までの一年間を通してどのように変化していくのか、イラストを用いてわかりやすく解説しています。また、さくらの花びらや実とたねのつくり、葉っぱのひみつなどナルホドと思えるような知識がたくさんです。
 さくらの花をよく見てみると、花びらのかさなり方が少しずつ違っていて、地面に落ちるときの落ち方にも違いがあります。葉っぱにはほかの木にはないめずらしいものがふたつあり、そのうちのひとつ「みつせん」は葉のじくにある小さなつぶで、みつをためてアリをよび、葉を弱らせるアブラムシやハダニをたいじしてもらうものです。
 今まで何気なくながめていたさくらにはこんなひみつがあったのかと気づかせてくれる一冊です。
 さくらの季節、この「さくら研究ノート」を片手にお花見を楽しんでみませんか。

3月7日のおすすめから


書名しょめい:『さかなつりにいこう!』
著者ちょしゃ:村上 康成/作 
出版社
 しゅっぱんしゃ
:理論社
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 春夏秋冬、あなたの好きなことはなんですか?絵本作家でもある村上康成さんは、昔から絵を描くことやさかなつりが大好き! 
 チョコレートがとけるくらい暑い夏の日や、吐く息が真っ白になり雪がしんしんと降った冬の日も、さかなつりへ。さあ、出発です。 
 この本の魅力の一つは、自然の中でたっぷりと深呼吸しているような、ゆっくりと時間の流れを楽しんでいるような、独特の間です。本をめくると、さかなだけでなく、おいしそうなおにぎり、話しかけてきそうな動植物、そしてさかなつりに夢中な人間の姿など、村上康成さんの絵と言葉の世界が広がっています。
 さかなつりが好きな人もそうでない人も、なにか自分の好きなこと、気になっていることを考えながら読んでもらいたい一冊です。

2月28日のおすすめから


書名しょめい:『ぶた にく』
著者ちょしゃ:大西 暢夫/写真・文 
出版社
 しゅっぱんしゃ
:幻冬舎エデュケーション
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 みなさんが普段食べている豚肉はどうやって食卓にあがるのでしょう。私はこの本を読むまで深く考えたことがありませんでした。 
 鹿児島のある学園では生まれた豚を育て、食べるまで見届けています。夜、母豚の出産が始まりました。生まれたのはつぶらな瞳のかわいい子豚たち。丸まって眠る豚、いたずらをする豚、みんな個性豊かです。
 生まれて10か月が経つと、私たちが食べる「肉」にするため、豚は「と場」に連れていかれます。その一方で学園では母豚が新たな子豚を産んでいました。 
 日本では毎日約6万頭の豚が肉になっていると言います。豚肉を食べる時、その豚のことや関わっている人達を思いうかべることはあるでしょうか。
 普段は忘れがちな「命」と「食」について書かれた1冊です。    
 食卓での「いただきます」と「ごちそうさま」の意味、もう一度考えてみませんか。