小中学生へおすすめ!
7月28日のおすすめ
--------------------------------------------------------------------
主人公の聡子は、私立中学を受験するために、塾へ通う小学6年生の女の子です。
聡子は、自分の気持ちが言えず、学校では友達の機嫌をうかがいながら過ごしています。
そんな学校生活が嫌で、塾に通い始めます。
塾では、ひとりでも平気って顔してる自分や好きな霧島くんに友達を紹介してもらえない自分、夏期講習で出会ったリサに振り回される自分がいました。学校や塾での友達づきあいや好きな男の子とのつきあい、両親との関係。思い通りにはいかない悲しくて、つらい人間関係に悩みます。しかし、みんなと関わることで、自分だけではなく、まわりのみんなも苦しんだり、本心を隠したりしていることに気づきます。
相手のことを知ることや相手に自分のことを伝えることは、勇気がいることです。 この本が、勇気を踏み出す一歩となれば良いと思います。
7月21日のおすすめ
--------------------------------------------------------------------
「ヘアドネーション」を知っていますか? 長く伸ばした自分の髪を寄付することです。寄付された髪は丁寧に処理をされて、医療用ウィッグとして、病気や、その治療によって髪の毛を失ってしまった子どもたちのために使われます。
31センチ以上の長さがあれば誰でも寄付することができるのです。普通は、カットしてしまえば捨てられてしまう髪。このような役立て方があるなんて、知らない人もきっと多いでしょうね。
この本に登場するのは、ヘアドネーションをした人、集まった髪をウィッグにしてプレゼントしている団体、ウィッグを受け取った人、そしてヘアドネーションを普及しようと頑張っている人たち。すべて実在の人々です。
あなたもこの本を読んで、人に伝えて、髪がつなぐ物語の一員になりませんか?
7月14日のおすすめ
--------------------------------------------------------------------
主人公は小学6年生の千沙(ちさ)。両親は4年生の時に離婚して母親と暮らしています。父親と離れて寂しい思いをしていた千沙は、学校でもいやな目にあいながら卒業式を迎えます。卒業式の夜、千沙は父親が待つニュージーランドに向かいます。しかし父の知り合いの子どもだという直人も一緒で……。
千沙はイジメに負けず学校に通い続けたり、自分の事より両親の事を心配したりする強くて優しい女の子です。そんな千沙も、楽しみにしていたニュージーランドの旅に直人が加わり、最初は怒りでいっぱいでした。しかし、直人と自分の境遇が似ていたり、自然の中で一緒に過ごしたりするうちに、気持ちに変化が表れます。直人にも旅の中で変化が表れ、2人は心を通わせながら成長していきます。
この物語の中にはニュージーランドの自然が沢山描写されています。世界で最も美しいトレッキングルート『ミルフォードトラック』の川や大木、そして素晴らしい眺めのマッキンノン峠や、世界で5番目に大きいサザーランドの滝。美しい自然を想像しながら読んでみるのもオススメです。
7月7日のおすすめ
------------------------------------------------------------------
本の表紙に描かれているのは、ピーターと、そのきょうだいたちです。とぶ船に乗っている子どもたちの冒険は、ピーターの歯いたがきっかけで始まりました。
ある日ピーターは、はじめてひとりでバスに乗り、町の歯医者さんへ行くことになりました。その帰り、小さな通りの小さな店で、小さな船を見つけます。ピーターは船首かざりに金色のイノシシがついている船に夢中になりました。そこで、“もっているお金ぜんぶと、もうすこし”で、その船を手に入れます。お金を使ってしまったピーターが歩いて帰るとちゅう、ふしぎなことがおこりました。小さな船が、大きくなったのです。
乗る人にあわせて大きくなり、行きたい場所へつれていってくれる魔法の船。ピーターたちの冒険は、ハラハラドキドキの連続です。また、冒険をとおして歴史や文化、考え方の違いを感じることができるでしょう。
出版から80年たちますが、色あせない物語です。
6月30日のおすすめ
--------------------------------------------------------------------
5年生の七海は、おじいちゃんの飼っているデブねこ「クマハチ」を、しばらくの間預かることになりました。公園で休けいしていたところ、隣から変な声がします。おどろいた七海が見たのは、しゃべるデブねこの姿でした。実は、交通事故で亡くなった不運な落語家が幽霊となってそのねこにとりついていたのです。その落語家「如月亭大福 (きさらぎてい だいふく)」が成仏できなかったのは、大切な何かをやり残していたからなのでしょうか。
一方、七海は抱えている悩みがありました。 クラスメイトの女子たちとうまくいかず、ラインで悪口が広がってしまっているのです。
落語家「大福」の心残りと七海の悩みを軸に、時に落語のネタもおりまぜながらお話は進んでいきます。笑いと心温まる感動のお話です。
また、SNSでのいじめや情報の拡散など、現在の問題についても深く考えさせられる1冊です。
6月23日のおすすめ
--------------------------------------------------------------------
みなさんにとって、家とはどんな場所ですか?ホッと安心できる場所でしょうか?
この本の主人公・遠野日和(ひより)は中学一年生。彼女にとって家は、いつも緊張し、家族に気を使わなければならない苦痛を伴う場所でした。
日和は母と手をつないだり、抱っこをしてもらったことがありません。はじめは疑問に思わなかった日和でしたが、妹が生まれたときに、自分には見せたことのない優しい顔で赤ちゃんを抱く母を見て「あたしはお母さんにきらわれている」と確信します。かわいがられる妹を見て、自分も愛されたいと願いますが、母からは冷たい言葉しか返ってきません。しかし、陰では日和の母もまた、我が子を愛せないことに悩み、苦しみ続けていたのです。
物語は複数の登場人物の視線で語られていきます。日和だけではなく、母・愛子、父・慎弥、3人それぞれの心の葛藤に注目してください。
6月16日のおすすめ
--------------------------------------------------------------------
間もなく七夕ですね。夜空では織姫と彦星が年に1度の出会いをします。星といっても空に無数に輝く星々。星座が判らない人にはどれがどの星座なのかさっぱり判らないものでしょう。
この本には実際に空を見上げた状態での星図が載っていて、どこにどの星座があるのか判りやすく説明してあります。夏の星座を探すための目安になるヒントもあります。また有名な星座の神話や夏に見える流星群のお話などもあり楽しめます。きれいな星空や星雲の写真はまるでプラネタリウムを見ているようです。
今の季節は雨で星なんて見えないかもしれません。 そんな時は本の世界で星空を楽しみましょう。そして晴れ間に空を見上げてみてください。星たちが待っていますよ。
6月9日のおすすめ
--------------------------------------------------------------------
世界中で起きている紛争や食料危機。最初にその犠牲になるのは子どもたちなのに、人間たちの会議はいつも決裂に終わり、問題はいっこうに解決しません。そんな状況に業を煮やした動物たちは、自分たちも「どうぶつ会議」を開くことにしました。会議の目的はただ一つ「子どものために」。子どもたちを守るため、未来の世界を良くするために、動物たちの会議は人間の会議にいろいろな要求をします。人間と動物の話し合いはうまくいくのでしょうか?
世界が良くなるために、動物たちは自分ができることを考え行動します。みんなも自分には何ができるか考えながら読んでください。
会議の行方も気になりますが、会議の参加者にも注目です。あの有名なマウスや長靴をはいているネコも絵本の中から抜け出して会議に参加していますよ。
6月2日のおすすめ
--------------------------------------------------------------------
1995年生まれの市子。生まれた時、世間は地下鉄サリン事件、阪神・淡路大震災など歴史に残る出来事が多数起こり、すでに不景気が始まっていました。2010年中学3年生になったものの将来に希望が持てない日々。それでも個性的な仲間たちに刺激を受けながら、楽しく過ごしています。
文化祭で一人の生徒をきっかけに原発について調べることになりました。そして年が明け図ったかのようにあの東北の大地震が……。ふいに訪れる当たり前の日常の崩壊、昨日まで隣にいた人がいなくなってしまう。それでも悲しいことを受け止めながら主人公は次のステージに進んでいきます。
なんでもない毎日が実は1番大切で愛おしく感じられる1冊です。最後まで読むと不可解なタイトルの意味に気が付きます。また、平成時代の世の中の出来事も書かれており、そういえばこんなこともあったなと当時を振り返るにもぴったりな本です。
5月26日のおすすめ
--------------------------------------------------------------------
本書は直木賞受賞作家の三浦しをんによる箱根駅伝を舞台にした長編小説です。竹青荘という名の古びたアパートの住人が十名揃った事から物語は始まります。主人公・カケルの歓迎会の夜、住人の一人が宣言します。『十人の力を合わせて、スポーツで頂点を取る。目指すは箱根駅伝だ。』陸上競技の未経験者ばかりが集う竹青荘の住人を巻き込んで、箱根駅伝に出場するという夢に向かい、全員で駆け抜けて行く1年間が丁寧に描かれています。
個性溢れる10人の走者はそれぞれに迷いや不安、悩みを抱えており、「走ること」を通して自分自身と向き合い、そして自分なりの答えを導き出していきます。想いをのせながら10人の仲間達が必死に繋いでいく襷に最後まで目が離せません。果たして、竹青荘の住人達は箱根で頂点に辿り着くことが出来るのでしょうか?
読了後には一緒に箱根を駆け抜けたかのような、爽やかな余韻が残ります。新しく何かを始めたくなる春、ぜひ手に取って欲しい作品です。