小中学生へおすすめ!

児童書おすすめ(12月18日)




書名しょめい:『ひみつのきもちぎんこう』

著者ちょしゃ:ふじもと みさと/作


出版社
 しゅっぱんしゃ
:金の星社
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 ゆうたが、ここみちゃんの落とした本を蹴飛ばしたとき、ジャリーンという音がどこからか聞こえてきました。この音はいやなことをする度に聞こえてきます。
 その後、ゆうたの元に「きもちぎんこう」から手紙が届きました。ゆうたの「きもちつうちょう」が、黒コインでうまりそうだということです。この通帳は、人の気持ちを預かる通帳で、その人が本当に持っている気持ちと違う気持ちを預かったときは、黒コインが貯まるそうです。ちょっと恥ずかしいけど自分の気持ちに素直によい行動をしたときは、ぎんいろコインが貯まります。
 ゆうたは、本当は良いことをしようと思ったのに、ついいじわるをしてしまっていました。ゆうたはこの後、自分の気持ちに素直に良い行動をとろうと頑張ります。
 あなたの通帳も黒コインではなく、ぎんいろコインでいっぱいにしてくださいね。


児童書おすすめ(12月11日)




書名しょめい:『空にうかんだ大きなケーキ』

著者ちょしゃ:ジャンニ=ロダーリ/作 よしとみ あや/訳 


出版社
 しゅっぱんしゃ
:汐文社
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 ある日、トゥルッロの町の上空に、巨大なまるい物体が現れました。町の大人たちが警戒するなか、好奇心旺盛なパオロとリタは、クッコ山の頂上へ見に行きます。その物体はなんと、とても大きなケーキだったのです!マロングラッセやラズベリージャムなど、ケーキの中はおいしそうなものでいっぱい。大きなケーキの中を、パオロはスコップで掘って、リタは食べて進んでいきます。 
 すてきな出来事のように思えますが、実は大きなケーキは、まちがいでできてしまったものでした。製作者である教授はひどく落ち込んでいます。ケーキができた背景を知ったらあなたは驚くでしょう。しかし、きっと教授を励ましたくなると思います。それはみんなを笑顔にする、世界一しあわせなまちがいだったのですから。
 読んだあとは、あなたもおいしいケーキが食べたくなるかもしれませんよ。

児童書おすすめ(12月4日)




書名しょめい:『しらべるちがいのずかん』

著者ちょしゃ: おかべ たかし/文 やまで たかし/写真


出版社
 しゅっぱんしゃ
:東京書籍
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 昔、関東に住む友人が桜もちを持ってきてくれました。一緒に食べようと箱を開けてビックリ!あんこがもち米に包まれた桜もち……ではなく、クレープのような桜もちだったからです。同じ名前だけど何かがちがう。同じように見えるけど本当はちがう。そんな体験があなたにもありませんか。
 この本では「どうちがう?」、「どこがちがう?」、「じつはちがう?」の3章立てで、さまざまなちがいに気づかされます。
 たとえば生たまごとゆでたまご。ふたつを見分けるにはたまごを回したり、光に当てたり、多くの方法が思いつくはずです。でも実は、目で見るだけで区別できる「ちがい」があるのです。
 他にも普段は気づかない、ビックリするような「ちがい」がたくさん紹介されています。本を読んで、身近なちがいを探してみてくださいね。

児童書おすすめ(11月27日)




書名しょめい:『雑木林の20年 里山の自然』

著者ちょしゃ: 瀬長 剛/絵・文 


出版社
 しゅっぱんしゃ
:偕成社
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 人の暮らしと深いつながりを持つ森林を里山といいます。そこには雑木林があり、多様で豊かな環境の中にたくさんの生き物が暮らしています。
 雑木林という言葉が一般的に知られるようになったのは、明治の文豪国木田独歩が、代表作『武蔵野』で取り上げてからだと言われています。戦前までの日本では、炭や薪を燃料にして暮らしていました。落葉広葉樹のクヌギやコナラは、幹や枝は燃料に、落ち葉は肥料になるため、人々は雑木林にこれらの木を植え大切に育ててきたのです。
 ガスや電気の普及で炭や薪を使うことがなくなった今、多くの雑木林は開発などで姿を消しつつあります。
 この本には、雑木林と人が共に生きていた頃の1年と木々が伐採されてから再生するまでの20年の変化が、優しい風合いの色鉛筆画で描かれています。雑木林を知らない人でもこの本を開けば、豊かな自然の中で生きる動植物にふれたり、四季の美しさを感じることができるはずです。

児童書おすすめ(11月20日)




書名しょめい:『こども「折々のうた」100』

著者ちょしゃ:大岡 信/著 長谷川 櫂/監修


出版社
 しゅっぱんしゃ
:小学館
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 朝日新聞に以前連載されていた「折々のうた」を読むのが毎朝の習慣です。詩歌と解説を読むことでなぜか今日一日の準備が整うような気がします。
 ある日、「折々のうた」をこども向けに編集した本書が、児童室で目に飛び込んできて思わず手にしました。よりすぐりの短歌と俳句を集めた枯れない花束のような本です。古い時代の作品がほとんどですが、今と変わることなく、心をブルンとさせる力強く瑞々しい力があります。
 時には「大丈夫」と励まし、「そうだね」と共感してくれる。俳句や短歌は文学でも短い形であるにもかかわらず、人が生きていくために大事なメッセージが詰まっています。好きなページから読んでみてください。
 さらに興味がある人は心に留めておきたいことを俳句や短歌にするのもおすすめです。この一瞬!と感じたことを切り取って作品に残してみてはいかがでしょうか。
 そんな時に本書は手を差し伸べてくれることばの先生です。


児童書おすすめ(11月13日)






書名しょめい:『こどものとうひょう おとなのせんきょ』

著者ちょしゃ:かこさとし/作・絵


出版社
 しゅっぱんしゃ
:復刊ドットコム
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 「民主主義」という言葉は聞いたことがありますか? どういう意味なんでしょう?多数決のことでしょうか?
 この絵本の舞台は町の児童館前の小さな広場です。そこで子どもたちはいろいろな遊びをしていますが、せまいのでぶつかってけんかが起きるなど、トラブルつづきです。
 相談をしてもまとまらないので、子どもたちは、広場で何をして遊ぶのかを投票で決めることにしました。
 野球、サッカー、ドッジボール、ままごと……投票の結果、多数決で決まった遊びを優先するようにしましたが、「雨がやんだ後、鬼ごっこしていいか」

「ソフトボールはどう扱うか」などでトラブルになり、結局、みんなが楽しく遊べる広場ではなくなってしまいます。
 そこにやってきた年上のお兄さんが、みんなが楽しく遊べるための提案をしてくれます。さて、どんな提案でしょうか?
 「民主主義」の事が分かりやすく学べる1冊です。


児童書おすすめ(11月6日)




書名しょめい:『ロップのふしぎな髪かざり』

著者ちょしゃ:新藤 悦子/著 こがしわ かおり/絵 


出版社
 しゅっぱんしゃ
:講談社
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 主人公のロップは、精霊の子どもです。精霊たちは人間にとりつくことではじめて一人前になることができます。ロップはまだ一度も人間にとりついたことがありません。  

 そんなロップはある日、海で遭難している少年を発見し、彼にとりつくことを決めたのです。しかし、とりつく方法を教わっていなかったロップは…。

 心優しいロップは少年を看病するうちに、少年が母親と引き離されたという辛い過去を知り、母親を探すため動き出します。
 物語の中には、いろいろな精霊たちが登場します。海賊やファッションデザイナー、舞台監督にとりついた

精霊…。ロップは仲間の精霊たちの力を借りながら、懸命に少年の母親を探し始めます。ロップは少年に出会い、人間のもつ感情の豊さに気づいていきます。温かくもどこか切ない精霊と人間の物語。はたしてロップと少年は、無事に母親を見つけ出すことができるのでしょうか?


児童書おすすめ(10月30日)





書名しょめい:『和ろうそくは、つなぐ』

著者ちょしゃ:大西 暢夫/著 


出版社
 しゅっぱんしゃ
:アリス館
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 室町時代に誕生したといわれる和ろうそく。石油から作られる西洋ろうそくとは違い、植物から作られていて、すすが少なく、ゆらゆらとゆらめく炎が特長です。

「和ろうそくって、どうやって作られ、なにからできているのだろう。」

 工房では、職人の手により全ての工程が手作業で進んでいきます。和紙や植物の髄(ずい)(中心の柔らかい部分)を串に巻き真綿をからめた芯に、ドロドロに溶かした蠟(ろう)をぬり重ねていくのです。

 では、その材料はどこから来たのでしょう。

和ろうそくのもとをたどっていくと、蠟の原料となるハゼの木の実をとる人、蠟を絞り固めて作る人、その絞りカスを使って藍染をする人、藍染で使い終わった灰を使って焼き物を焼く人と、さまざまなモノと仕事がつながっていきます。

 ひとつの役割を終えたモノが、次の職人によって生かされ、循環していく。自然の恵みを生かし切る、モノと人とのめぐりの見事さに驚かされました。


児童書おすすめ(10月23日)





書名しょめい:『旅のくつ屋がやってきた』  

  

著者ちょしゃ:小倉 明/作 小林 ゆき子/絵


出版社
 しゅっぱんしゃ
:アリス館
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バドは町の小さなホテルの息子です。ある日、旅のくつ屋がホテルにやってきました。とても腕の良い職人で、旅をしながら街角で店を開き商売をしているのです。旅先での楽しい話をきかせてくれるくつ屋がバドは大好きでした。あの日、彼が町を調べ回る姿を見るまでは。くつ屋の様子を知った大人たちは怯えうろたえます。そしてバドは町の真ん中にそびえたつ「槍の塔」の存在に気づくのです。この塔はいったい何のために存在しているのでしょうか。28~29頁に描かれた塔の絵からは、夜の町のしんとした空気が伝わってくるようです。物語ではこの町の隠された秘密が少しずつ明らかになっていきます。相手がどんな人なのか考えるとき、あなたはどこに注目しますか?その人の言葉?それとも行動?この町にやってきた旅のくつ屋の正体を、ぜひ確かめてみてください。

児童書おすすめ(10月16日)





書名しょめい:『彼の名はウォルター』

著者ちょしゃ:エミリー・ロッダ/著 さくま ゆみこ/訳


出版社
 しゅっぱんしゃ
:あすなろ書房
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 遠足の途中に乗っていたバスが故障し、携帯電話もつながらない田舎道で助けがくるのを待っていたコリン、タラ、グレース、ルーカス、フィオーリ先生の5人。嵐が来たために近くの屋敷へ避難します。長く人の住んでいない屋敷はひどく荒れていて、無人のはずなのに何者かが潜んでいるような不気味さがありました。キッチンでコリンは1冊の本を見つけます。本のタイトルは「彼の名はウォルター」。鮮やかでまるで生きているような挿絵にコリンは心を奪われ、読みたいと強く思います。しかしその本を手にしたせいで、5人は恐怖の一夜を過ごすことに・・・。
 どうしてコリンはこの本に惹きつけられたのか。どうしてこの本が書かれたのか。最後まで読み終えたとき、タイトルの本当の意味がわかり、読む前とは印象が全くちがってみえるでしょう。登場人物が少ないので、海外の本はカタカナが多くて苦手という人にも読みやすく、ちょっと怖いミステリーです。