小中学生へおすすめ!

児童書のおすすめ(1月21日)

 

書名 しょめい :源氏物語入門
著者  ちょしゃ :高木 和子/著

   岩波書店


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 書店で『源氏物語』のコーナーを見かけ、物語や紫式部の人気の高まりを感じています。平安時代・中期は、十二単や和歌などの文化が花開きました。この時代に書かれた『源氏物語』は、世界で最も古い長編小説といわれ、貴族の暮らしや行事、今に伝わる祭も描かれています。
 『源氏物語』が書かれた時代は、和歌を送り好きな人に気持ちを伝えていたので上手な和歌を作ることは重要でした。『源氏物語』には約800首もの和歌が詠まれ、平安時代・後期には「『源氏物語』を読まない歌詠みは残念」といわれ、『源氏物語』は和歌の教科書にもなりました。
 『源氏物語』は、一条天皇に献上するために書かれた物語ですが、書き始めた時から貴族の間で物語が面白いと話題になりました。光源氏のライバルへの対抗心や友情などは、いつの時代にも共通することで、1000年経った今も共感をもって読み続けられています。紫式部が書いた平安貴族の物語を読んでみませんか。

 

児童書のおすすめ(1月14日)

 

書名 しょめい :保健室には魔女が必要
著者  ちょしゃ :石川 宏千花/作 赤/絵

   偕成社


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 魔女たちは現在「七魔女決定戦」のまっさい中。勝者の条件は、自分が考案した「おまじない」を世の中にたくさん定着させること。普段は人と同じように生活し人間社会に溶け込んでいる魔女たちですが、七魔女に選ばれるため、あの手この手で自分のおまじないを広めようと日夜活動しています。
 《満ち欠けの扉》こと人間名「弓浜 民生(ゆみはま たみお)」も七魔女決定戦に参加中の魔女。中学校の養護教諭として、保健室を訪れる中学生の悩みを聞き、それに合うおまじないを作り伝授(でんじゅ)することで、おまじないの定着を狙(ねら)っています。
 《満ち欠けの扉》が人としての職業に養護教諭を選んだのは七魔女になるためだけではありません。こどもたちには魔女のおまじないが必要だと思ったから。もしかしたらあなたの学校の保健室の先生も、そんな優しい魔女だったりするかもしれませんね。

 友だちへの不満、家族へのイライラ、容姿へのコンプレックス、特別への憧れ・・・。今悩んでいる人におすすめの連作短編集です。

 

児童書のおすすめ(12月24日)

 

書名 しょめい :サンタクロースは空飛ぶ宅配便ではありません
著者  ちょしゃ :市川 宣子/作 高橋 和枝/絵

   ポプラ社


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 今年、1年生の間に流れているうわさ。「4年3組の黒須三太くんにおねがいの手紙を書けば、クリスマスにはほしいものがもらえる」らしい。
 そんなわけあるかよ…とうんざりする三太ですが、くつ箱に届く手紙を捨てるわけにもいかず、偶然見つけた「サンタクロースあて」と書かれた赤いポストに入れてみることに。すると、赤鼻のトナカイ、ルドルフが現れて、今年のサンタ役に三太が選ばれたと話すのでした。
 続々と増えていく手紙と、クリスマス本部から送られてくるプレゼントのチェック。トナカイに乗る練習もしなければならず、三太は大忙しです。
 そんな中、手術の前にサンタさんに会いたいとの願い事が舞い込みます。これはなんとかしてあげたいと、ルドルフは行方不明のサンタクロースを探しに行ってしまいます。
 トナカイ不在のまま、友人のたくやと和人とで配達をすることになった三太。クリスマス嫌いな三太が奮闘する姿をぜひ最後まで見届けてください。

 

児童書のおすすめ(12月17日)

 

書名 しょめい :闇に願いを
著者  ちょしゃ :クリスティーナ・スーントーンヴァット/著

   静山社


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 願ったことが実現するとしたら、何を願いますか。もしあなたが特別な力を手に入れたら、どのような行動をとるでしょうか。

 物語の舞台・チャッタナーの住人は、街を治める総督のことをとても尊敬しています。総督が、特別な力を使って、大火で灰の街になったチャッタナーに光をもたらしたからです。しかし総督は、自分にとって価値がある人にしか光を与えるつもりはありませんでした。

 主人公のポンは刑務所で生まれたため、総督が作った法律により、13歳まで出所できません。13歳になるのを心待ちにしていたポンですが、総督の考えを知り、刑務所から逃げ出すことにしました。

 たどり着いた村で、ポンはひとりの老僧と出会います。自分の願いは、追手から逃げきり、自由になることだと思っているポン。老僧はそんなポンに、進むべき道を示してくれたのです。さて、その「道」とは?

 登場人物の行動だけでなく、考え方の変化にも注目して読んでください。

 

児童書のおすすめ(12月10日)

 

書名 しょめい :はじめて読むレオナルド・ダ・ヴィンチ
著者  ちょしゃ :石崎 洋司/著

   講談社


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 レオナルド・ダ・ヴィンチといえば、「モナリザ」や「最後の晩餐」で知られる有名な芸術家です。しかし、彼がどんな人だったのか、みなさんは知っていますか。
 レオナルドは、裕福だけど複雑な家庭で育ちました。そして、モデルになれるほどの美少年だったのです。
 画家としてよりも先に、楽器を弾きながら即興で歌う音楽家として有名になりました。ほかにも、科学者であり技術者でもあったことはよく知られていますが、幾何学、物理学、解剖学とあらゆる分野で才能を発揮しました。飛行装置や、人体の解剖図を見たことがあるという人も多いでしょう。まさに天才といえる人でした。
 そんな天才でも、うまくいかない時期もありましたが、自分の信念を曲げず、理想を追求していくことがレオナルドのいちばんの才能だったのかもしれません。
 ルネサンスという激動の時代の中で、文化や科学の最先端を走っていたレオナルド。彼について調べてみませんか。

 

児童書のおすすめ(12月3日)

 

書名 しょめい :神社・お寺のふしぎ100
著者  ちょしゃ :田中ひろみ/文 藤本頼生/監修

   偕成社


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 いよいよ師走になり、今年もあと1箇月をなりました。年が明けてお正月は、親戚と集まったり、お年玉をもらえたり楽しいことがたくさんですよね。
 ところで皆さんは、初詣に行ったことはありますか?初詣で神社やお寺に行くのが楽しみという人も多いと思いますが、神社やお寺は普段の生活の空間とは違って、大きな鳥居があったり、お参りの時に線香をあげる場所があったり、不思議なことがたくさんあると思います。
 この本では、神社やお寺の不思議について、Q&A形式で100個紹介されています。「お賽銭の金額はいくらがいいの?」や「おみくじは、家に持ち帰ってもいいの?」など、初詣ですぐに役立つものから、「神様や仏様は、どこからきたの?」のような深いお話まで、いろいろなおはなしが載っています。
 ぜひ、この機会に神社やお寺の不思議にふれてみてください。

 

児童書おすすめ(11月26日)

 

書名 しょめい :こどもに聞かせる一日一話 「母の友」特選童話集
著者  ちょしゃ :福音館書店「母の友」編集部/編

   福音館書店


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 「子どもも大人も一緒にお話の世界へ遊びにいきましょう」という言葉で始まるこの本には、雑誌「母の友」で長く続く企画「こどもに聞かせる一日一話」の中から選ばれたお話を中心に、みんなが大好きな絵本の人気者「ぐりとぐら」や「だるまちゃん」が登場するお話などが30話掲載されています。
 「ねぇ何かお話してよ」と子どもにお願いされたら、この本のお話を一日一話読んであげてみて下さい。「今日はどのお話にする?」と一緒に選んだり、お気に入りのお話が見つかれば繰り返し読むこともできます。寝る前に読んでもらえば、幸せな夢の世界へ飛び立つこともできるのです。
 子どもはお話を読んでくれた人のことを、忘れることはないといいます。自分だけに向けられたあたたかなまなざしと声は、大人になってもお話とともに心に残り続けるのです。この本との出会いが、子どもと大人が心をかよわせるきっかけになることを願っています。

 

児童書のおすすめ(11月19日)

 

書名 しょめい :絵画をみる、絵画をなおす保存修復の世界
著者  ちょしゃ :田口 かおり/著

   偕成社


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 みなさんは、世界で一番古い絵画を知っていますか?現存する世界最古の絵画は、4万年以上前に描かれた洞窟壁画といわれています。何万年何百年という途方もない年月を経てなお現代の私たちが美術品を鑑賞できるのは、さまざまな人々の手によって大切に受け継がれてきたからです。
 美術品に携わる職業に“修復家” という仕事があります。修復家とは、その名のとおり作品をなおす専門の職人のことです。
 「修復家の仕事はじっくり観察することからはじまる」と著者の田口かおりさんは語ります。作品の歴史をたどり、その作品にとって最もふさわしい修復方法を選び、後世へと伝えていきます。修復家は、過去・現在・未来を繋ぐ大切な役割を担っているのです。
 美術館などで鑑賞する際は、修復家をはじめとした美術品に携わってきた人々にも思いを巡らせてみてください。

 

児童書のおすすめ(11月12日)

 

書名 しょめい :漢字びっくり事典
著者  ちょしゃ :こざき ゆう/文 金田一 秀穂/監修 加納 徳博/絵

   ポプラ社


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 私たちが、ひらがな・カタカナとともに使いこなしている漢字。今から約3500年前に生まれたといい、長い歴史を持っています。学校でも習う身近な存在の漢字ですが、まだまだ知らない世界がたくさんあります。
 くさかんむり、しんにょう、もんがまえ…。漢字に習う時に覚えた部首。部首は、200種類以上もあるとされます。「けものへん」の「けもの」とは、何の動物が元になったか知っていますか?是非、本を手に取って確かめてみてくださいね。
 漢字の成り立ちや歴史、なんて聞くとなんだか難しく感じてしまうかもしれませんが、後ろの章では、クイズ形式に沿って楽しく漢字に触れることができます。国や偉人、植物の名前。そうだったの!?と驚くものもあるかもしれません。イラストが添えられているので、もし漢字に苦手意識を持っていても、楽しく読み進められますよ。

 

児童書おすすめ(11月5日)

 

書名 しょめい :SDGsってなあに?みらいのためにみんなができること たべる
著者  ちょしゃ :関 正雄/監修 WILLこども知育研究所/編・著

    株式会社 金の星社


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 みなさん、SDGsという言葉を聞いたことありますか。世界中のみんなで協力して解決していく問題のことです。目標は17個で世界中の人々が力を合わせて取り組み、2030年までに目標を達成することを目指しています。問題を解決するためには大きく社会を変える必要があります。そして、世界中のだれ一人取り残さずに達成することが大切です。
 目標の一つに「飢餓をゼロに」がありますが、みなさんは、ごはんの食べ残しはないでしょうか。豊かな国では食べ物が捨てられている一方で、その日の食べるものにも困っている人たちがたくさんいます。食べられる量だけ買う、食べ残しはしないなど、むだになる食べ物をできるだけなくなす目標をもちましょう。
 また、余った食料をあつめて、必要な場所へとどけるフードバンクという活動もありますので、利用してみてはどうでしょうか。

 

児童書のおすすめ(10月29日)

 

書名 しょめい :そらのことばが降ってくる 保健室の俳句会
著者  ちょしゃ :髙柳 克弘/作

    ポプラ社


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 クラスになじめず保健室登校をしている中学二年生のソラは、同じように保健室に通うハセオから俳句の句会にさそわれます。ソラはのらりくらりとそのさそいをかわしますが、ハセオが俳句を作る姿を見て段々と興味がわいてきます。
 そしてソラ、ハセオ、養護の先生の三人で初めての句会を行います。そこでハセオが作った俳句がソラを深く傷つけてしまいました。
 しかし、ハセオがソラに向けて詠んだ俳句は、決してソラを傷つけるための俳句ではありませんでした。ハセオが俳句に込めた本当の気持ちはソラに伝わるのでしょうか。
 自分の気持ちを言葉にして相手に伝えることの難しさ、その言葉を理解してもらえたときの喜び、言葉が持つ人を元気にする力を教えてくれる物語です。

 

児童書のおすすめ(10月22日)

 

書名 しょめい :おとな体験授業?
著者  ちょしゃ :なかがわ ちひろ/作

    アリス館


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 今日の授業は「おとな体験授業」。

 5人の生徒たちはグループになって、自分がどんなおとなになりたいかをそれぞれ紙に書きます。

 不思議なランプに火をつけ、ビーカーの中の金色の液体に紙を入れると、もわもわとした湯気がひろがり、おとな体験の世界へ出発です。

 けれども、自分がなりたい仕事を体験できるのかと思っていたら、友達がなりたいと言っていた仕事を体験することになってしまい…。

 自分がなりたい仕事ではなくてもそれが意外と得意なことだったり、将来の可能性が広がったりと、体験することで気づくことがあるということを教えてくれる一冊です。

 どんな仕事をしたいのか、どんな大人になりたいのか、今はまだわからないことが多いと思いますが、これからいろいろな体験をすることで、将来本当になりたい自分を見つけることができるのかもしれませんね。

 

児童書のおすすめ(10月8日)

 

書名 しょめい :ぼくは本のお医者さん
著者  ちょしゃ :深山 さくら/作

    佼成出版社


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 小さなころから大好きだった絵本や読み物、図鑑など、何回も読んで破れ、痛んでしまってもずっと手元に置きたいと思うことはありませんか?
 そんな思いに応えてくれる人がいます。
 製本会社を営んでいる齊藤英世さんは、本業のかたわら本の修理をする「ブックスドクター」の仕事も行なっています。
 本の修理とは新品のようにきれいしてお返しすること?いえいえ、そうではありません。一冊一冊の本には持ち主の本に対する思い出、歴史があります。手あかや小さな汚れ、それらを残しながら元の雰囲気を壊さないよう最小限の修理を施していきます。
 本にはデジタル化の波が押し寄せていますが紙の手触り、インクの匂い、ページをめくる音、五感で感じられる実物の本も人々の思いによって残されていくのかもしれません。
 昔、読んだ本を取り出してそっとなでてみたくなる1冊です。

 

児童書のおすすめ(10月1日)

 

書名 しょめい :なんで勉強しなきゃいけないの? 1
著者  ちょしゃ :W I L Lこども知育研究所/編著 

    金の星社


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 あなたは学校の勉強が好きですか?宿題なんてやりたくないですか?
 この本は5人の著名人がそれぞれ、子どもの頃はどんな子どもだったのかを思い返し、大人になった今、どうして勉強をした方がいいのか、自分の考えを語っています。その著名人のひとりで紛争解決請負人の伊勢﨑賢治さんは世界で生き抜くためには国際感覚が必要だと言っています。その国際感覚とは「さまざまな国の価値観を知り、その国に対して尊敬の心をもつこと」「相手と話し合うとき、ひきょうなまねをしないこと」「言いたいことをはっきり言うこと」を基本にしています。この考え方は、国に対してだけでなく、個人対個人のコミュニケーション時にも大事なことではないでしょうか。
 ひとえに勉強というと難しく考えてしまいがちですが、いろいろな人の考え方を知り、こんな考え方もあるのかなと共感できたら、あなたの勉強に対する立ち位置が今よりもっと楽しいものになるかもしれません。

 

児童書のおすすめ(9月24日)

 

書名 しょめい :最後の語り部
著者  ちょしゃ :ドナ・バーバ・ヒグエラ/著 杉田七重/訳

   東京創元社


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 彗星が地球に衝突するとわかり、一部の選ばれた人々は、別の惑星を目指して旅立つことになりました。主人公のペトラも選ばれたひとりです。そのころ地球では、多様性を否定し、コレクティブという単一社会をつくる、という運動が広がっていました。
 ペトラはいつもお話を語ってくれた祖母を残し、自分の目がほかの人とは違う見え方であることを秘密にして、宇宙船に乗り込みます。眠っている間に目的地へ着く予定でしたが、381年経って目覚めたとき、コレクティブの人々が船内を支配していました。地球から来たペトラ以外の人たちは、眠っている間に記憶を消され、従わない者は排除されていたのです。
 ペトラは自分に地球の記憶が残っていることを気づかれないよう注意しながら、コレクティブ社会からの脱出を計画します。それを支えてくれたのが、祖母が語ってくれたお話でした。
 受け継がれるお話の力強さを感じることができる、読み応えのある物語です。

 

児童書のおすすめ(9月17日)

 

書名 しょめい :給食が教えてくれたこと
著者  ちょしゃ :松丸 奨/著

   くもん出版


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 私が給食で思い出すのは、毎月1回の「お楽しみ給食」。各クラス順番に好きなメニューをリクエストできたのです。でもみんな好きなメニューは似たり寄ったりで、ココアパンやゼリーなど、とにかく定番の人気メニューがよく登場していました。
 さて、この本の著者の松丸さんは、給食の献立を考える栄養士さん。実は給食が大嫌いだったそうです。野菜も魚もお肉も嫌い! 苦手な食べ物が多すぎて、給食はほとんど食べられませんでした。そんな松丸さんに、栄養士さんがこう話してくれます。
 「全部が無理なら、一口でも食べてみて。きっといいことが起こるよ。」
 それからというもの、鉄棒の逆上がりができたり、テストでいい点がとれたり、背が伸びたり、風邪をひかなかったり、いいことは何でも給食のおかげだと思うようになりました。松丸さんが栄養士を目指したきっかけです。
 栄養士の仕事のこと、それから皆さんに伝えたいこと。ぜひ手に取ってみてください。

 

児童書のおすすめ(9月10日)

 

書名 しょめい :長い長い夜
著者  ちょしゃ :ルリ/作・絵 カン・バンファ/訳

   小学館 


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 この物語は名前のないペンギンの「ぼく」と、その「父さん」たちのお話です。
 最初に登場するのはシロサイのノードン。彼は理不尽な人間によって大切な家族や仲間を奪われてしまいます。それからの彼にとって、悪夢を見そうで眠れそうにない日は、夜がいっそう長くなるのでした。
 ある日、ノードンは1匹のペンギン、チクと出会います。チクも人間同士の戦争によって、大切な仲間を失いますが、なんとか守ることのできた卵を運んでいました。2匹は戦争で火事になった動物園から逃げ出し、暗い悲しい気持ちの中、卵を守るため旅に出ます。
この旅の中で彼らは、家族や仲間との大切な想い出を語り合いながら、お互いを支え合っていきます。
そして、語り継がれた沢山の思い出は、卵だった「ぼく」を励まし、生きていく勇気をくれました。
 私たち自身も、色んな出来事やたくさんの出会いがあって、今の自分がいるということに気づかせてくれるお話です。

 

児童書のおすすめ(9月3日)

 

書名 しょめい :コーリング・ユ-
著者  ちょしゃ :永原 皓/文

   集英社 


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 元気で賢いシャチの男の子「カイ」がこの物語の主人公。カイは好奇心旺盛な為、お金目的でシャチを捕獲していた漁師に捕まってしまいます。カイを心配した仲良しの従妹の「エル」は、わざと網に入りカイと一緒に捕まってしまうほどカイのことが大好きでした・・・・。人間の身勝手さにより家族から引き離されてしまったカイは、その魅力で、一つ一つ困難を克服していきます。
 異種別であっても他者を思いやることのできる優しさや、苦境に立たされても決して希望を失わないカイの強さは、読者に真の勇気とは何かを鮮やかに印象づけ、又、対照的に彼の行動から、私利私欲の為に他者を傷つけても平気な人間の愚かさも浮き彫りになります。
 地球に生きる全ての仲間が共存していること、その為に大切なことは何かを教え気付かせてくれる一冊です。読後は、カイに魅了されること間違いなしの、【第34回小説すばる新人賞】を受賞した作品です。

 

児童書のおすすめ(8月27日)

 

書名 しょめい :車いすでジャンプ!
著者  ちょしゃ :モニカ・ロー/作 中井 はるの/訳

   小学館 


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 エミーは車いすモトクロスにあこがれる13歳の女の子。生まれた時から脊椎に障がいがあります。モトクロス用の高性能な車いすを買うため、友だちのアレエとオンラインショップを運営しています。売り上げも上々で夢に向かって進んでいたのですが…
 エミーは車いすで過ごせるところでは、何でも自分でできます。でも、それをわかってくれない人がたくさんいます。
 ある日、学校からエミーの車いすを買う資金集めをするという手紙が届きます。エミーはうれしくて、何かがひっかかっていることに気づかないふりをしていました。それがこんなに大事になるとは思いもしないで。
 障がいを持つ人にとって必要なこととそうでないことは、周りの人が思うそれとは違うのかもしれません。お互いがちゃんとコミュニケーションをとることが大切です。決めつけではなく、当事者の声をよく聞いて行動することが大事だと教えてくれる1冊です。

 

児童書のおすすめ(8月20日)

 

書名 しょめい :みんなの少年探偵団
著者  ちょしゃ :万城目 学、湊 かなえ、小路 幸也、向井 湘吾、藤谷 治/著

   ポプラ社 


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 明智小五郎に怪人二十面相。江戸川乱歩作品が好きな人は、その名を聞いたことありますよね。
 『怪人二十面相』や『少年探偵団』の生みの親で、日本探偵小説の父と称される江戸川乱歩の生誕120年を記念して発刊されたこの本は、万城目学や湊かなえといった現代の著名な作家たちが、作品の世界観をそのままに、新たな物語を紡いだ短編集です。
 物語の第1編では、早くに両親を失い、父方のおじいさんと暮らすこととなった双子の少年が、それぞれの特別な能力を駆使しながら、おじいさんが関わった事件の謎を解いていきます。はたして二人の運命は?ラストには読者を驚かせる展開も。何度も読み返したくなる作品です。
 今年は江戸川乱歩の生誕130年、乱歩の世界に浸る絶好の機会です。
 学校の図書室で手に取ったことのある方も、初めて触れる方も、江戸川乱歩の魅力を再発見できる、懐かしさと新鮮さを兼ね備えたこの短編集をぜひ、手に取ってみてください。