小中学生へおすすめ!

6月20日のおすすめから


書名しょめい:『あららのはたけ』
著者ちょしゃ:村中 李衣/作 石川 えりこ/絵  
出版社
 しゅっぱんしゃ
:偕成社
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 横浜から山口へ引っ越すことになった、小学4年生のえり。田舎暮らしにも慣れてきたある日、おじいちゃんから小さな畑をもらいます。はじめは悪戦苦闘していたえりでしたが、しだいに植物を育てる楽しさに目覚めていきます。
そんな楽しい日々のできごとを、横浜に住む親友のエミに手紙に書いて送ることにしました。やがてエミからも返事が返ってくるようになり、2人の文通がはじまりました。手紙の中で2人はたくさんのことを語り合います。家族のこと。学校のこと。そして、いじめが原因で引きこもってしまった、幼なじみの「けんちゃん」のこと…。
 手紙をとおして、自然やいじめの問題にたくましく向き合う2人の成長を描いた一冊です。電話やメールも便利ですが、手紙には心をこめて書くことで、自分の気持ちが相手に伝わりやすいという利点があります。あなたも気持ちを伝えたい誰かに、心のこもった手紙を書いて送ってみませんか?

6月13日のおすすめから


書名しょめい:『一さつのおくりもの』
著者ちょしゃ:森山 京/作 鴨下 潤/絵  
出版社
 しゅっぱんしゃ
:講談社
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 クマのクマタにはお気に入りの絵本が1冊あります。その絵本の名前は『かいがらのおくりもの』。もう何度も読んでいるので文は全部覚えています。
 ある日、大雨が降り続いたせいで山の向こうのふかみどり村では川の水があふれだし、村のあちこちが水びたしになってしまいました。学校で寝泊まりしている子供たちもいます。クマタや友達のモンジたちは何かしてあげたくて本を贈ることにしました。クマタは『かいがらのおくりもの』以外を選ぶつもりでしたが、他は汚れのある本ばかり。よくよく考えて『かいがらのおくりもの』を贈ることに決めました。本がなくなりさびしくてしかたがないクマタでしたが、十日あまりたった頃、一通の手紙が届いて・・・。
 最後はほっこりとあたたかい気持ちになれます。
クマタのように誰かのためを思って行動することは、あとからくる思いがけない喜びにつながることにもなります。人を思いやる心を教えてくれる一冊です。

6月6日のおすすめから


書名しょめい:『世界を救うパンの缶詰』
著者ちょしゃ:菅 聖子/文 やました こうへい/絵  
出版社
 しゅっぱんしゃ
:ほるぷ出版
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 皆さんは、「パンの缶詰」のことを聞いたことがありますか。「乾パンのように長く保存ができて、やわらかくて、おいしいパンがあったらいいな」という阪神淡路大震災の被災者の声がきっかけとなって作られました。
 パン職人の秋元さんの「自分にできることで皆を幸せにしたい」という思いが缶いっぱいに詰まっています。宇宙飛行士の若田光一さんが、スペースシャトル「ディスカバリー号」で食べられていた姿をテレビで見られた方も多いのではないでしょうか。
 「あきらめなければ、失敗ではない」と、パンの缶詰を待ってくれている人たちのために研究を重ね、あきらめずに完成させた秋元さんの情熱や、今まで存在しなかったものを生み出すことのすばらしさ、「食べるものがなくて困っている人に、甘くておいしいと思う瞬間を味わってほしい」という秋元さんの思いに胸が熱くなります。
 小さなパン屋さんが世界の人たちの心を満たす。そんな奇跡のような物語を読んでみませんか。

5月30日のおすすめから


書名しょめい:『おとのさま、ひこうきにのる』
著者ちょしゃ:中川ひろたか/作 田中六大/絵 
出版社
 しゅっぱんしゃ
:佼成出版社
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 「あれはなんじゃ、さんだゆう」おとのさまはお城の天しゅかくから見えたふしぎな物体に目をうばわれました。けらいのさんだゆうに聞くとそれは鳥のように空を飛ぶのりものだと言うのです。「おーい、さんだゆう、なにをしておる。ひこうきにのりにいくよ」と、おとのさまの一声で2人の空への旅が始まりました。
 この本の魅力の一つはおとのさまとさんだゆうのゆかいな会話のキャッチボールです。そしてなんと、乗客にまぎれてこの本の作者中川ひろたかさんと挿絵の田中六大さんが登場します。ヒントはカメラ目線! おとのさまたちの座席の近くに注目です。
 さて、みなさんはお家や学校、暮らしの中で目にとまったもの、すてきだと感じたことはありましたか? コロナ禍の中でも2人のように身近な景色から新しい世界へつながるきっかけを見つけ、いつか冒険してみてはいかがでしょうか。

5月23日のおすすめから


書名しょめい:『はみだしインディアンのホントにホントの物語』
著者ちょしゃ:シャーマン・アレクシー/著 エレン・フォーニー/絵 さくま ゆみこ/訳 
出版社
 しゅっぱんしゃ
:小学館
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 主人公のアーノルドはインディアンの中学生。保留地というアメリカの先住民であるインディアンだけが住んでいるところで生まれ育ちました。
 インディアンという人種であるだけで、白人からの差別を受けて、職業が限られ、生活も貧しい時代がつづき、周りの大人も子供も自分の人生に夢を持っていません。
 ある日、アーノルドは両親を説得して、保留地の外にある白人が通うエリート校に転校します。生まれつき脳に損傷があることによるハンディキャップや人種差別など、世の中の様々な困難に直面しますが、皮肉なジョークを飛ばしながら前向きに生きていきます。
 自分一人だけがちがう世界に飛び込む勇気の大切さを感じさせてくれる、作者の自伝的な、ほとんど実話のホントにホントのインディアンの物語です。

5月16日のおすすめから


書名しょめい:『ニッポンじゃアリエナイ世界の国』
著者ちょしゃ:斗鬼 正一/監修 あべさん/絵 
出版社
 しゅっぱんしゃ
:SBクリエイティブ
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 みなさんは「こどもの日」と聞いて何を思い浮かべますか? 日本では、5月5日に各家庭でこいのぼりやよろいかぶとの人形を飾りますよね。一方トルコでは、4月23日に世界中から首都に子どもが集められて、歌と音楽に合わせてパレードをするそうです。
 ほかにも、ロシアではクリスマスになると赤い服を着たサンタではなく、青い服を着たおじさんがプレゼントを届けに来ます(しかも12月31日に)。ヨーロッパにあるデンマークでは、小中学生の間は試験も通知表もありません。ちょっとうらやましいですね。
 日本に住んでいると「そんなのアリエナイ!」と言ってしまいそうですが、そんなアリエナイ文化は全部、さまざまな歴史や社会的な理由があってできたものです。
世界には、まだまだたくさんの国や文化があります。「アリエナイ!」を知ることが、世界のことを知る第一歩になるかもしれません。

5月9日のおすすめから


書名しょめい:『平安女子の楽しい!生活』
著者ちょしゃ:川村 裕子/著 
出版社
 しゅっぱんしゃ
:岩波書店
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 平安時代と聞いて何を思い浮かべますか。例えば色とりどりの衣を着た女性たち。さぞきらびやかな生活を送っていたのかと思いきや、彼女たちの着る十二単は十キロ以上。そのうえ膝(しっ)行(こう)といって、立たずに膝をついて歩いたというのですから、想像するだけで汗が出そうですね。
タイトルには「平安女子」とありますが「平安男子」についても書かれています。『源氏物語』のような雅なイメージはどこへやら。夜明け(なんと夏は朝五時半!)とともに活動開始。一か月に二十日以上は午前中働き、約七日は夜まで働きました。お休みは一週間に一日だけ。とてもハードな暮らしです。
 ここまで読んで平安時代のイメージがガラリと変わったはず。内容はインテリア&ファッション編、ラブ編、ライフ編に分かれ、おもしろいお話がもりだくさん。難しい古文はありません。古典が苦手な方にもオススメです。千年前の遠い時代を、身近に感じることができますよ。

5月2日のおすすめから



書名しょめい:『なぜ僕らは働くのか』
著者ちょしゃ:池上 彰/監修 
出版社
 しゅっぱんしゃ
:学研プラス
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 仕事とはいったい何でしょう。大人たちは、どうして、何のために働いているのでしょう。みなさんは仕事について考えたことはありますか?「お金のため」という人もいれば、「世の中の役に立つため」という人もいるでしょう。答えは人それぞれです。
この本の主人公は中学生ハヤト。自分に自信が持てず、将来何になりたいかもわからないという不安を胸に抱えています。「仕事」「お金」「勉強」「幸せ」など働くうえで重要なテーマが、マンガと図解によりわかりやすく解説されています。仕事に関することだけでなく、世の中の成り立ちや道理、生き方についてハヤトの成長を通して一緒に考えることができます。
 働くことに対する考え方や価値観は、時代とともに大きく変化しています。大人になってもやりたいこと探しは続きますし、仕事を始めてからも夢は見つかります。夢はどんどん変わっていいのです。この機会にぜひ、あなたの将来に目を向けてみましょう。

4月25日のおすすめから



書名しょめい:『アーベルチェの冒険』
著者ちょしゃ:アニー・M・G・シュミット/作 西村 由美/訳 
出版社
 しゅっぱんしゃ
:岩波書店
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 オランダに住む14歳のアーベルチェ。これから何をしたいのかわからず、すすめられる仕事も気が向きません。何もやりたがらないアーベルチェの様子に困ったお母さんは、新しくできるデパートの事務所を訪ねました。ちょうどエレベーターボーイの募集(ぼしゅう)があり、アーベルチェはその仕事につきます。
 エレベーターには「ただついているだけ」と説明された、みどり色のガラスのボタンがありました。仕事中、アーベルチェはそのボタンを押してしまいます。すると、エレベーターがデパートを飛び出してしまったのです。アーベルチェはたまたまエレベーターに乗っていた三人のお客さんと一緒に、世界を旅することになりました。
 言葉が通じない国々で、アーベルチェたちは様々な事件に巻き込まれます。その中でアーベルチェがどのように変わっていくのか、彼の行動や考え方に注目しながら読んでみてください。みなさんも広い世界を見てみたくなるかもしれません。

4月18日のおすすめから


書名しょめい:『レディオワン』
著者ちょしゃ:斉藤 倫/著 クリハラ タカシ/画 
出版社
 しゅっぱんしゃ
:光村図書出版
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 「みなさん、こんばんわん。月曜夜9時。〈レディオワン〉の時間です。」
ひょんなことから、人の言葉を話せるようになった、犬のジョン。そんな彼が、ラジオ番組のDJとなって、リスナーからのお便りを読んだり、お便りに沿った曲をかけたりします。特にフリートークは、犬の気持ちがよくわかると評判です。
 しかし、DJジョンが本物の犬だということは、ラジオディレクターの西園寺さんと番組のスタッフしか知りません。
 そんなちょっと不思議な犬、ジョンがお送りする〈レディオワン〉。今夜もまた、DJジョンが人間たちに語り掛けていく。
 はなしのテンポがよく、本当にラジオを聴いているかのような心地よさがある作品です。また、フリートークのシーンでは、日常の生活を犬の視点から語っており、はっと気づかされることもあります。
 ラジオを聴くときのように、物語に耳を傾け、じっくりと読みたい一冊です。