小中学生へおすすめ!

11月17日のおすすめ

おすすめの本

書名しょめい:『都会のアリス』
著者ちょしゃ:石井 睦美 出版社しゅっぱんしゃ:岩崎書店
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 中学2年生の小林佐知子は、自分のことを「アリス」と呼ぶことにしました。
 アリスのママは、商社勤めで海外出張が多く、パパは役者で、ほとんど家にいます。親友の美樹ちゃんとは、幼稚園のころから仲が良く、登校やお昼ごはんの時も一緒です。毎日が幸せなアリスですが、次第に自分と他の人の家の違いが気になり始めます。
 そんなある日、アリスが進路調査で悩んでいると、出張中のママから家出するというメールが届きます。突然の出来事にアリスは動揺してしまいます。そんな時、ママの親友の春子おばさんが家にやってきて……。
  所々で出てくる『不思議の国のアリス』のセリフや言葉遊び、植田真さんが描く、やさしいタッチの挿絵。そして、佐知子はどうして自分のことを「アリス」と呼ぶようになったのか。思春期の女の子の心情を描く1冊。ぜひ一度、手にとって読んでみてください。

11月10日のおすすめ

おすすめの本

書名しょめい:『銀杏堂』
著者ちょしゃ:橘 春香 出版社しゅっぱんしゃ:偕成社
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 レンちゃんは、「銀杏堂」という気になるお店を見つけました。「ぎんなんどう」と読むそのお店。レンちゃんはある日、勇気を出してお店の中に入ってみることに。
 その日がきっかけとなり、レンちゃんと小さなおばあさん・高田さんは友だちになります。不思議な雰囲気をまとった「銀杏堂」は骨董屋さんだったのです。レンちゃんは銀杏堂に毎日のように通うようになりました。並んでいる品物について質問すると、高田さんは一つひとつお話をしてくれるのです。
  いなずまのかけら、クモの巣のネックレス……。ガラクタのように見えるものたちでも、それぞれに思い出が詰まった大切なものだと気付かされます。また、骨董品を売ることに思い悩んでいた高田さんには、レンちゃんの純粋で真っ直ぐな言葉が心に届いたのです。
  皆さんにとって必要なもの、大切なものは何でしょうか? この本を手に取ったあなたも、レンちゃんの言葉にハッとさせられるかもしれません。

11月3日のおすすめ

おすすめの本

書名しょめい:『若冲』
著者ちょしゃ:黒田 志保子 出版社しゅっぱんしゃ:国土社
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 享保13年、将軍・徳川吉宗の希望で、中国からゾウがやってきました。長崎を出発したゾウは、京都へ立ち寄ることになります。
  興味がわくと自分の目で見たくてたまらなくなってしまう忠兵衛。ゾウという聞きなれない言葉を耳にして、さっそく見物に行きます。奇妙でゆかいな姿をした生き物を目にした忠兵衛は、体のふるえが止まりません。自分の感情をおさえられず、何かに気持ちをぶつけたくなって、夢中で地面にその姿を描きました。
  絵を描くことが大好きな忠兵衛ですが、生まれたときから店を継ぐことが決まっています。父の言いつけで、苦手な書道を習うことになりました。教えてくれる大典は忠兵衛と三つ違い、11歳のお坊さんです。この大典と、気持ちが沈んでいるときにお茶をふるまってくれた佐賀生まれの売茶翁(ばいさおう)との出会いは、忠兵衛にとってとても大切なものになります。
  忠兵衛がゾウと出会い、周囲の人に支えられながら絵師・若冲になるまでの物語。

10月27日のおすすめ

おすすめの本

書名しょめい:『お任せ!数学屋さん』
著者ちょしゃ:向井 湘吾 出版社しゅっぱんしゃ:ポプラ社
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 『将来の夢は数学で世界を救うこと』。転校初日にいきなりそんなあいさつをした神之内   宙 (じんのうちそら)。数字や公式を見るのも嫌なくらい数学が苦手な遥はその発言が全く理解できません。そんなあいさつをしたためクラスメイトから距離をおかれ孤立してしまいますが、宙はいたってマイペース。ある日『どんな悩みでも数学の力で必ず解決します!』という幟(のぼり)を掲げた謎の店、数学屋を開店させます。あまりにも不可解な行動にますます周りから距離を置かれてしまいますが、本人は全く気にしません。遥はそういう宙のことが気になりだして、ふとしたことから数学屋を手伝うことになりますが、数学が苦手な遥に果たして手伝いができるのでしょうか?
  生活の中に数学が役立つということを遥と一緒に発見して、数学の楽しさを味わってください。パズルのような謎が解けた時の爽快感は格別ですよ。


10月20日のおすすめ

おすすめの本

書名しょめい:『気がつけば動物学者三代』
著者ちょしゃ:今泉忠明 出版社しゅっぱんしゃ:講談社
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 子どもだけでなく大人にも人気の『ざんねんないきもの事典』。シリーズを通して監修されている著者は、お父さん、お兄さん、息子さん、ともに動物学者という動物一家の一員です。
  お父さんが持ち帰ってくるコウモリやヘビと一緒に生活し、床にはウンチがゴロゴロ転がっている家の中。休みの日に山に連れていってもらえば、野ネズミを罠でつかまえて、はく製にすることを習うなど、普通の家庭では経験できないユニークな環境の中で育ちました。
 「アリンコが何か運んでいるときに、10分立ち止まって見ていると、新しい発見がある」など、自分でも簡単にできて、面白いエピソードがたくさん書かれています。  
 著者は、動物とのふれあいのなかで、命の大切さ、思いやりや優しさを育みながら成長し、今では、動物の生態を研究する仕事をされています。 動物が好きだけれど、どうしたらその仕事につくことができるのか知りたいと思っている皆さんに、おすすめしたい本です。

10月13日のおすすめ

おすすめの本

書名しょめい:『チギータ!』
著者ちょしゃ:蒔田 浩平 出版社しゅっぱんしゃ:ポプラ社
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 クラスで何かを決めるときによく行われるのが「多数決」です。一見とても公平なように思えますが、あなたはどう思いますか?
  クラスでレクリエーションを決めると、いつも運動神経が良く、ケンカも強い男子が推すサッカーや野球ばかり。このことが心に引っかかっていた主人公寛仁(ひろひと)。自分がやりたいと思っている卓球を実現させるため、親友のマッスーやクラスの女子とともに作戦を考えます。どうすれば彼と仲間たちは、レク決めに新しい風を入れられるのでしょうか。
 「できない理由を探して、少数の意見を、小さな声をつぶすのはやめてください!」。クラスの女子、松林の言葉には、はっとさせられます。多数決は絶対に正しくて、少数の意見は切り捨てていいのか。本当に公平な決め方を登場人物たちと一緒に考えてみませんか?『チギータ!』という不思議なタイトルの意味も、最後まで読むとわかりますよ。

10月6日のおすすめ

おすすめの本

書名しょめい:『たのしい川べ』
著者ちょしゃ:ケネス・グレーアム 出版社しゅっぱんしゃ:岩波書店
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 長い間地下の家で1人で暮らしていたもぐらは、久しぶりに見た川辺の美しさに心を奪われます。そこに暮らしている川ネズミがもぐらをピクニックに誘ったことがきっかけで、2匹は一緒に暮らし始めます。川ネズミは内気なもぐらをやさしく見守り世話をやいてくれました。
  川辺には、しっかり者のアナグマや、わがままで自由奔放なヒキガエルなど個性豊かな友達もやってきます。そんな友達とおしゃべりをしたり、食事をしたりする時間は、もぐらにとって幸せな時間でした。川辺が春から夏、秋から冬へと移り変わる様子が木々や草花で細やかに描かれているところもこの本の魅力です。
 物語の後半は、ヒキガエルが巻き起こした事件と、それを心配する仲間たちとのハラハラドキドキの展開が待っています。人の意見など聞く耳を持たないヒキガエル。事態は悪くなるばかりです。
 100年以上も前に書かれた物語ですが、古さを感じません。みなさんもヒキガエルがどうなったか気になるでしょう。

9月29日のおすすめ

おすすめの本

書名しょめい:『泣いたあかおに』
著者ちょしゃ:浜田廣介 出版社しゅっぱんしゃ:金の星社
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 「ココロノヤサシイオニノウチデス。ドナタデモオイデクダサイ・・・」そんな赤おにの立て札に人間たちはびっくり。やさしい、いじらしい赤おにの気持ちがあふれんばかりのお話の始まりです。
  赤おには、人間の友だちが欲しくてたまりません。でも、人間はおにが怖くてたまりません。そんな赤おにのために、友だちの青おには人間の前で赤おにをやっつける芝居をして見せます。自分が自ら悪ものになって、退治した赤おにと人間が仲良くなれるようにしてあげるのです。そして、やっと人間と友だちになれた赤おにのために、悪役の青おには何も言わずにどこかへ去っていきます。このままでいると、僕たちのことが人間たちにばれてしまうかもしれないと。  
 「ドコマデモ キミノトモダチ アオオニ」と、戸に残された張り紙を読んで、赤おにはただ、ただ、泣くしかありませんでした。 青おにの、この切ない友情と優しさのこもった貼り紙を、あなたは涙を流さずに最後まで読むことができますか。


9月22日のおすすめ

おすすめの本

書名しょめい:『しずかな日々』
著者ちょしゃ:椰月美智子 出版社しゅっぱんしゃ:講談社
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 小学五年生の枝田光輝(えだみつき)は、始業式の日、同級生の押野(おしの)から野球に誘われます。お母さんと二人で暮らしている内気な光輝は、クラスの人気者で陽気な押野がなぜ誘ってくれたのか分かりません。でも、光輝にとって押野との出会いは、とても大切な出来事になります。  
 これをきっかけに、草野球の仲間やクラスメイトとも親しくなってきた光輝でしたが、お母さんの仕事の都合で引っ越すことになります。しかし、転校したくない光輝は、おじいさんの家から学校に通うことを選びます。
  穏やかな日常の中で、寡黙なおじいさんが大切なことを短い言葉で光輝に伝え、おおらかに見守る様子は印象的です。安心できる居場所や気持ちを受け止めてくれる人との出会いが心の支えとなり、様々な葛藤や経験を通して成長していく少年の姿が丁寧に描かれています。
  かけがえのない日々を生きていくために、あらためて日常を見つめ直したいと思える一冊です。



9月15日のおすすめ

おすすめの本

書名しょめい:『ダイブ 』
著者ちょしゃ:森絵都 出版社しゅっぱんしゃ:講談社
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 高さ10メートルからの飛翔。時速60キロの急降下。わずか1.4秒の空中演技。速度に耐えつつ瞬時に宙返りをしたり。ばかげていると思うものの、入水に成功すれば突き抜ける快感を味わえる。  
 中学2年生の坂井知季( とも き)が在籍するダイビングクラブは、赤字経営で存続の危機にある。飛込みは新聞やテレビでも華やかな競泳の陰に隠れた状態が続いている。クラブ存続をかけて麻木夏陽子(かよこ)がコーチとしてやって来た。  
 クラブ存続の条件は、次期オリンピックに出場する選手を育てること。夏陽子は知季の素質を見抜き、難易度の高い技の習得のため 無理と思える練習を始めた。まずは、アジア各国の有力な中高生が集まる強化合宿に選ばれるようになること。  
 小学2年生のとき見た飛込み台は、珍種の怪獣のようで知季を圧倒し「この頭から飛びたい」と思った。飛込みに悩むとそのことを思い出す。  
 あなたにとって悩んだとき自分を奮い立たせるものは何だろうか。