小中学生へおすすめ!
5月3日のおすすめ
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5月3日は憲法記念日です。今から73年前、1947年(昭和22年)の5月3日から今の日本国憲法がスタートしました。
憲法にはどんなことが書いてあるか知っていますか?原文(もともとの文章)は難しい日本語で書かれていますので、難しい内容が書かれていると思っていませんか?じつは難しくなく小学生でも理解できる内容なのです。
天皇について、国民の権利や義務について、戦争について、憲法にはどんな風に書いてあるのか、原文と意味を比べながら読んでみてください。「へえーそうだったのか!」と憲法を身近に感じられるはずです。
日本で暮らす全ての人が日本国憲法という大きなルールのもとで暮らしています。憲法記念日という大切な日に、憲法について考えてみましょう。
4月26日のおすすめ
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スポーツクライミングは、垂直にそり立つ壁をホールドとよばれる突起物をつかみながら手と足のみで最上部まで登りきるスポーツです。みなさんはこの競技に視覚障害者がクライマーとして参加していることを知っていますか?
けがでスランプになったクライマーのあかりと視覚障害者の昴。偶然の出会いから、第一印象最悪同士がペアを組み、ブラインドクライミングに挑戦することになります。お互いの考えが理解できずけんかばかりの二人でしたが、少しずつ相手に本音を伝えることで協力して取り組めるようになります。
丁寧に会話を重ねること、相手の気持ちを思いやることの大切さが全編をとおして伝わってくる作品です。果たして二人は目標とする大会で壁を登りきることができるのでしょうか。
2020年東京オリンピックではスポーツクライミングが正式種目に選ばれました。この本でひと足先にクライミングの世界をのぞいてみませんか。
4月19日のおすすめ
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メディアリテラシーとは、新聞やインターネットなどのメディアから得た情報を、正しさを見極め、理解し、活用する能力のことです。これは大人になればだれにでも自然と身についている能力――ではありません! 流れてくる情報を正しく読み取るには練習が必要なのです。
この本は、わたしたちが見聞きしている情報が、実は全体のごく一部でしかないのだと、目で見てわかるように作られているのが特徴です。
ページを開くとテレビやスマートフォンが描かれています。その画面の部分には穴が開いていて、次のページの一部がまるで切り取られた絵のように見えています。
穴はわたしたちを取り巻く世界を覗き見る窓のようなもの。せまい窓からは限られた景色しか見えませんが、窓をひろげる=ページをめくることで、それまで隠れていたものが姿を現すのです。
本書をきっかけに、物事をいろいろな方向から考え、冷静に情報を受け取る習慣を身につけていきましょう。
4月12日のおすすめ
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なぜ、人間だけが「ことば」を使うのだろう。作者はこのことを研究しています。飼っていた犬が子犬の頃「かわいいね」と言うと、毎回小声で「フフフーン」とまねするので、話せるようになるかもと思ったことがあります。
人間のことばと動物の鳴き声に共通する特徴(とくちょう)が、4つあります。
1.発声学習(声のまね)ができるのがオウムやイルカです。
2.デグー(ネズミ)の鳴き声には「意味(単語)」があります。
3.ジュウシマツの短い歌を組み合わせた歌作りは、文法と同じです。
4.集団の上下関係で鳴き方を変えるのがハダカデバネズミです。丁寧(ていねい)な 話し方は人と同じです。
「ことば」のヒントは赤ん坊の泣き方にありそうです。生まれたばかりのときは単調です。1カ月を過ぎる頃には「ミルク」「おしめ」と泣き方を変えて親に知らせます。さらに発声学習をして「ことば」を持ったと作者は考えました。
研究は「なぜ」と観察した気付きの積(つ)み重ねです。日常のなかに「なぜ」はあります。
4月5日のおすすめ
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大正時代の最後の年に生まれた桧山タミ先生は、93歳。昔ながらの暮らしの知恵や家庭料理を、長年にわたって伝えてきました。「歳をとるのが楽しい」と毎日元気に暮らしています。
昨年の春、「料理を作る仕事のことを知りたいです。学校にお話に来てください」という小学生からの手紙がきっかけで、母校で授業をすることになりました。「自分の未来は、料理と同じ。わからないことを少しずつ知りながら、自分らしい味を見つけていけばいい」好奇心でいっぱいの子どもたちに、たくさんのお話をされました。そして、30分という短い授業では語りきれなかった先生は、このお話の続きを書くことにしました。
料理を仕事にするまでのこと、幸せや豊かさとは何かなど、人として大切にしていきたい言葉があふれています。
「おいしくなあれ」は魔法のことば。心のこもった料理をいただいた時には、「ありがとう」と感謝の気持ちを言えますようにと、タミ先生は願っています。
3月29日のおすすめ
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11歳のリョウは、卵の中の楽園のような世界で穏やかに暮らしていました。卵の世界には特別なきまりがあります。この世界に生まれた者は13歳の誕生日までに、この世界を出るか、とどまるか、決断しなければならないのです。家族や友達とのことも考えながら、リョウが悩んで選択した先には過酷な運命が待っていました。果ての見えない平原を歩き続けたり、自分の気持ちを隠して他人の息子として暮らしたりする中で、リョウは自分自身と向き合うことになります。
みなさんもこの先、自分自身で決断することが増えるでしょう。時にはつらかったり苦しかったりするかもしれません。そんな経験の積み重ねが自分というものをつくっていくと思えたら、難しい決断も勇気を持ってできるのではないでしょうか。ぜひ読んでみてください。そして、大人になっていくみなさんが決断することを迷ったときには、このお話を思い出してみてください。
3月22日のおすすめ
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「イースター」は、キリスト教で春の訪れを祝うおまつりのことです。イースターの日にはうさぎが卵を運んできて庭に隠して行くと言われています。子どもたちは、その卵を探したり、卵に絵を描いて飾ったりして楽しく過ごします。
1950年にアメリカで出版されたこの本は、永く読み継がれています。伝統的なイースターの習慣がほのぼのとした文章で描かれ、挿絵も温かみのある色使いで、当時の建物や庭の様子がよくわかります。おはなしの途中にある挿絵は、読み進める手助けをしてくれます。最後まで読むと1冊読めたという達成感を味わうことができます。絵本から幼年童話へと読み進んでいる人におすすめです。
また、日本にもいろいろなおまつりがあるので、そのことについて書かれた本も読んでみてください。
3月15日のおすすめ
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「こころざし」ってどんなものでしょうか。
人が心の中で、何をしようかと考える中身のことをいいます。こころざしがないと、何がしたいか決まらないし、それを作り上げるには時間がかかります。
この物語の主人公はこころざしを持ち、まわり道をしながらもやり遂げた人物です。ただ、その道を志すまでにものすごく時間を要しました。最初は学校の先生になるのですが、悩んだ末、医者になります。そして今のように、福祉という考え方がない明治から昭和にかけて身よりのない子どもと一緒に生活する施設をつくりました。
もともと体が丈夫ではなく、病気がちだったようですが、晩年は少しずつ体と心が強くなっていきました。人生は一度きりというように、人間らしく悩みながらも後悔しないように歩んでいきたいと感じられる物語となっています。
3月8日のおすすめ
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学校の区分け「校区」、それは子どもにとって国境と同じくらい大きな壁で、隣の校区はもはや外国のような異文化の世界です。 ほんのちょっと離れたところに引っ越しただけなのに校区が変わり、小学校の仲間とは別々の中学校へ通うことになってしまった男の子の葛藤と成長の物語。
すぐ誰かに頼りたいと思ってしまうヘタレのテツオは、まわりに知っている友達がゼロという絶望的な状況で入学式を迎えます。 新しい担任、クラスメイト、部活、スマートフォン問題、すべてが未知の環境の中で、自分の立ち位置をさがして奮闘する普通の男子の心の声が溢れています。
小学校から中学校へ、新生活のドキドキ感をテツオと一緒に味わってください。 大阪弁でのやり取りが面白く、憂うつな気持ちをちょっとだけ軽くしてくれます。
中級編、上級編とテツオの成長は続きます。こちらも続けて読んでみてください。
3月1日のおすすめ
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「いいかい、チビすけ、にいちゃんはカイトを飛ばすたんびにいま空にあがっているのは自分だって思うんだ。」
ここはパレスチナのヨルダン川西岸地区。 紛争地帯で隣のイスラエルとは土地を巡り争っているため、フェンスや壁で隔てられています。映画を撮るために訪れた主人公は、ある少年に出会います。戦争で大切な家族を亡くし心に深い傷を負った少年は、話すことができません。けれど敵対している壁の向こう側にも平和を望む同じ人々がいることを知っています。少年は祈りを込めサラーム(平和)と書いたカイトを壁の向こうに飛ばします。
少年の思いは壁の向こう側に届くのでしょうか。未だ続く激しい紛争の中、主人公は平和への一歩の奇跡に遭遇します。いつか壁がなくなり皆が幸せに生活できる日が訪れてほしい、そう願わずにいられない一冊です。